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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画
46/261

42話

「たっだいまーーー♪」


屋敷のドアが開き、翡翠の元気な声が凛達の元に届けられた。

彼女は満足げな様子でリビングに入り、その後ろに楓達が続く。


「お帰りー。翡翠、ご機嫌だね?」


「んふふー♪あたしと楓ちゃん、それに玄君が進化出来る様になったんだー!」


「お、おめでとう。火燐達が進化したし、翡翠達もそろそろかなぁとは思ってたんだ。」


そう言って、凛は翡翠、楓の順番で視線をやる。


「ありがとうございます…♪ただ、藍火ちゃんと玄君に戦い方も教えてたので、思ったよりも時間が掛かってしまいましたけど…。」


「それで玄も進化に至ったんだ。武器は渡してなかったから…魔法とか?」


「はい…。同じ闇属性と言う事で、イルマちゃんに指導をお願いしました…。」


「そうだったんだ。イルマ、玄に魔法を教えてくれてありがとう。」


「い、いえいえ!いつもお世話になってるし!それにこれ位なら全然全然大丈夫だから!」


イルマがわたわたしながら答えていると、沈んだ様子で主様~…と聞こえて来た。

凛達は声のする方を向くと、そこにはかなり落ち込んだ表情の藍火が。

藍火はどんよりしたまま口を開く。


「自分も戦い方を教えて貰ったっす。でも上手くいかなかったんすよ…。」


「藍火ちゃん、上手く武器を握れないみたいなの。」


「上手く握れない?」


「うん。ほら、藍火ちゃんは元々ワイバーンだったでしょ?ワイバーンは腕がそのまま翼にもなっちゃってて、物を掴む機会がなかったと言うか…。

だから早い話、藍火には握力がほとんどないみたいなの。エルマちゃんの剣とか、月夜ちゃんの槍とか、小夜ちゃんの短槍。それ全部振り回した時にすっぽ抜けちゃったしねぇ。」


藍火は剣、短槍、槍の順番で使い勝手を試してはみたものの、いずれも振りかぶった直後(敵ではなく)明後日の方向へ飛んで行った。

それを目の当たりにした持ち主達が「あたしの剣ー!?」等と叫んで慌てて取りに向かい、「あれ?」と藍火が不思議がる場面も。


「そう言う意味か…。藍火でも使えそうな武器を考えなきゃだね。」


「うう…申し訳ないっす。」


「あ、でもでも!見た感じ、玄君は槍が向いてそうだった!」


「成程。今度武器を作る時の参考にさせて貰うね。」


凛達が話をしている間、ウタル達やサム達は天使(エルマ)悪魔(イルマと玄)、それに鬼人達(月夜と小夜)の後に藍火を見ていた。

そして、「今、ワイバーンって言った?」「いやいやまさか。どう見ても人間にしか見えないだろう。」「きっと名前だけ同じで全くの別物に違いない。」等と話す。


しかし、トーマスから名付けの影響でブルーフレイムドラゴンになったと知らされ、子供達と篝は興奮し、大人達は揃って青ざめる。


また、雌ゴブリンは玄に興味があるのか、彼の事をじーっと見ていた。




「戻ったぜー。」


そこへ、今度は火燐が1人の女性を抱き抱えた状態でリビングに入って来た。

少し遅れる形で雫、それと4人の男女(内1人は獣人)も後ろに続く。


その女性は20歳位の見た目で赤紫色の髪を背中まで伸ばしているのだが…両手両足がなかった。

より正確に言えば、体の何箇所が黒く変色し、右腕は付け根、左腕は肘、両足は太ももから先がなく、いずれも黒ずんでいる。

呼吸は少し荒く、気を失っている様だった。


凛達は初めて見た為に分からなかったが、ナビからの情報で女性が『呪い』の状態異常を引き起こしているのが分かった。

症状は重く、このままだと遅くても明日か明後日には死んでしまう程だ。


凛は女性の具合を見て驚き、しかしすぐに落ち着きを取り戻す。


「…お帰り。色々と突っ込みたい所ではあるんだけど、今は後回しだ。火燐、その女性の治療に入るからソファーに寝かせて貰える?」


「分かった。」


火燐は凛の指示で近くにあるソファーに女性を寝かせ、すぐに身を引いて凛が治療出来る態勢にした。

女性の横に立った凛は手を前翳し、光系超級魔法キュアを放つ。




光系超級魔法キュアは中級魔法リカバーの完全上位互換となる魔法だ。

治るまでに掛かる時間がリカバーよりも早く、しかもそれまで対応出来なかった『呪い』『猛毒』『魅了』『洗脳』『腐蝕』に対しても効果がある。(一応、単体でなら治療出来る手段はある)


