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ポイント使用

 所持ポイントがエグいことになっているのを確認してから、数時間が経過していた。

 既に夜も深まってきていたが、興奮状態にあるため、当然眠ることもできず、俺はひたすら、何故こんな事態に陥ったのかを考えていた。

 そりゃそうだ、いきなりあんな量のポイントが手に入ったら、誰だって不審に思うだろう。

 これが好評なら良いが、動画投稿サイトでは、低評価も反応として認識されることがある。

 もしかすると炎上したのかもしれないと、アンチに待ち伏せされて吊し上げられる未来を想像したら、怖くて外を見ることも憚られる。


「そ、そもそも、本当は実況ポイントなんて存在していないんじゃないか?」


 異世界での一人暮らしというある種の極限状態に陥った俺の脳が、勝手に想像しているだけなのかもしれない。

 仮にそうだとすれば、これは夢のようなもの。

 俺は炎上することもなく、今後も伸び伸びと生活できる。


「とりあえず、実況ポイントで何か買ってみるか……」


 早速、水と肉を購入してみることにした。

 どこから湧いて出たポイントかわからないが、加算されている以上、勝手に使っても文句は言われないだろう。

 交換ページにある『肉』という項目、その横にあるチェックボックスをタッチすると、その部分が緑色に染まる。

 そして、同じように『水』のチェックもつけ、画面下部にある『交換』に触れた。

 続いて現れた「交換しますか?」という確認に対し、恐る恐る「はい」を押した瞬間、突如、元からそこに存在していたかのように、目の前に肉と水が出現した。


「わぁ……便利」


 水は500mlのペットボトル一本分、薄い木の板に乗っている肉は……どのくらいかはわからないが、一食満足できるくらいだ。


「あんまり多くても保存方法がないし、ありがたいな」


 これで、散歩にしては長い道のりを歩かずに済むし、命を奪わなくても良い。

 加算されたポイントだけでしばらく生きていけるだろうし、この世界で生き抜くハードルがだいぶ低くなった気がするな。

 そんな事を考えながら、出現した肉を手に取ってみる。

 どこから持ってきた肉なのか、という質問は野暮というものだろう。

 夜食は美容の大敵というのはよく聞くが、買ってしまったものは仕方あるまい。

 謎の肉と冷えた水で、さらに胃を満たすことにした。

 ちなみに、味的に牛の肉だった。

 暫定的な法則で言えば、兎の肉しか手に入れていないから兎肉が出てくると思ったのだが、肉という大まかな括りで管理されているのかもしれない。

 この理論でいくと、俺が小屋を完成させれば、城の交換がアンロックされるのかも。

 だんだんと仕組みを理解しながらも、その日は編集の疲れを癒すように眠りについてしまった。

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