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古書店街の魔女  作者: 田丸 彬禰


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闇画商 Ⅲ 月待つ女

「まさかこれほどうまくいくとは思わなかった」


 東京都の住宅街に建てられた周囲のものよりも少しだけ広い家。

 その一室でその男は目の前に並ぶ十五点に及ぶ絵画を眺めながら会心の笑みを浮かべていた。

 その男の名は木村恭次。

 美しい妻と暮らす、ごく平凡な男にみえるのだが、実はそうではない。

 闇ルートを利用して世界各地で盗まれた絵画などを仕入れ、日の当たらない場所での取引で顧客に売るいわば闇画商であり、そこで莫大な利益を上げるその世界では非常に名の知られた人物。

 それが彼の正体である。


 さて、その彼が浮かべていた笑みの理由。

 それは一か月前に顧客のひとりからある依頼を受けたことから始まる。

 彼が受けた依頼。

 それは盗難に遭い、いまだ行方がわからぬ絵画を手に入れること。

 そして、その報酬は古い時代に消え去った物語。


 だが、それを持ちかけられたときに彼はこう呟いていた。

「……その依頼はリスクが大きい」

 当然である。

 なにしろ、たとえ闇世界のものであっても誰かが特定の有名絵画を探しているという情報は表の世界にも広がることは珍しいことではなく、必然的に当局の耳にもその情報は届く。

 結果的には目的の絵画は手に入らないうえに当局に目をつけられ廃業に追い込まれる事態になりかねない。

 しかも、それだけのリスクを冒してまで手に入れた絵画の報酬は本物かどうかもわからない古い物語。


 以前の彼なら、考慮にも値せぬものだと即座に断っていた案件である。

 だが、今の彼は違う。

 そう。

 その話を聞きながら恭次の頭に浮かべていたのは現在の彼の顧客リストの筆頭に名が記されたある女性の顔であった。

 天野川夜見子。

 世界屈指の蒐書家。


 ……もし彼女が大金を払ってでも欲しがるものであれば、少々の危険を冒すだけの価値はある。


 それが彼の結論だった。

「だが、それもこれもその本がそれに値する代物なのか、それよりもまずそれが本物かどうかを確かめる必要がある」

 その言葉とともにその日彼は依頼主を訪ねていた。


「君はこれをどう思う?」

 彼がそう訊ねた相手は、この日の同行者。

 木村真紀。

 つまり、彼の妻である。


 読んでいた書をテーブルに置くと、彼女の口が開く。

「確かに『月待つ女』という物語は写本すら現存していないものの平安時代のいくつかの資料から存在していたことは間違いありません」

「そのとおり。それがこれで……」

 自らの言葉に続こうとした男を制し、彼女はさらの言葉を続ける。

「いいえ。ですが、これは偽物。それも違いますね。正しくは手書きのレプリカと言ったほうがいいのかもしれません」

 断言する真紀の言葉に依頼主である富永寿一は固い笑みを浮かべる。

「そ、そこまで言い切るのにはそれなりの理由があるはず。教えてもらえるかな。その根拠を」

「紙です」

「紙?」

「一見すると、この紙は古く見えますが、フェイクづくりに用いられるある技法を使ってそう見せているだけで間違いなく現代のものです。しかも、その出来はあまりよくありません。この程度のものなら少し目の肥えた者ならすぐにわかります」

「……ほう」

「ですが、書かれている物語自体は内容や文体を考慮すれば本物の可能性が高いです。現代の人間がこれほどのものが書けるのであれば、このような闇の中での流通でしか生きられない小賢しいフェイクなどではなく正式に書籍として発表するでしょう。よって、富永様は『月待つ女』の本物を持っていらっしゃる。本当に主人と取引をしたいのであれば、レプリカではなくそちらを報酬として提示すべきでしょう」

「……お見事」

 小さいながらも心の底から賞賛した富永はその呟きに続けるように言葉を紡ぐ。

「私だって大金を払って手に入れたあれは惜しい。万が一この場で強奪されることも考えて以前つくったレプリカをお見せしたのだが、こうも簡単に見破られるとは思わなかった。紙だけならともかく、物語の内容にまで言及するとは。木村さんはよい奥さんをお持ちだな。今までもよい関係であったのですが、今の一件であなたへの信頼度は大幅に増しました。では、本物をお持ちします」