発動後、カリナを仄かに白い光が包み、彼女の黒ずんだ両手足がみるみる内に元の肌色へと戻っていく。

この光景に火燐と雫は満足し、(天使なのに光の適性があまりない)エルマは羨ましそうに、ニーナ達を含めた新参組は驚いたり興奮したりする。(美羽達、紅葉、イルマは笑顔)




その後、念の為にとの事でカリナをパーフェクションヒールで回復した凛が口を開く。


「…それで、2人はどこに行ってたの?」


「ナビに頼まれてスクルドに行ってたんだよ。」


「スクルドって…アダマンタートルを買った人が治めているって言う?」


「ああ、そのスクルドだ。そこの奴隷商に、もうすぐ死にそうな奴がいるから助けて欲しいって言われてな。」


「でもスクルドはここから真っ直ぐ北東へ30キロ位離れた場所にあるよね?行きは飛んで向かえたとしても帰りは…いや違う。ドアの開く音がしなかったし、もしかしてポータル?」


「…正解。ナビから、行ってくれたら私達でもポータルを使える様にすると言われた。」


「…時空間適性か。」


「やっぱ凛には分かるわな。オレ達はジラルドの近くまで飛んで移動した後、そのまま列に並んで中へ入ろうとしたんだが…。」


「何か問題があったの?」


「私達、身分証を持っていない。」


「あ、そうか!(凛の名前を出せば顔パスで通れる)サルーンが特殊で、しかも証明出来るものがないからどうしても時間が掛かる。」


「順番が来るまでに1時間以上待たされ、オレ達を調べるだけで15分だぜ?全く嫌になっちまうよ。

で、スクルドに入ったら入ったで、何でか知らねぇが周りにいる奴らがオレ達を見ちゃあこっちに向かって来るだろ?全員ぶっ飛ばしはしたけどよ、鬱陶しいったらなかったぜ。」


