5/6
無効なデータ
それは、ずっと昔からあった話だそうだ。
──世界が終焉を迎えるとき、神が再臨することを人類は祈っていた。
実際に世界が終焉に近づいたとき、現れたのは記述とは違う姿の女神の化身だった。けれども女神の命令がくだされる度、人々は敬虔な態度で従った。
しかし、女神の命令に背いた者が一人いた。
それは人の形をした悪魔だった。悪魔は女神の化身を殺して、人類を絶望に陥れた──
その後、終焉を乗り越えた人類は、女神の再臨を待ち、今でも祈りを捧げている……らしい。
馬鹿馬鹿しい話だと思わないか。
神なんていないよ。少なくとも俺の中ではさ。
視界が徐々に狭くなり、耳も肌も何も感じられなくなっていく。
でも、もしも本物の神様がいるのだとしたら……一つだけ、願いを叶えて欲しい。
ぼんやりとした意識の中で、俺は一つ思い浮かべる。
『この世界から、魔法を消してください』
なんて。