 数分後、再び現れた彼の手の中にそれがあった。

「私が持っているものがこれです。言っておきますがこれが原本なのか、それとも写本なのかは本当にわかりません」

「そうでしょうね。それにしても素晴らしいです。これをどこで……それはお互いに聞かないということになっていたのですね。この世界では」

「そのとおり。お気遣いありがとうございます。さて、奥様のお墨付きをもらったところで取引の話をしたいのだが、よろしいかな」


「……楽しい時間を過ごしているところを申しわけないが、相談に乗ってくれないか?」

「もちろん」


 数日後。

 夫に声をかけられた彼女は明るく答え、「月待つ女」と表紙に書かれた古い紙束をテーブルに置く。


 あの日、彼女はたった今まで手にしていたその紙束、すなわち「月待つ女」のレプリカを依頼人からせしめていた。

 本物を読み終えた直後に彼女は男に対してこのような提案をして。


「この仕事は確実に成功する類のものではないうえに、官憲に目をつけられる危険もはらむものです。ですから、そのような仕事を依頼するあなたは彼に対して、成功報酬とは別にそれに相応しい手付を支払うべきです。先ほどのレプリカを手付としていただきたい」

 

「……それで、相談とはどのようなものでしょうか?」

 意気消沈の見本のような彼を眺めて大きなため息をつき、それから彼女がもう一度口を開く。

「もしかして、画商が探偵の真似事をするのは難しいということですか?」

 彼女の問いに迷宮の森に迷い込んだ男が答える。

「当然それもある。それもあるのだが……この世界に住む者にとってもっと根本的な問題がそこにある」

「それは?」

「その絵が本物かどうかということだよ」

「どういうことですか?」

「あの絵は第二次世界大戦中にドイツ国内で焼失したことになっている」

「では、それが実は持ち出され難を免れていたということなのではないですか?」

 その言葉を口にした彼女は知っている。

 目の前の男がそのような絵画をいくつも扱っていたことを。

 だが、彼は彼女の慰めの言葉にも表情が晴れることはなく、小さくかぶりを振ると苦みを含んだ言葉を口にする。

「そうだ。と言いたいところなのだが、今回にかぎりそうとも言い切れない」

「どうしてですか?」

「我々のような商売をしていると、日の当たる世界とはまったく違う情報が入る。たとえば、世の中では焼失したことが常識となっている絵も実は現存して流通しているというような。ところが、その絵についてはそのような情報は一度も聞いたことない。つまり、彼が本当にその絵を持っていたとしたら、それは我々の情報網をすり抜けて日本持ち込まれたということになる」


 ……なるほど。つまり、それはあり得ない話だと言いたいわけですね。

 ……ですが、ありえない話が起こるのがこの世界なのですよ。

 ……特にあなたが知らない世界が関わっている今回は。


 実は夫が知らないその世界の住人でもある彼女は心の中でそう呟いた。

 そして、実を言えば、その世界の住人である彼女は正解に辿り着いていたのだが、実際に口にしたものといえば夫がよく知る彼女が口にするものだった。

「……では、その絵はやはり焼失しており、どこかでつくられたその絵画のフェイクを富永氏に本物と偽って売った者がいるということなのですか?」

 彼女の言葉に夫は頷く。

「それが一番考えられる答えだ。そうであれば、どこかの間抜けが富永氏宅からそれを盗んだものの偽物とわかり、足がつかないように証拠隠滅のためにすぐに廃棄した。だから、その後の情報もどこにも流れないという現状の説明もできる」

「ですが、私には今日お会いした富永氏はあなたにも負けないかなりの目利きに思えました。そのような方がコソ泥でも偽物とわかるほどの出来のものを見抜けないとは考えにくいのですが」

「……確かにそうだ。だが、そうなった場合、今度は私にとって好ましくない事実が浮かび上がる」

「と、言いますと?」

「私のような者でも知り得ない盗難絵画の売買ルートが存在するということだ。信じたくはないことではあるが」


 ……あらあら本当に悩み多きお方だこと。


 彼女は目の前の男を心の中で盛大に嘲笑したものの、それとはまったく別の表情を浮かべ直す。

 夫に従順な妻の顔で彼女は言葉を口にする。

「なるほど。たしかに由々しき事態ですね。ですが、それはそれとして、手付を頂いたからには、まずは依頼された仕事に専念すべきだと思うのですが、いかがでしょうか」

「それはそうなのだが、八方ふさがりの今の状況で具体的に何をすべきなのかというと……」

「まずは富永氏がその絵を購入した画商にあたってはいかがですか?」

「なるほど。……ところで、ひとつ聞いたもいいかな?」

 妻の言葉に大きく頷いてから、彼はこの依頼を受けてからずっと抱えていた違和感を吐き出した。

「君は今回の仕事に随分と乗り気だ。もちろん『月待つ女』が手に入るからと言えなくもないが、あれは所詮売り物であり、結局君の手元に残るのは現在手にしているコピーだけだ。つまり、このまま何もしなくても君の目的は達成されている。それにもかかわらず今回の君は妙に積極的だ。その理由は何かな」

