第13話 決断のとき
前回のあらすじ
「樹先輩、私たち付き合ってみませんか?」
偶然保健室で会った萌可に、告白される樹。
「……私たち、付き合ってみませんか?」
予想外の萌可の告白に、僕の頭の中は混乱した。
こいつは千尋のことが好きなんじゃなかったのか?
混乱する僕をよそに、萌可は続ける。
「樹先輩、私のことかわいいって思ったから、話してくれたんでしょ?」
萌可はそう言って、あざとく笑った。
その言葉に、僕の怒りがふつふつと湧き上がってくる。
「僕は、お前が千尋の友人だから話していただけで、お前には興味ないよ」
くだらない会話だと、僕は大きくため息をついた。
萌可は髪を指に絡ませながら、僕の感情を逆撫でするように言い放った。
「えーっ、残念です! 学校で一番かっこいい樹先輩と付き合えたら、みんなに自慢できたのに! ダメなんだ。じゃあ、とりあえずの彼氏にするのは千尋先輩でいっか!千尋先輩もまあまあ人気あるし」
その言葉に、僕の全身から血の気が引いた。
千尋をなんだと思っているんだ。冷静を装って言葉を絞り出す。
「お前……千尋に余計なことをしたら、僕が許さないからな」
怒りに言葉が震える。
「こわーい!」萌可はわざとらしく肩をすくめた。
「でも樹先輩ってそんなこと言える立場ですか? 千尋先輩のただの友達でしょ? 関係ないじゃないですか。千尋先輩に、こーんなにかわいい彼女ができたら、とーっても幸せだと思いますよ。ふふっ、例え『想われていなくても』ね !」
萌可の言葉が、俺の怒りを頂点まで掻き立てた。
千尋がどれだけ孤独で、どれだけ愛情に飢えているか、僕は知っている。
その弱みに付け込むような、この女の悪意が許せなかった。
このままこいつを野放しにはできない。
千尋を傷つけさせるわけにはいかない。
千尋を守れるのは僕だけだ。
俺はソファから立ち上がり、萌可の目の前に詰め寄った。
***
この後、物語は二つのエンディングに分岐します。
▶「友情エンド」
「告白エンド」
お読みいただきありがとうございました。
この後、物語は二つのエンディングに分岐します。
明日は「友情エンド」
明後日は「告白エンド」をお送りします。
よろしくお願いいたします。