「あー、2人とも可愛いからねぇ。」


火燐はうんざりしながら話し、凛が困った笑みで答えた。

これに2人は不意打ちを食らったとばかりに驚き、雫はやや恥ずかしそうにする。


そして火燐は照れながらそっぽを向き、「んだよ。凛の方が可愛いに決まってんだろ、何言ってんだよ…。」と呟きつつ、共に満更でもない様子を浮かべる。


火燐も雫も、普段凛達と行動を共にする為あまり目立たず、集団の内の1人と言う扱いだ。

それでも、各国に1人いるかどうかと問われる位の美女・美少女だ。

凛の凄さが伝わっているサルーン内を歩くだけでも注目されるのに、2人だけで…しかも護衛も付けず普通に歩いていたら間違いなくトラブルの元となる。




火燐は若干顔を赤くしたまま話を進める。


「ごほん。取り敢えず、だ。やたら絡まれるせいで全然前に進まなかった。変な女にも絡まれたしな。」


「変な女?」


「…デイジー・ヴァン・ジラルドと名乗っていた。」


「ジラルド…って、もしかして。」


「多分、スクルドを治める者の娘か何かだと思う。」


「…因みにだけど、何をしたの?」


「目の前でいきなり『貴方方、私より美しいなんて許せませんわ!』って叫ばれた。意味不明。」


火燐と雫は凛達を見慣れているのも関係してなのか、自分を普通の見た目だと思っている。

なので(17歳位でそこそこ良い見た目のお嬢様である)デイジーから扇子を突き出しながら叫ばれた際、2人は美人が後ろにいるのかと視線をそちらに向けた。


しかし誰もいなかった為に顔を見合せ、不思議がる。

それが更にデイジーの不興を買い、怒り狂った彼女は護衛である8人の兵士を火燐達に差し向けた。


「そんでそいつの護衛が襲って来たからちゃちゃっと倒し、オレ達の事は放っておいてくれとお願いしたんだ。」


「あれはお願いとは言えない。デイジー、火燐に凄まれたせいで逃げた。兵達を置いて。」


その時、兵達はデイジーが逃げる様を信じられない表情で見ていた。

そして火燐からの視線に気付き、再び攻撃されては堪らないとして慌てて彼女の後を追う。


「良いんだよ細けぇこたぁ(事は)よ。ようやく奴隷商に着いたオレ達は、中を見て周り、カリナと(ナビから性格的に問題ないと言われて)後ろの奴らを買ったんだ。あ、凛がフォレストドラゴンを売ったお金、ちょいと使わせて貰ったぜ。」


