-part17-親しき中にも
「兄貴。警察呼ぶね♪」
「待て待て!なんで警察を呼ぶんだよ」
スマホを取り出し、電話を掛ける素振りをする、美穂を慌てて止めた。
「だって兄貴が、奈菜の事を犯そうとしてたから・・・」
「そうじゃないから!トイレに行こうと立ち上がったら足が痺れてて、奈菜の方に倒れてしまったんだ。事故だ!」
「ふーん。その割にはなんか、やる雰囲気になってなかった?」
「なんだよ。やる雰囲気って」
「大体さ。奈菜は兄貴以外の《《友達》》と遊ぶべきで、いつまでも兄貴に頼ってるから・・・」
「美穂!」
許されない発言をしたので、思わず怒鳴ってしまった。
奈菜と美穂は、面識もあり、下の名前で呼び合う親しい仲ではあるが、言っては、いけない事だってある。
「紘一。いいの。美穂ちゃんが言ってるのは事実なんだから」
落ち込む、奈菜。
怒鳴られて、言い過ぎたと後悔する、美穂。
「「「・・・・・・」」」
静かで重たい空気の中、時間が流れて行く。
「・・・奈菜。ごめんなさい。言い過ぎた」
「うん。いいよ」
美穂が、謝って奈菜が許した。が、少しの間はギスギスした時間が続いてしまった。
 




