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すれ違い実行委員会  作者: ステルススター
第二章-鉢合わせ-
20/29

-part18-明るい方がいい

 奈菜は、明るく元気な性格の女子。では、なかった。

 初めて、奈菜と出会ったのは小学生の時。

 第一印象はよく分からない暗い奴。

 みんなが友達と行動をする際、基本的に奈菜は先生と一緒にいた。

 

 「ねぇ。みほちゃん?いっしょにおたんじょびかいしない?」


 「・・・・・・」


 偶に、そんな奈菜を見かねて、話しかける者もいた。が、美穂は返事を返すことはなかった。

 

 「みほって、せんせいをひとりじめしたいから、いつもひとりでいるんじゃない?」


 誰かが、そんなことを言い出した。

 まだ、幼い子供たちは、この誰が言い出した言葉か分からないものを、疑いなど持ず、より一層に奈菜を孤立させた。


 「ふざけんな!」


 母に話すと、何故か自分が怒られた。


 「いいか。孤独っていうのはつらい。私も独り身の時、どんなに夫、彼氏持ちの奴らに馬鹿にされた事か」

 

 それとこれとは話が違うじゃないか?

 疑問を持ちつつも、母から奈菜と仲良くやれと命令・・・お願いされて、次の日から俺は、奈菜に話かけに行くようになった。

 初めのうちは。


 「あの。奈菜ちゃん?俺、坂上紘一って言うんだけど・・・」


 「・・・・」


 案の定、無視された。

 それでも、話かけ続けた。


 「紘一。今日、学校帰りに、みんなで野球やるんだけど」


 「家に帰った後、行くよ。よし、美穂ちゃん。帰ろ」

 

 奈菜の家は、自分の家からほんの数件離れた所にあったのだ。

 だから、俺は奈菜と仲良くなる為に、毎日一緒に帰った。


 「紘一くんは・・・なんで?・・・一緒に帰るの?」


 「うぁ!」


 あまりにも突然の事に驚いてしまった。

 一緒に家まで帰宅するようになって、ふた月ほど経過したある日。初めて、奈菜が喋ったのだ。


 「・・・・・」

 

 奈菜は下を向いて、また黙ってしまった。


 「なんでかって?うーん。ママに言われたのもあるんだけど、やっぱり暗いよ明るいがいいじゃん」

 

 「・・・明るい?」


 「そう!明るい」


 「・・・分かった」


 「分かってくれて良かったよ」


 正直。何に対しての「分かった」と、いう言葉なのか、さっぱりだった。が、この日を境に俺に対して明るく、接してくれるようになり。お互い下の名前で呼び合う仲の良い幼馴染になっていった。

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