story38 覚醒
注意!
・トールが覚醒するわけではありません。
・部長の名前は空木裕樹またの名を部長という。
・主人公はトールです。
「えーっと、こいつはリアルで部活の先輩の部長です。」
「いや、ちょっとトール君そんな紹介はないんじゃないかな」
今俺はシルクとレッツァに部長を紹介している。あのあと時間通りに入ってメールを送ったら噴水前での待ち合わせになった。それで、そういえば今日もみんなと噴水前で待ち合わせしていたので部長と合流して今の状況。
「お〜い、待った?」
まだ来ていなかったミユとレインが来た。
「いや、さっきみんな集まったばかりですよ」「おや?」
シルクがそうやって言ったあとすぐに部長・・・ラインはミユを見て何かすぐに言った。知り合いか?
「ミユ、レイン紹介するよ。この人は「え?なんでラインさんがいるんですか?」・・・は?」
ミユ知り合いなのか?
「いやー、トール君が一緒にいるパーティーにミユさんがいるとは思いませんでした。」
ん?話がわからん
「ちょっと待て・・・ぶちょ、ライン!どういうことだ?ミユと知り合いなのか?」
「ええ、ほら言ったじゃないですか。私はギルドのギルドマスターしてるって。ミユさんはうちのギルドの人ですよ。で、ミユさん私がここにいるのはトールとはリアルで部活の先輩、後輩の関係にあります」
「・・・ラインさん」
「ん、なんだいミユさん?」
「燃え尽きろーーーー《エイトフレア》!」
「え?ええー!《ウォーターシールド》」
いきなりミユがラインを襲った。八つの炎弾を放つがすべて水の壁によりラインまでは届かなかった。
「おい、どうしたミユ!」
「どうしたも無いわよ!ラインさん見つけたらギルドに連行しなきゃ最近不在でギルド内ごたごたしてるのよ!」
お怒りの様だ。ギルド不在ってどっかのネクロな人と同じじゃねーか。俺はラインに目を向けた。
「・・・・・ああー、そういえば最近顔出してませんね〜・・・ってちょっと待ってください!落ち着いて話せば分かり合えます、きっと」
まったく今の状況が理解しがたいが・・・多分整理すると、ラインが今日は俺と一緒に行動するつもりでした。しかし彼はまったく自分のギルドをほったらかしにするあまりギルド内はぎくしゃく中、同じギルドメンバーのミユに見つかり「あんた何やってんのよ」みたいなことになり攻撃された、と。
「・・・ライン、それはダメだと思うな」
「ダメとかダメじゃないとか関係ない!気絶させても連れてく!」
ミユは本当にご立腹です。とばっちりだけはごめんだ。とりあえずラインを睨んだ。がラインは少し何かを考えた後に閃いたような顔をして
「はぁ〜、仕方ありませんね。では条件付きで行ってあげましょう。私と決闘して1ダメージでも私が受けたら行きます。ただし、私がノーダメで勝ったら見逃すということで・・・フフフ、さぁ私の屍を越えて逝け!」
・・・何て言うか部長らしい。なんでもそうだこういう展開の時は毎回試練っぽくされる。そして、この時の部長は負ける試合をしない・・・いや、勝ったためしがない。
「それで戻って来てくれるんですか?」
「ええ、私は嘘偽りなく今の事はちゃんと守りますよ」
「いやいや、ミユいくらなんでも無理だ。だいたいレベル差がありすぎる。こんな勝ち目がないものに乗らない方がいい」
「ん?でしたらみなさん全員で掛かってきてもいいですよ。それぐらいでいいぐらいのハンデでしょう」
いや・・・なんか部長に腹が立ってきた。なんかすっげー上から目線なんだが、部長のくせに
「シルク、レイン、トールついでにバカ手伝って、お願い」
「お前、バカって俺のことか?俺なのか?」
「・・・だめ?」
「うっ・・・・いや、いいけどな」
見ましたかみなさん今レッツァがミユにバカ呼ばわりされたことに講義したけどミユの涙目&少し声を掠れさせての「だめ?」に撃沈されましたよ。ここまでならいいんだがそのあとミユが小さくガッツポーズとやってやったっていう笑みがありましたよ・・・ミユの見る目が少し変わるな・・・
「じゃあ決まりですね・・・では闘技場一カ所適当に借りてやりましょうか」
−−−−−−闘技場《悪》
ちなみに闘技場の名称は場所を区分するだけの文字でしかないから神とか悪とか書いてあっても特になんの関係もない。
「なあ、ミユ。ラインってどんな戦闘スタイルなんだ?見た感じ後衛タイプの魔術師のようだが・・・」
ミユは頭を横に振った。
「杖はただ魔法攻撃力を上げるため。ラインさんはインファイト型の魔術師よ」
ミユからいろいろ情報をもらい一先ず作戦も立てたとりあえず陣形はいつもとは違い前衛レッツァ、ミユ真ん中にシルク後衛はレインと俺だ。この配置はラインのトリッキーな動きに対応するためである・・・さらに言ってしまえば一撃当てればいいのだから慎重に闘えば数で圧倒しているこちらが負けるはずがない。
「作戦タイムは終わったかね?では始めましょう」
みんなが武器を構えカウントが始まる。
3・・・2・・・1、fight!!
