-part9-鼻血
日曜日。
久しぶりに予定はない。
厳密には予定は昨日で完結した。
中村は情報通り、完全にクロだった。
その情報を確認するのに、土日の二日を利用する気でいたのだが、土曜日だけで済んだ。後はすれ違い実行委員会の会議でどうするかを決める。だから、今日は暇なのだ。
布団の中から手を伸ばす。
確か、この辺に時計があったはず。
体感的にお昼前。いつもなら起きて色々やっている時間だが、完全に予定がない今日の俺は無敵。時間を確認したら二度寝しよう。
むにゅ。
やわらかい。
むにゅむにゅ。
なんだこれは?
こんなにやわらかいもの部屋にあったか?
むにゅむにゅむにゅむにゅ。
「やわらかいが、量が少ないな」
「おい。殺すぞ。糞兄貴」
マジトーンの声を聴き、バッと布団から体を起こす。
「美穂?!なんで、俺の部屋にいるんだ・・・ぐぁ」
蹴りが俺の顔に炸裂。
「質問の前に謝罪!」
「分かったから。ごめん。それとティッシュ。鼻血が止まらない」
手で抑えてるが、ポタポタと落ちる鼻血。
「えっ。あ。ごめん、やり過ぎた」
美穂は大急ぎでティッシュを数枚取って、俺の鼻を抑える。
「美穂、自分で抑えるから」
「駄目。兄貴はじっとして」
まさか無敵と思っていた今日の始まりが、妹からの蹴りを受けるなんて思ってもいなかった。
「よかった。鼻血止まったぁ」
俺の鼻血が止まって、喜ぶ美穂。
「えっと。すまん。それで今日はなんの用事?」
触ってしまった事に対して謝った。
「本当に、兄貴はひどい。私の胸は小さくないから」
「・・・・・」
「もう一回、鼻血出す?」
「なんでだよ?!」
ニコッと可愛い笑顔で恐ろしい事を言われた。
「で、用事は?」
「兄貴。さっきから、用事は?って聞いてくるけど、用事がないとここに来ちゃ駄目なの?」
「そんなことはないけど」
美穂が、今まで用事なしで俺の部屋に来た事がなかったから、つい身構えてしまっていた。