 実を言うと、彼の言葉は核心を突いていた。

 だが、彼女は図星を指されたことを表情のどこにも表さず答える。

「簡単なことです」


「もちろんあなたの名誉のためです」


 彼の問いに即座にそう答えたものの、彼女は心の中で別の言葉を口にしていた。


 ……普段は鈍い癖に変なところで気が回ること。

 ……そのとおり。今回の私は少し違うのです。

 ……そして、その理由はあの絵。

 ……いや、その元の持ち主か。


 翌日、彼は妻の言葉を実行に移すものの、状況は悪くなる一方であった。

 彼の同業者から得られた情報といえば、「あれは本物」と「購入先は明かせない」というふたつだけだったのだから、その表現はまさに正しいといえるだろう。

「当然だな。この世界に生きる者にとってそれを否定することは己の存在を否定することに等しい。私だって同じ立場だったらたとえ違っていても同じことを言うだろう。だが、これで完全に行き詰まった」

 自嘲という言葉がぴったりの言葉を吐いて苦り切る彼だったが、その横を歩く彼の妻の顔には対照的に零れんばかりの笑みがたたえられていた。

「私には君が非常にうれしそうに見えるのだが、何かいいことでもあったのかね」

「特に。ですが、この前の難題に対してひとつ代案というか可能性があるものを考えついたので聞いてもらいたいのですが」

「……もちろん聞かせてもらうよ」

 それから、五分後。

 彼は唸る。


 そして、その原因となった彼女が語ったこと。

 それは……。


「あの絵は戦争直後に日本に運び込まれていたもの」


「……そうであれば、たしかに私が日本に持ち込まれたことを知るはずがない。道理は通る。だが、敗戦直後の日本にそれを買い取るだけのルートと財力を持っていた者が本当にいたのか?しかも、米軍の目を掻い潜って……」

 もちろん、彼女は知っている。

 彼が口にしたそのような存在を。

 だが、女性がおこなったのは右手で彼の思考を制すことだった。

「それは私にもわかりません。ですが、その絵が本物の可能性出てきたわけですから、探索を進めるべきです」

 一方、何も知らない男は彼女のその言葉を素直に受け入れる。

「そうだな。まったく君の言うとおりだ。今は盗まれた絵がどこにいったのか。それだけを考えよう」

「そのとおりです。それから実は実際に盗んだ者なのかはわかりませんが、現在絵を所有している者、またはそれに非常に近しい人物となれば、絞り込むことは比較的容易です」

「……それは本当かい?」

「はい。まあ、少し考えれば誰でもわかる簡単なことなのですが」

「いやいや、私にはさっぱりわからない。詳しく説明してくれるかな」

「はい。まず、あの絵は自分が持っていることを高らかに宣言できる類のものではありません。有名な絵だけに少しでも噂になれば捜査の手が入る可能性がありますから」

「そのとおり」

「実際富永氏はそのルールを守っていたようですね。あなたでさえそれが日本にあることすら知らなかったわけですから」

「うむ」

「ですが、それを同好の士には見せびらかしたい。それはコレクターである彼らに共通した性である。違いますか?」

「いや、間違っていない。なるほど。そこまで説明されればなんとなく見えてきた。彼がその絵を見せた少数の者のなかにその怪しい人物がいるということか」

「そういうことです。……まあ、一番怪しいのはコレクター仲間ではありませんが」

「もしかして、君は犯人の目星をついているのかな。それは誰だい?」


「もちろんあの画商さんです」


「……私が犯人?その根拠は?」

 数日後、再びやってきた同業者夫婦に絵画泥棒の主犯であるといきなり名指しされた男は怒り狂うが、彼女は冷静そのものである。

 冷たい視線を男に投げかけながら彼女が言葉を紡ぐ。

「この業界では、その言葉は禁句ではないのですか?」

「そのような話はこの世界にだってない。教えてもらおうか」

「……その前に教えてください。あなたは高知県に住むコレクター箕輪喬氏をご存じですね」


 ……なぜこの女の口からその名が出る。


 男は焦る。

 なぜなら現在の男にとってそれはもっとも聞きたくない人物の名だったのだから。

「昔からの取引相手だ。もちろん知っている。それがどうした?」

「それでは、あなたが富永氏に売り、そして何者かに盗まれた『The Painter on His Way to Work』を箕輪氏が持っていたことはご存じですね。というか、箕輪氏からはあなたにその絵を見せたという話を伺ってきたのですが」

「……」

「盗んだ商品を売り、売った商品を盗み、それをまた別の誰かに売る。元々盗品なので盗まれても被害者は警察に届けることはできないので売る相手さえ間違えなければ絶対にばれない。よく考えられた実に効率のよい商売です。ですが、それはどのような世界でも許されるべきものではないと思います」

 もちろん、真実を言い当てられた男は言葉が出ない。


 ……ここまで調べ上げられているのであれば言い逃れは難しい。

 ……だが、なぜわかったのだ?

 ……もしかして、箕輪の爺さんはこいつとも取引があったのか?

