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『六宝剣』に選ばれなかった異端者  作者: うちよう
二章 暗黒騎士編
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六十九話 会談の果てに

 「貴様、わしに奴隷になれと言ったか?」


 国王が怒り狂うのも無理はないだろう。

 国王という立場ながら、最下位階級の就職先を提案されたのだ。

 そんな国王だからこそ、厄介なことになっていた。

 国王という尊厳が邪魔をしてゼラン達の奴隷になろうとしなかった。

 立場を全く弁えない国王にゼランは、


 「全く立場を弁えないクソじじいだな」

 「ふん、今に見てろ。勇者様がお前らを成敗してくれる」

 「あんまり期待しない方がいいよ」


 勇者頼りの情けない国王にジェールナは忠告した。


 「この国から私達が来たという情報が漏れることないのだから」

 「そうそう、私のせいでごめんねー」


 国王に謝罪するサキュラバー二だったが、その表情から察するに彼女は悪いことをしたと一ミリたりとも思ってはなさそうだった。

 そんなサキュラバー二を含めた暗黒騎士達に国王は威嚇をしながら、


 「哀れな奴らだな。そんなことができるのは神様だけだ」

 「神様とかその年にもなって信じてんのかよ。貴様の言う神様って言うのは六純天使のことだろうが。そんなことも知らねーのかよ」


ゼランの言葉を受けた国王は何も知らないように首を傾げた。

 ひょっとしなくても、国王は誇り高きその地位にいながら、この世界のことに無知で愚かな人種だということは一通りの仕草で容易に理解できる。

 だからゼランとエルフミーラは国王に教えてやったのだ。

 自分が頼ろうとしている奴らがいかに無能で弱者かという現実を。


 「貴様が頼ろうとしている勇者様は俺らと同じ戦闘力を持っている」

 「その中でこないだサタルドスと戦った金崎さん?でしたっけ?あの人は他の勇者に比べて抜けてはいると思いますが・・・」

 「正直俺達の敵ではない。それに奴は六純天使をその身と融合させることができるらしいが、その神様が言ってたんだ。俺とあいつとでは相性が最悪だってな」

 「だから素直に奴隷になっとくべきですよ?」


 ゼランとエルフミーラの言葉を真に受けられないのか下唇を噛みしめながら堪え顔をする国王。

 

 仕方がない、少し脅しが必要だな。


 国王の様子を見たゼランは他の暗黒騎士に命を下した。


 「全員、魔人化百パーセントを出せ」


 その指示の意味を瞬時に理解したゼランを除いた暗黒騎士達は異議を唱えることなく、全員が魔人化百パーセントの力を出力した。

 その光景は誰が見ても地獄の絵面にしか見えなかった。

 悍ましい姿が五つあるのだ。

 常人だろうと勇者であろうとそんな身分は関係なしに腰を抜かすだろう。

 では、国王がその光景を目にした時にどのような反応をするのか。

 答えは至ってシンプルだ。

 今まで玉座にしか座ってこなかったせいもあり、このような状況に対面したことがない。

 それ故に腰どころか足までに力が入らなくなり、立つことさえままならなくなってしまっていた。

 こんな国王がこの国を牛耳っていたと考えると、この国がいかに愚かで、ろくな力もないくせに権力任せの横暴な行いをし続けてきたのかが手に取るようにわかる。

 後先考えない奴は国の王を名乗る資格はない。

 だから力なき者は国のトップに君臨してはならないのだ。

 国王が良い反面教師だった。

 ゼランは抵抗力のない国王もどきに最後の忠告をした。


 「さっさと決めろ。俺達の奴隷になるか、それとも無様に殺されるか」

 「わしは・・・」


 少しの沈黙があったが、やはり死ぬのは怖いのだろう。

 人間誰だって自ら死を選ぶ奴はいない。

 国王も例外に外れることなく、意を決したようにゼランに奴隷になると誓おうとした。

 その時だった。


 バアアアアアン!!!


 ゼランの頭上の天井がいきなり崩れ始めた。

 ゼランはその瓦礫に巻き込まれることなく咄嗟に回避をした。


 邪魔者か?


