聖拳士 セシリア
死霊の軍団がセシリアに向かって走り出す。
セシリアは戦闘態勢を取る。空手のような型で
脱力させ余分な力がかからないようにさせる。
「闇を浄化する聖なる闘気よここに」
『聖拳武装』
セシリアの周囲のオーラが白く輝き
腕と足に純白のガントレットとソルレットを装着
セシリアは押し寄せる死霊の攻撃を躱しながら
祈りを込め一撃で粉砕していく。
死霊は一瞬穏やかな表情になり光となり
消えていく。
「素晴らしいです。貴方の闘う姿を初めて
拝見させて頂きました。本当にお強い
驚きました。さすが歴代の聖女で最高の聖拳士と
言うところですかね!」
セシリアは戦闘態勢を崩さず
アイゼン司祭を睨みつけ
「そんなことありませんわ。歴代の聖女に
拳で浄化する野蛮な方がいなかっただけですわ」
セシリアは少し口を尖らせ反論
「おっと、失礼をしました。そんなつもりで
言ったわけではないですよ。そうですね
聖女になられる方には今までそう言った方は
いなかったかもしれませんね。
教育係の方に何か言われましたか?」
アイゼン司祭は少し笑いながら言った。
「昔のことです。
私は身体を動かすのが好きなんです」
「私は本当に感動したんですよ。
とても軽やかで美しく舞うように闘う貴方に、
私には見えました。
拳にのせた貴方の祈りを!
死霊達が浄化される喜びを!
なんと素晴らしい技でしょうか!
神に選らばれし者とはこう言う方なのですね!」
「貴方も神に使えた司祭ではありませんか
今からでも遅くはありません。どうか
止まって下さい」
アイゼン司教は黙って首を横に振った。
そんなアイゼン司祭を見て悲しい顔をするセシリア
「もう後戻りは出来ません。私は決めたのです。
娘に会うためにはどんなことでもすると!」
「アイゼン司祭それはまやかしです。
ひとは………死んだらもどりません」
「はい、分かっております。それはひとのことわり
から逸脱したこと。神でもない限りそんなことは
出来はしない」
アイゼン司祭の後ろから10歳前後の少女が
現れた。
「娘のアンです。アンおいで!」
アイゼン司祭に言われるように彼に近づき
少女の頭を優しく撫でた。
「アイゼン司祭その子は…………もう死んでいます!」
アイゼン司祭は手を強く握りしめ
堪えるように言った。
「分かっていますよ。アンは去年盗賊の一団に
よって殺されました。私がお勤めのため
教会に出向いた時でした」
アンを優しく撫でながら怒りの形相に変わる。
「分かっています。私がいたところで、
武力のない私では死体が一つ増えるだけだ
それでも後悔はあった。
何故私はあそこにいなかったのか、
何故私はこんなに弱いのか、
何故私は娘を救うことが出来なかったのかと、
苦悩は憎しみへと変わりました。
そこに現れたのが女神様でした。
今まで使えていた女神様達とは異なる神
『女神ヘル』
女神様は私の願いを叶えるための力を授けて
くれました。この『死霊使い』のギフトを……
私はまず、盗賊を根絶やしにして、こうして
死霊として扱っています」
後ろでわらわらと動く死霊
「こうして盗賊共を殺し復讐を果たすことが
できました。しかし私の本当の願いは
そんなことではない!
『娘のアンにもう一度会いたい』
それこそが私の願い!
たとえどんなことをしようともです」
「アイゼン司祭こんなことをしてもアンさんは
帰ってきません!」
「ヘル様は言いました。アンを生き返らすことは
できると!それには力をつけなさいと!
私は死霊使い多くの人を殺すことで力をつける
ことができます」
「アイゼン司祭もうこれ以上罪を重ねて
はいけません!」
「私はもうアイゼンではありません。
『ヴォル』それが私の新しい名です。
セシリアさん貴方も私の糧となりなさい」
ヴォルは新たに死霊を召喚
「ドラゴンゾンビ………」
ドラゴンゾンビは毒のブレスを吐く
セシリアはアッパーカットの態勢をとり
『聖龍昇波』
地面から天に向かって腕を振り上げる。
ブレスは天に向かって立ち上ぼり浄化される。
セシリアは一気に側面から回り込み
ドラゴンゾンビの側面を叩く、
華奢なセシリアからは考えられない
膂力によってドラコンゾンビは傾く
セシリアはそのまま連打で拳を叩き込み
ドラゴンゾンビを浄化していく。
しかし、ゾンビとはいえドラゴンかなりタフ
セシリアはこのままでは倒せないと感じ
一度距離を置き、力を溜める。
浄化の光によって悪しき魂に安らかな眠りを
『シャインブロー』
セシリアの正拳突きから強烈な光が迸る。
光に飲み込まれたドラゴンゾンビは
跡形もなく消滅した。
「なんと!?ドラゴンゾンビをこうもあっさりと
倒すなど………」
ヴォルは驚愕する。
セシリアは確かに聖女では考えられない
武力を持ちえているとわかっていたつもり
だった、しかしこれほどとは思っておらず
このままでは勝てないと感じていた。
「ヴォルさん!少しお手伝いしましょうか?」
そこに一人の男が現れた。
「魔族………」※セシリア
その男は紳士のような格好をしており頭には3本の角
生え赤く鋭い目つきでセシリアを捉える。
「マグナル様申し訳ない。お手間をお掛けして」
※ヴォル
「いーえ気にしないで下さい。同士を助けるのは
当然のことです」※マグナル
「あなた、どこかで見た覚えが………」※セシリア
マグナルはきれいなお辞儀をして、
「どうも初めまして聖女セシリア
私の名はマグナルと申します。
今は魔王を名乗らせて貰っています」




