-part22-やっぱりか
「いえいえ。普通、先に同年代の方と挨拶しますよね。私こそ、いきなり割り込んで、すいませんでした」
一通り、挨拶を交わした後、静紀は首を傾げながら質問してきた。
「それで、みんなさんはどういった集まりなんですか?」
「あー。さっきまで、俺の部屋でゲームをしてたんだよ。それで、もう遅い時間だし、二人を送って帰ってる途中なんだ」
「そ、そうなんですか。気を付けて帰って下さいね。また、明日」
静紀は、ランニングに戻っていった。
「兄貴。日向さんと何があったの?」
「へ?」
美穂が、俺に詰め寄って質問してきた。
「はぐらかされたけど、本当に何があったのか教えて」
必死になっている美穂には悪いが、俺は口を割らなかった。
「もう、いい。兄貴には頼らない。自分で調べる。ここまで、着たらもう送らないでいいから。じゃあね、奈菜いこ!」
「え。美穂?・・・おっとっと。紘一、またね」
「おい。待て・・・」
待て。が聞こえなかったのか、それとも無視されたのか分からないが、二人は、俺を置いて行ってしまった。
* * * *
「あー!ムカつく!!」
紘一から離れた後、溜めこんでいたのを吐き出すように、美穂は何度も地面を蹴って怒りをあらわにしていた。
「どうして、平凡なうちの兄貴が、あんな美人な人に好意を持って貰えるのよ!!」
「落ち着て、美穂」
なだめようにも、落ち着いてくれなかった。
「奈菜の事はライバルだと思って挨拶して、私の事を後回しにしたんだよ!これが、落ち着けるはずなよ。私、本気で怒ったんだからね。徹底的に調べ上げてやる!!」
意気込みを口にする美穂を横目に私は考える。
やっぱりか。と。
 