「あ、購入資金はそこから来たんだ。」


「当たり前だろ?オレがお金を持ってる訳ねーし。」


「確かに。僕もこの世界で初めてお金を得たのは昨日だったからなぁ。」


「何はともあれ、だ。凛、カリナを治してくれてありがとうな。」


そう言って火燐はにかっと笑い、両手足が黒ずんだ女性ことカリナに視線をやる。




すると、タイミングを見計らったかの様に、カリナがゆっくりと目を覚ました。


「ここは…?」


カリナは奴隷商の中で火燐と話したのを最後に気を失い、しかも知らない天井だった為、混乱している様だった。


「ここはオレ達の家だ。カリナ、自分の体を見てみな。」


「火燐…様…?から、だ…?」


そう言って、カリナは両手を目の前にやり、自分の手が黒くないと分かるまでに少しの時間を要する。

そして、麻で出来たワンピースから覗く足も見て自分の体がすっかりと戻っている事に安堵し、その場で泣き出してしまう。


しかしすぐにはっとなり、「自分を治療してくれたのは誰」と言わんばかりの表情を火燐に向ける。


「お前を治療してくれたのは、そこにいる凛だ。」


火燐は頷き、凛がいる方向を視線で指し示すと、カリナは土下座し、何度も頭を下げながら凛にお礼を伝えた。

そんな彼女を凛が宥め、カリナは涙した状態で凛の両手を取る。




「はー、やっと帰って来…れ……た………。」


すると、そこへ疲れた様子のジェシカがリビングにやって来た。

彼女の後ろには、少しふくよかな体型で赤い顔をした女性を抱き抱えた暁、次に旭と(ぼこぼこにされたと思われる)男性5人の順番で立っている。


ジェシカは凛とカリナが手を取り合っているのを目の当たりにして硬直。

男性5人組は美人ととんでもない美少女との組み合わせに、めちゃくちゃ興奮していた。


「お嬢さん。俺…いや私、これからこちらでお世話になる者なのですが、貴方様は代表の方とどう言ったご関係でしょうか?」


その中の1人で、いかにも軽そうな感じの男性が凛の元へ向かい、やはりキザったらしい言い方で声を掛けた。

そして凛達の手の上に包み込む形で両手を添え、尚も話そうとする。


「もし宜しければ、貴方の事を教え…。」


ゴッッ


だが、言い終える前にジェシカから拳骨を貰い、その場で崩れ落ちてしまう。


「この馬鹿!ディック、お前が軽いのは分かっちゃいたが、来て早々口説く奴があるか!!それに凛様は男だ!」


「…は?いやいや、待って下さいよジェシカの姐さん。どう見たって女の子でしょう?」


「確かに凛様は物っっっ凄く可愛い。そこは激しく同意するよ。女であるあたしでも羨ましいと思える位にな。」


これに美羽達女性陣が大きく頷き、凛が困った笑みを浮かべ、カリナは目をぱちくりする。


「けどね、この方は紛れもなく男性なんだよ。あたしよりも先に住んでる方々が全員、それを認めてる。」


「なん…だと………。」


男性ことディックは愕然としながら再びその場に崩れ落ち、ウタル達や火燐と一緒に来た者達もそれぞれショックを受けた。


ジェシカはそんな彼らを放置し、凛の前に来た後にその場で跪いてみせる。


「凛様、あの馬鹿はディック。女たらしで軽い性格だが…盗賊団にいた時は斥候の役目に就いててね。腕は悪くなかったから連れて来た。」


「斥候か。うちじゃ僕が辛うじて出来る位だったからなー。」


「そんな事だろうと思ったよ。ま、あいつの事は気にしないで、目一杯()き使ってやってくれ。」


「分かった。ディックさんから色々と学ばさせて貰うね。」


そう言って、凛とジェシカはにやりと笑いながらディックに視線をやり、ディックは顔を真っ青にして体を震わせた。




その後、凛はアルファを呼び、美羽達、ウタル、サム、ジェシカ、ニーナ、トーマスで情報交換を行った。(アルファは初めて登場した時と同じ現れ方をした為、大体の者に驚かれたが)


