目覚め
本作品の主人公は、ナイト・リベルタという一人の女性。ただ依頼通りに暗殺という陰の仕事をこなしてきた彼女が、出会いを通じて大切なものに気づいていく、そして孤独だった人生が少しずつ変わっていく、というストーリーです。幼少期の苦しみと向き合いながら、それでも前に進む彼女を、どうか温かく見守っていただければと思います。
私はよく夢を見る。
例えばゾンビに追いかけられたり、街を焼き払う巨大なモンスターから逃げまどったり、ものすごく高い建物から落っこちたりする。
誰かに殺されたりすることもある。
そんな夢から目覚めたあとは、決まって額や背中がびっしょりと濡れている。
「.......はぁ。」
起きたばかりだというのに 思わず大きなため息がでる。
あくびをしながら気分転換に窓を開けると、心地よい風が入り込んできた。昨晩降っていた雨もすっかり止んで、雲の切れ間から太陽が顔を出している。
「.....いい天気だ。」
シャワーを浴びて汗を流したら、濡れた髪のまま湯を沸かし、大きめのコップに注いだ。
コーヒーのよい香りが部屋中に広がる。
窓辺の椅子に腰を掛け、身体を前に後ろにゆらゆらと揺らしながら、今日一日の流れを頭の中でおさらいしていく。
そうしているうちに 風になびいた髪は いつのまにか乾いていった。
生ぬるくなったコーヒーを飲み干すと、やっと身支度に取りかかる。
新調した黒のブーツが朝日に照らされ 光り輝くさまは とても美しい。
靴紐が解けないようにきつく結び直すと、慣れた手つきで短剣を装着していく。
仕上げに厚みのあるマントを羽織れば、長い一日の始まりだ。
「いってきます。」
がらんとした部屋に、自分の声だけが響いた。




