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-part14-実行

　土曜日。中村へすれ違い実行を行う日。

　既に、下準備は終わっており、実行者は所定の場所で待機をしている。

　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊　　　　＊

　「ごめん、啓輝。待った」

　「うんうん。待ってないよ」

　今日も女子とのデートに勤しんでいた。

　予定では、計四人の子とデートをする事になっている。

　何でこんな事をするのか？って俺が複数の女性と付き合っているのに気づいた奴は思うだろう。

　理由は特にない。強いて言えば、複数の女子から好意を持たれている状態が気持ちいが良いから。一人の女しか愛せない奴に比べて、俺は複数の女性を愛することが

出来ているのだから、より優れた男だと言えるだろう。

　「啓輝。急に黙って、どうしたの？」

　「あっ。いや、なんでもないよ。さぁ、いこ」

　「うん」

　女子の手を繋いで歩き出した。

　「ちょっと。いいかな」

　いきなり、肩を掴まれた。

　「えっと。どちら様ですか？」

　振り向くと、そこには怖い顔のお兄さんが、俺を睨んでいた。

　「まぁ、こっちで少し話をしようか」

　無理やり肩を組まされ、近くの路地へ連れられた。

　「どういう事？」って女子がなっているのに構わず、怖いお兄さんは俺に話かけてくる。

　「俺の彼女を取ったな、お前」

　「取ってません」

　ドン！横を蹴飛ばす、怖いお兄さん。

　「嘘つくなよ」

　一体誰だ。

　どの女子の事を言ってるんだ？

　女子は、彼氏がいない人を選んでいたのに。

　俺が考えていると、女子が俺と怖いお兄さんの間に立った。

　「・・・あの。私、貴方の彼女じゃないんですけど。いい加減にしないと警察呼びますよ」

　「（助かる）」

　心の中で、女子を褒める。

　警察の話をしたら流石に、この怖いお兄さんも帰るだろ。そう思っていた。

　「違う。お前の話をしてる訳じゃない。この男は複数人の女と付き合ってるんだ」

　「はぁ？」

　まずい。

　「啓輝。今の話って本当？」

　「嘘に・・・」

　「へぇ。俺が嘘言ったって言うんだな」

　「本当に、ありえない」

　さっきまで、俺の事を守ろうとしてくれたのに、女子は怖いお兄さんと一緒になって俺を責め始めた。

　「啓輝。どうして？」

　「いや。どうしてって言われても・・・はぁ。分かりました。お兄さん。すいません。お兄さんの彼女と別れます。これでいいでしょうか？」

　「ちょっと待ってよ。私の質問は？」

　「うるさいな。君とも別れる」

　「はぁ？なんでそうなるのよ」

　「いいだろもう。今まで散々いい思い出を作ってやったんだ」

　なんではこっちのセリフだ。どうして、丸く収まらない。

　今まで良い思いさせてやったんだから、別に今までのデートで使ったお金を返せとか言ってないんだから、別れる時くらいスッと別れろよと思う。

　「・・・分かった。俺の彼女とは明日中には別れろよ」

　「はいはい。分かってますよ。それで、彼女の名前を教えてください」

　「自分で聞いて別れろ。ただし、もし泣かして見ろ。どうなるか分かるよな？」

　「無茶な事を・・・」

　「あぁ？」

　怖いお兄さんは俺の首根っこを掴み、足が少し地面から離れた。

　「ふざけるなよ！それと今ここにいる彼女にも土下座で謝れ！」