 ゼランがそう思う矢先、国王の隣で凛と佇む人間の顔には見覚えがあった。


 「貴様は・・・」

 「貴様達に名乗る名はない。早急にこの場から立ち去れ。この国はジェストの一角となったのだから」


 暗黒騎士に対して命を下すのは、金色の髪の碧眼美少女。

 その姿にゼランとジェールナは心当たりがあった。


 「そうか、貴様はサタルドスに殺されかけた勇者風情じゃないか」

 「風情じゃない。私は勇者だ」

 「何を言ってるの?六純天使の力を借りなければあなたはすでに死んでいたはずなのに?それでも勇者と名乗るの?勇者は誰でもなれる底辺職業でしょ?」

 「だまれ!」


 口が過ぎると言ったように突然と斬りかかってくる金崎。

 彼女の攻撃方向から考えると、恐らくエルフミーラがターゲットだった。


 全く、どうせ攻撃するなら俺かジェールナの二択だろ。


 金崎は、恐らくこの中でエルフミーラが厄介な存在だと認識したのだろう。

 だが、それが命取りだった。

 予想通り攻撃の刃はエルフミーラに飛んでいったが、突然金崎はロングソードを手放したのだ。

 味方でありながら、他の暗黒騎士達は二人の間に何が起こったのかわからなかった。

 しかし一つだけわかっていることは、エルフミーラの綺麗な瞳がうっすらと光っていることだけだった。

 ロングソードを手放し、膝までついた金崎にエルフミーラは、


 「正義のヒーローごっこは他でやってもらえるかな?」


 見た目ではわからないが、エルフミーラの怒りがヒシヒシと伝わってきた。


 「ふざけるな!私のしていることは断じて正義のヒーローごっこなんかじゃない!」

 「それじゃあ、なぜあなたはサタルドスが困っている時に助けなかったの?正義のヒーローなら助けるのが筋なんでしょ?ねえ?ねえねえねえ?」


 怒りが頂上まで達したエルフミーラが金崎の顔に近づきながらそんなことを口走る。

 そんなエルフミーラの前にしても金崎は怯えることなく言い切った。


 「なぜ私が奴を助けなければならない?お前たちは悪であり私達が善だ。奴を助ける義理はなはずだ」

 「あー、そう」


 以外にも、すぐにその身を引いたエルフミーラだと思われたが、全く引いてなどいなかった。

 エルフミーラは金崎を威嚇するように、


 「あなたみたいな無能がどうやってここに入ってこられたか知らないけど、その一歩も引かない態度に免じて今回だけは見逃してあげる」

 「エルフミーラ!」


 ゼランがエルフミーラを咎めようとしたが、その必要は全くなかった。


 「貴様に情をかけられる筋合いはない!」

 「あら、せっかくのチャンスを棒に振るなんて」


 エルフミーラは両の手を金崎に向けてさらなる力を奪い取ろうとした時だった。


 「ちょっと待てや!」


 その声と同時に現れたのは白色の髪をした少年だった。

 金崎によって開けられた天井から降ってきたのだ。

 得体の知れない少年相手に暗黒騎士は警戒態勢をとる。

 すると、状況を理解した少年は、


 「あちゃーこりゃあまずいことになったなー、しゃあない!」


 少年は短い剣を取り出し、それと同時に複製したのだ。

 そして少年は複製した剣を金崎にあたらないように調整して暗黒騎士達に向けて放ってきた。

 まるで蜂のように飛び交う剣を全て交わし切った暗黒騎士達が、少年と金崎の方に視線を向けると、そこにはすでに姿がなかった。

 

 チッ逃したか。


 逃亡の隙を与えさせてしまったことにゼランが後悔していると,エルフミーラが、


 「私が早く殺してれば・・・」

 「エルっちのせいじゃないよ!ね、ルナっち?」

 「そうだよ、エルフミーラのせいじゃないよ」


 女性同士で励まし合っている中、男性陣は取り残された国王の元へと歩いていった。


 「嫌われているのは本当みたいだな?」

 「うるさい!わしは嫌われてなどおらん!」

 「現状、見捨てられてますけど?」


 グウィルドの問いかけに何も答えられなくなる国王。

 しかし、これでようやく邪魔者が消えた。

 この機にゼランが国王に尋ねた。


 「この国は俺達のもので、貴様はこれから奴隷でいいな?」


 守ってくれる勇者もいなくなってしまった。

 国王は観念し、一回だけコクンと頷いた。

 この瞬間にようやく、足場となる土台ができたのだった。

すみません、タイトル載せるの忘れてました。

あと、ブックマークありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

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