カウントが終わった瞬間にミユ、レッツァが動き出す。
「《火砕》!」「《サンダーショット・散》」
レッツァの炎属性による攻撃とミユの雷属性による魔法でレッツァは真正面からミユは囲むように雷弾を放つ・・・一発でも当たればこっちの勝ちだからな
「《覚醒》、オン。《アイスランス》、《グレイブブラスト》、《カオスエッジ》」
「な!」「きゃっ!」「《シャインシールド》!間に合ってくれ!」「ミユ、レッツァ!」「ミユちゃん!」
いきなりラインの体から黄色いオーラが出たあと魔法を連発してきた。レッツァの《火砕》は氷の槍とぶつかりレッツァが押し負けた。ミユの《サンダーショット・散》は土の弾丸に全弾撃ち落とされた。最後に唱えてきた《カオスエッジ》ラインの頭上から大量の黒い剣が出現し弾丸のように射出されミユとレッツァ襲った。ミユは少し後ろの方にいたのでシルクの《シャインシールド》で防がれたがレッツァは二本ほど剣が直撃しもうライフがあるかないかのぎりぎり、生き残れたのはただ運がよかっただけだと思われる。
「悪いね、君達。私は初めからクライマックスですよ」
ラインは笑っていたが、異変もあった・・・ライフとAPがほぼ無い、いやAPに関しては0だった。俺はラインを見る顔に出ていたのかラインは
「ライフ、APともにあなたがたに削られたものではありませんよ。これは《覚醒》というスキルでね、ライフを1にAPを全て消費することにより初級魔法系は全てAPを消費せずに使えるのですよ。しかも・・・」
「な、に?」
かなり距離があった俺との差をかなりの速度で近づいてきた。軌道が読めない。
「敏捷、魔力パラメータの上昇もあります。《エイトフレア》《サンダーショット・散》《ウインドボム》」
「《エクスプロージョンブレイド》!・・・・・・・・・・がはっ」
《エイトフレア》の八つの炎弾は《エクスプロージョンブレイド》の爆発で相殺し、《サンダーショット・散》の包むように狙ってくる雷弾を前に進むように回避したが、それはラインの狙いで《ウインドボム》−緑の球体の射出、何かに衝突すると衝撃波を発生させる−をまともにくらうことなり吹き飛ばされた。
・・・手数が違い過ぎる!
まず初級魔法系と言っても初級魔法系スキルのアーツレベル5のアーツは中級魔法系スキルのアーツレベル4並の威力、性能はあるそれをAP消費がないから連発できる。まったくふざけたスキルだ《覚醒》っていうスキルは。
「ああ、勘違いしてもらっては困りますね。このスキルにだって欠点はありますよ。まぁ今はそれを言いませんがこのスキルを修得していることはミユさんは知りませんでしたからあなたたちが対応できなくてもおかしくはありませんよ?ですがこれで終わりですか?」
ラインはまったく余裕な顔だった。ライフは1で一発当たれば負けるというのに
「まだだぜ、部長!俺もあと一撃くらったら負けるが・・・俺が勝つ!」
《ソニックエッジ・散》を放ち分散した風の刃を飛ばして闘いを再開させた。そして、みんなと立ち向かった。
−−−−−−−−
「ちくしょー、ラインさんって何者だーーーー!」
俺達はあれから二分後には全滅した。今叫んでいるのは初めに負けたレッツァ。
「何故負けた?レベル差か?いや、レベル差だけじゃないな圧倒的に経験の差が・・・」
とブツブツ独り言を続けているのは最後まで粘ったシルク。負けていった順番を言うとレッツァ→ミユ→レイン→トール→シルクだ。
そうそうあの理不尽スキル、あれは《覚醒》というスキルでライフを1にAPを全て消費することにより『5分間』魔力、敏捷パラメータの上昇と初級魔法系スキルのアーツをAP消費することなく発動できるようになる。しかしこれは再度使用時間が24時間つまり丸一日経たないともう一度は使えない。一見最強なスキルに見えるが同レベルの相手だったらライフを1にしてギリギリの状態で闘うにはリスクが高すぎる。さらに言ってしまうと再度使用時間が一日なので一回きりの『5分間』を耐え抜かれたらライフ1、AP0はただ何もできず一撃で葬られるだけ。諸刃の剣といえるだろう。
でもってそのスキルを使って大暴れしてくれた張本人はなんだかんだ言ってギルドへ行った。ミユが「私は何をしていたんだろ・・・」とか言いながらガーン!っていう効果音が似合いそうな感じになっている。
・・・まあ、俺もまだまだ弱いという事だな・・・部長に負けるとか屈辱的過ぎるな。いつか、ぜってー倒す!
−シルクとレッツァの反省会−
シル「このコーナーなんでもありだな・・・」
レッ「いや〜今日の人すげー強かったな!」
シル「なんで僕がこんな熱苦しい奴と・・・」
レッ「どうした?何さっきからぶつぶつ言ってるんだ?」
シル「・・・いや、なんでもない。レッツァは今回ラインさんと闘って敗因は何だった?」
レッ「魔法は卑怯だ!」
シル「いや、質問の意味理解してるか?」
レッ「男なら魔法なんか使ってんじゃねー!」
シル「・・・黙ってろ」
レッ「うおっ、あぶねっ!剣なんて投げるなよ」
シル「話が進まない・・・主旨がまったく意味をなさない」
レッ「何落ち込んでんだよ。なんかあったか?」
シル「お前のせいだ!」