表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『六宝剣』に選ばれなかった異端者  作者: うちよう
一章 「災い」編
1/139

プロローグ

初めまして!波光です!

少しでも面白いなと思われたらブックマークをお願いします!

 「やっぱり、太刀つえーよなー!」

 「いや、大剣の方がつよいだろ!」


 何かのゲームの話をしてるのだろうか。

 ここは大学の一号館内。講義が終わり、ぞろぞろと教室を出て行く集団の中にいた男二人組がそんな話をしていた。

 決して盗み聞きではない。聞こえてきたのだ。

 誰が好き好んで、他人の好きな武器など聞きたいと思うか。

 まあそんなことはさておき、娯楽に興じる時間がある人間は羨ましいものだ。

 こちらはそのような時間はないというのに。

 しかし、太刀が強いだの大剣が強いだの武器種の性能を全く理解していない。

 最強の武器?そんなの決まっているじゃないか。

 中距離攻撃ができ、かつ俊敏力もある。

 それに加えて、遠距離攻撃もできる銃や弓といった武器種が強いというのに。

 武器の万能性を理解していないにも、限度というものがある。

 まあ、彼らのゲーム事情は全く持ってどうでもいいのだが。


 ーーさて・・・バイトに行くか・・・


 気が付けば、講義資料を手に持ったまま動きを止めていた。

 急いで講義資料をファイルに仕舞い、一人取り残された一号館を後にした。

 こうして、バイト先に向かったのは大学三年の内宮剣二。

 大学生になると、大抵の人間は茶髪や金髪に髪を染めるのだが彼の髪の色は純粋な黒だった。

 そして、平凡な顔立ち。不細工でもイケメンでもない。

 つまり、普通の大学生ということだ。

 そんな平凡な剣二は、親元から離れて一人暮らしをしている。

 一人暮らしというものは大変なもので、自分で稼がないと親の仕送りだけでは生きていけない。

 元はゲームマニアだったが、今はそんなことをしている時間がなかったのだ。


 ーー久しぶりにゲームしたいな・・・


 ゲームマニアにゲームをする時間が作れないのは致命傷ともいえる。

 現代社会では、ゲームの強依存を一種の病気と考えを改めたぐらいだ。

 剣二の心理状態は、最悪と言ってもいいほどだった。

 だが、今ゲームをしてしまえば、学業どころかバイトにまで影響をもたらすだろう。

 そのぐらい剣二はゲーム欠乏症に陥っていた。


 ーーあー、ゲームがしたい、したい、したい、したい・・・・・


 永遠と呪文のように唱える剣二のバイト先は有名なカラオケ店。

 業務内容と言えば、接客にルーム清掃に調理ぐらいだ。

 例えお客さんが来店しても、ゲームのことを考えながら接客ができる。

 ルーム清掃の時は「ゲームがしたい」とブツブツ言いながら業務をこなし、料理をしながらもずっとゲームのことを考えていた。

 これでも完璧に仕事をこなせるのだ。手慣れたものである。

 そんな剣二の前に二組の男女が入店した。


 「いらっしゃいませ~」

 「優花今日はどうするー?」

 「んー、陽君は?」

 「優花が決めていいよ?」

 「えー」

 

 ーーいや、良いから早く決めろよ!


 この二組の男女は剣二に正反対の客だった。

 俗に言うカップル。俗に言うリア充。

 見ているだけでもイライラした。

 剣二にはそんないちゃつく相手すらおらず、娯楽に興じる時間もない。

 自分が持っていない物を他人が持っていると、人間誰しもイライラするものだ。

 そして幸せそうな雰囲気を醸し出していると、破滅を願うのも人間という生き物だ。

 もちろん、剣二も例外ではなかった。

 


 ーー当てつけか?こら。リア充はさっさと爆発しろ!


 だが、相手はこれでもお客様で神様だ。

 そんなことは言えるはずもなくこの男女をルームに案内した。


 「はあー、俺もリア充したいなー」

 

 剣二にとってのリア充というのは、毎日恋人とイチャイチャし、かつ毎日ゲームやり放題を指す。

 そんな夢のような生活は今の生活では到底叶うことはない。


 「はあー、どっかに幸せ落ちてねーかなー」


 バイト中にそんな余計なことを考えていたものの、その後も周りに迷惑をかける失態はもちろんなく、その日も何事もなく退勤した。

 だが、一人暮らしの本番はこれからだ。

 そう、帰宅してからは自分で自炊をしなくてはならない。

 コンビニの弁当ばかりでは体に良くないし、それに自炊の方がコンビニ弁当より安くつく。

 一人暮らしの大学生は安さを重視するのだ。

 とりあえず、いつものスーパーに直行で向かい、もやしと豚肉を手に取る。

 それに出来上がった千切りキャベツの袋を手に取る。

 これで夜ごはんの食材は手に入った。

 いつものレジのおばちゃんに会計をしてもらい、袋に食材を詰めて帰宅する毎日。


 「俺の人生って楽しいのかな・・・って言うまでもないか」


 ふとそんなことを思う。

 学校行って、終わったらバイトに行き、いつものスーパーに寄る。

 どう考えても楽しいものではない。

 まあ恋人ができたら少しは変わると思うのだが、サークルにも入っているわけでもなく、出会いは絶望的だった。

 そんなことを考えながらも家に着くなり、さっそく料理を始める。

 焼き肉のたれを使って、豚肉ともやしを炒める。

 余ったとこにキャベツを入れたら今日の晩御飯の完成。

 お米は以前に焚いて、余ったものを冷蔵していたものがあったのでそれを頂く。

 いつもこれで一日が終わる。

 娯楽に興じる時間など当たり前のようになかった。


「今日は何もしないでゲームしようかな?」


 そろそろ我慢の限界だった。

 自分へのご褒美という建前で、剣二は食器を片付けないでゲームをやりだした。

 久しぶりに開くオンラインゲーム。

 最終ログイン日を確認してみると・・・


 「んげ!約二年前かよ」


 大学の入学と同時にと言ったところだろう。


 そんなにゲームしていなかったのか。

 我ながらよく我慢したと思う。


 さっそくログインするも、事件が発生。


 「俺、ギルドから退団させられてるやん」

 

 ーーまあ、二年もやってなければな。


 誰もいない部屋で一人虚しくハハハと笑う。

 そんなことを思いながらも、さっそくモンスターの討伐を行う。


 「久ぶりだな。倒せっかなー」


 ゲームの感は意外と鈍らないもので、モンスター討伐はあっさりとできてしまった。


 「我ながら凄いな・・・弓やっぱ強いよなー。でもパートナーに大剣とか高火力出せる奴いないときついなー」


 確かに弓は強い。

 だが、ほとんどのゲームは大剣や太刀がソースになっている。

 だから、弓使いは援護に回らないといけない。


 「しょうがない。パートナーに大剣使いを入れて、このやったことのないモンスターを討伐しよう」


 その時だった。

 このゲームでは聞いたことのないBGMが流れてきたのだ。

 

 このゲームにBGMなんてあったっけな?新しく実装されたのか?


 一定期間ゲームをプレイしないと見たことのないモンスターが実装され、新機能が追加されているのはよくある話だ。

 剣二もその例外ではなかった。


 「今日はやることが多そうだ!」


 こうして剣二はゲームに没頭し、挙句には寝落ちしてしまったのだった。

 あのBGMが、ただのBGMではないことに気が付かないままーーーー

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!

これからも引き続き頑張ってきますので応援のほどよろしくお願いします!


よろしければ、「竜人族最強の異端者 “四大龍王の力、全てを行使し蹂躙する”」の方もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