 ……いや。そんなはずはない。


「……ひとつ聞いていいか」

 ようやく口にしたのはその言葉だった。

「箕輪氏は古文書が専門だ。その箕輪氏とあんたがなぜ知り合いなのだ?」

 男は自分に追い詰める彼女ではなく、その隣に座る彼女の夫に話しかける。

 だが、相手は何も答えず、その代わりに口を開いたのは彼の妻だった。

「それは彼の商売上の秘密です。それよりも、恭次さん。このような方にはこの世界ではどのような処分が下されるのですか?」

「もちろん物理的な死。これがこの世界のルールだ。それはこの世界で生きるあんたもわかっていることだろう」

「……」

「実はそうなるだろうと思ってこうして知り合いを連れてきたわけだ。まあ、あんたが暴れたときの護衛も兼ねてだが。ちなみに彼らは蒐書官。といえばあんたも聞いたことがあるだろう」

「もちろん蒐書官は知っている。だが、蒐書官は書籍専門なのだろう。なぜ、蒐書官が画商であるあんたのボディーガードをしているのだ?……いや、そういうことなら……」


 ……繋がりがあってもおかしくない。


 男が口を開く。

「そのとおり。こちらも色々あって今は彼らとはいい関係なのだよ。とにかくそういうことで、逃げ場はない。これは我々の業界全体の信用の問題だ。ここまでわかっているのだ。覚悟してもらう」

 彼が合図を送るとふたりの蒐書官が軍用ナイフを取り出す。

 隙のない姿勢。


 ……初めて見るが、さすが蒐書官というところか。抵抗するどころか、逃げることもできそうもない。

 ……残りは命乞いか。

 ……まあ、無駄な努力だろうが。


 なかば諦めかけたその時、起きないと思われた出来事が起きる。

 心の声が彼女のもとに届いたかのように。

「ちょっと待ってください、あなた。私から提案があります」

 それはそれまで自分を追い詰めていた女性の声だった。

「……一番の功労者である君の意見は尊重したいところなのだが、こればかりは聞くわけにはいかない。なにしろこれが我々の世界のきまりだからだ」

「いいえ。彼が騙したのはバイヤーであり同業者ではない点は救いがあるはずです。……そうですね。例の絵以外に絵画をすべてを口止め料としていただく。それで今回の件は手を打ってはいかがですか?」


 ……ここだ。ここしかない。


 まさに地獄に落ちた者が天から延びる蜘蛛の糸を見つけたときのような気持ちで男はその言葉にすがる。

「……それで許されるのならお願いする。見逃してくれ。財産をすべて差し出す。それで勘弁してくれ」

 そして、男の哀願から数分間後。

「……わかった」

 渋々という形容詞が付きそうなその言葉が口から漏れるまでの沈黙の間、彼が何を考えていたのか。

 もちろんそれは彼自身の損得勘定。

 少なくても男にはそう思えた。


「その代わりにこれからはまっとうな商売をすることを約束してもらう。闇画商の私が言うのもおかしいがこの世界にだって、いや、この世界だからこそ守らなければいけない最低限のルールはある。言っておく。次はない」


「ところで、富永氏から受け取る報酬は本当に『月待つ女』だけでいいのですか?」

「もちろん。あれだけ立派な能書きを語っておいて自分は契約を守らないわけにはいかないからね。だが、経費は当然別に貰う」

「…経費?」

「名前は言えない現在の所有者から『The Painter on His Way to Work』の買い戻した費用のことだよ。もちろんそれは富永氏の言い値で構わない。だが、実際には一円も支払っていないのでそれは丸儲けになるという算段だ」

「なるほど。さすがです」

「それに、あの男から巻き上げた十五点の絵画を売ればまた金が入る。よい絵ばかりなので二十億円は下るまい」

「『月待つ女』は?」

「まったくの本末転倒ではあるが、さすがに今回の情報料等々考えたら天野川女史には金は請求できない。それどころか蒐書官も貸していただいたのだ。こちらから幾ばくかの金を出さねばならないだろうな」

「なるほど」


 ……あれは六年前に夜見子様へ特別貴重な書籍情報を提供した箕輪老人に下賜するために当主様から特別にいただいた絵。前回は取り逃がしましたが、私の目の前であの絵に再び手を出したのはあの男の運の尽きでした。ですが、それだけであの画商が犯人だとよくわかりましたね。夜見子様。


 ……まさか。あの謎解きをしたのはお嬢様ですよ。あの絵の持ち主の共通項であり、少なくても一回目の盗難に関して存在する被害者である顧客に対する報告義務を怠ったその男が怪しいとひと目で見抜いたようです。もちろんあなたに与えたあの男の家でふたりがおこなった芝居の台本も考えたのはお嬢様です。


 ……なるほど。そういうことでしたか。

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