翡翠達は区画から10キロ程離れた場所までの魔物を倒し、

ジェシカは詰所や奴隷商を回り、ディック達を購入。

だが、イケメンである暁にジェシカを取られたとして何故か嫉妬心を燃やし、彼に戦いを挑むも瞬殺。


ジェシカは慌てて説明するも、視線がちらちらと旭に向いていた事から、今度は旭に矛先が向く。

そこをふくよかな体型の女性ことコニーが体を張って止め、どうにか収まった。

しかし足を(くじ)いてしまい、ジェシカが旭はダメとの理由で何故か暁に抱えられる形になったとの事。


火燐達はカリナを中心としたメンバーで奴隷の購入、並びに近隣に住む貧しい者達の援助をしてはどうだと告げ、これに(凛と目が合った)カリナが力強く頷いた。

その後に凛、サム、ウタルの順番で話を行い、ふと気付けば午後6時を回っていた。


玄はかっくんかっくんと船を漕ぎ、翡翠と楓も眠そうにしている事から、続きは夕食と風呂が済んでからとなった。

夕食を終え、凛は皆を連れてお風呂…になると思いきや、暁から待ったが掛かった。




凛は小学生の時に入った銭湯を最後に、同性との入浴は1度もない。

腰にタオルを巻いてはいたものの、美少女の見た目故に男湯で混乱が起きたからだ。


騒ぎを聞き付けた姉達がバスタオル姿で男湯に乱入し、更に場がカオスとなるのを無視して(良く分かっていない)凛を回収。

その後、また行きたいと話す凛を姉達が猛反対し、入浴は自宅のみか貸し切りの旅館等だけになった。


その為、大人数で入るのを密かに楽しみにしていたのだが、暁に続いてニーナ達からも説得を受けて諦めざるを得ず、あからさまにがっかりした様子となる。




トーマス、暁、旭の3人が男性達に浴室の使い方を説明する形で入浴を済ませ、彼らが上がってから少しして凛が入るとなった。


「はぁ…。」


凛は湯船に浸かりながら溜め息をつき、これにめげず明日もトライしよう…等と考え始めた頃。

脱衣所の方からドタドタドタ…と足音が聞こえて来た。


「…ん?何だか脱衣所が騒がしい様な…。」


「凛。励ましに来た。」


凛が呟きながら脱衣所の方に視線をやると、突然扉がバーンと開き、中から真っ裸の状態の雫が現れた。


「雫!?せめてバスタオルを巻いてから入ってくれない!?」


雫は凛の叫びを無視し、堂々とした振る舞いで彼の所に向かう。


「そうだよ雫ちゃん!!女の子がはしたないよ!?」


「と言うか、自分の服はご自身で畳んで下さい!!」


それから、少し遅れる形でバタバタ気味の美羽と紅葉が姿を現した。

彼女達はしっかりとバスタオルが巻かれており、雫が脱ぎ散らかした服を畳んだのが遅れた理由の様だ。


「…私は凛になら全てをさらけ出せる。2人にその覚悟はある?」


雫は全く悪びれた様子を見せず、浴槽の手前で後ろを振り返り、自信満々にそう言い切った。

2人は雫の言葉に「う"っ」と言って固まった後、互いにこれからどう動くべきかとアイコンタクトを送り合う。




しかし凛は雫の意図を見抜いており、苦笑いで口を開いた。


「…雫。格好良く言ってるつもりなんだろうけど、実はバスタオルを巻くのが面倒ってなだけでしょ。」


「…何故バレたし。でも、さらけ出せると言うのは本当。」


「そうなんだ。まぁ、言い方を変えれば、それだけ信頼してくれてるって事にはなるのか…ありがとう、雫。」


「ん。照れる。」


「…念の為に聞いておくけど、普段から服を脱ぎ散らかすなんて事はしてないよね?」


「し、してない…と思われる。」


「(あ、これは日常的にやってるな。)」


雫は凛とやり取りをしながら浴槽へ入り、ちゃっかりと凛の隣にまで来た所で思いっきり目を逸らした。


「…紅葉ちゃん、どうしよう。マスターと雫ちゃんが良い感じになっちゃってる…。」


「私達も(バスタオルを)取るべきでしょうか…。」


美羽と紅葉はそんな2人を見てその場に座り、神妙な面持ちでバスタオルに手を伸ばす等して話し合いをし始める。


そうしている内に雫が凛に抱き付き、美羽と紅葉も負けじと凛にぴったりと張り付く様になる。

最終的に凛を引っ張り合う事態にまで発展、凛は逃げる様にして浴室を後にし、残された美羽達は呆然とした表情を浮かべていた。




凛はそのまま自室に逃げ、疲れを癒す筈が逆に疲れた事で自然と溜め息が漏れた。

しかしすぐに気を取り直し、作業用に設けた机に座って(先日の進化の影響で体の大きさが変化した)旭、月夜、小夜の武具の作製に入る。


玄の分もこの場作ろうかと思ったが、実際に見てからとの理由で保留と言う事に。


オーガの集落攻略の際、旭は真っ先に、しかも素早く動いた様子から『稲妻みたいだな』と考えた。

その為、『紫電』と名付けた2振りの小太刀、それと暁の色違いとも言える和服を。


月夜は普段からお姉さん的なポジションで皆に接しており、何事にも率先して動くのを(小夜から聞く等して)知っていた。


その為、この先も皆を明るく優しく照らして欲しいと願いを込め、『月影』と名付けた槍。

それと、紺色の生地に満月と(すすき)の絵柄を刺繍した和服を。


小夜は現在戦闘が出来る者の中で1番幼く(実は、ああ見えて玄の方が少しだけお兄さん)、最も弱い。

彼女もそれを自覚しているらしく、月夜を始めとした先輩達の言う事をしっかり聞いている。


いつか他の者達を守れる位に強くなって欲しいのと、鬼繋がりも兼ね、2振りの短槍『夜叉』を。

それと月夜のデザイン違いとでも言おうか、月夜は秋の風景なのに対し、小夜は春風に舞う夜桜の風景をイメージしたデザインの和服をそれぞれに渡した。


また、オーガとの戦いの際、旭、月夜、小夜の3人は武器を相手に投げて倒すのを聞いており、3人の武器にはそれぞれ腕輪もセットで渡した。

この腕輪を装備して武器を投げる、もしくは素手の状態で『来い』と念じると、腕輪をはめた側の腕の掌に現れる仕様となっている。


更に、月夜の月影には細工が施してあり、魔力を籠めて『伸びろ』『戻れ』と念じる事で、柄の部分が如◯棒みたいに伸縮が可能。

この機能を用い、相手を纏めて凪ぎ払える様にしてある。




作製後、凛は旭、月夜、小夜を呼び出し、彼らは作製した武具を恭しく受け取って凛の部屋から出た後、嬉しそうに自室へ戻る。

その様子をエルマ、イルマ、篝、そしてリーリアと玄の5人が羨ましそうに見ては残念がり、自分達もいつかはと気合いを入れ、自室に引っ込む。


そんなエルマ達を、旭達を見送りに来た凛が見ていた。


凛はエルマとイルマはもう少ししたら進化するだろうから進化後に、リーリアはまだ伸び代がある為に未定。

篝と玄は戦う様子をまだ見た事がないからと言う理由で保留と判断し、ゆっくりとドアを閉めるのだった。

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