-part23-命日
「最近、女を連れ込んでいるそうじゃないか」
「ぶー!!」
「汚いぞ。どうして、いつもお前は味噌汁を吹くんだ?」
「父さんが、味噌汁を飲むタイミングで変な事を言うからだろ!」
吹き出した味噌汁をティッシュで拭く。
最近、朝、来なくなっていた父が久しぶりに朝食を作りに来た。
「部屋に女を連れ込んでいるって美穂から聞いたから、わざわざ、休みの日は来ないようにしてやったんだ。それでどうだ。進展はあったのか?」
「そんな仲じゃないから。後、もし、そうだったとしても話す訳がないだろ!」
これが理由で着てなかったのか。
「・・・明日は来るのか?」
さっきまでの茶化す言い方ではなく、父は重々しく訪ねて来た。
「父さんたちは?」
「午前中に行こうと思ってるんだ。良かったら、紘一も・・・」
「いや、学校今日は大事なテストがあるんだ。だから放課後行くよ」
「そうか。分かった」
大事なテストなど、嘘である。
俺は逃げているんだ。
「父さん。もう行くからな。これからは平日だけ作りに来るようにするから」
「分かった」
「避妊はしろよ」
「やっぱり、二度と来ないでくれ」
最後に茶化しを入れ、父は帰って行った。
今日は、母の命日である。




