鬼神化
Let"s God
「冗談だろ、鬼神化って名前からして龍神化と同じレベルのスキルだろ」
スキルにより鬼神化した鬼は巨体から体が縮んで人間に近い体つきになった。だが縮んだ体にはデカ過ぎる頭に着いた二本の角がとてつもない程の威圧感放っている。
「我は鬼の神、我は汝を倒す者なり」
さっきまでは雄叫びを上げることしかできていなかったはずのモンスターが突然言葉を話し出した。よく見てみると頭上に表示されたモンスター名も『鬼神』になっている。
あまりの驚きに口を開けたまま立ち尽くしていると鬼神が突然動き出した。走る速度は龍神化よりも少し速そうだ。
なんとか鬼神の攻撃を避け続けるが龍神化の影響でHPも残り少ないのでミスでもして一発でも攻撃を受けたら死んでしまう。それにしても紙一重の回避はやっぱり便利だな、おかげで今のところはミスなしで回避することが出来ている。
「そろそろこっちも本気を出すかな、《龍神の威圧》!!」
スタン状態になった鬼神は動きがしばらく止まる。その瞬間に俺はウィンドウを開いてクラスアップを行う。青色の光が身を包むと俺はスサノオの状態へとクラスアップを完了する。
身を包む防具は前までの上半身裸を解決するためにテラにイメージチェンジをしてもらった。前までとは違って今は上半身が裸ではない!
変なところでテンションが上がっている俺はすぐさま鬼神に攻撃し始める。一発! 二発! 三発! と鬼神はスサノオとなった俺の攻撃を避けきることが出来ずに体で受ける。
スサノオの攻撃を受けてやられていないのは凄かったが鬼神の残りのHPもあまり残ってもいない。
「最後に一つスキルでも試すかな」
天叢雲剣の剣をアイテムボックスへと戻し、俺は拳を強く握る。
鬼神痛かったらごめんな……受け取ってくれ俺の拳。そんなよく訳の分からないことを言いながら鬼神に向かって拳を振り下ろす!
「くらええええ!! スキル《闘神の拳》!!」
真正面から拳を受けた鬼神は跡形もなく消え去っていく。残ったのはボス討伐によるクエストクリア報酬の宝箱だけだ。
「さてさて報酬は一体何かな」
宝箱を開くと何も入っていなかったが代わりにウィンドウが表示された。
【エクストラクエスト鬼神クリア】
クリア条件 鬼神の討伐
クリア報酬 スキル《鬼神化》
「……まじか」
また新しいスキルを手に入れてどうすれいいか分からないまま俺はその場を後にした。
だいぶ長い時間、鬼神と戦っていたのか洞窟の外の景色は真っ暗だ。
「そろそろログアウトするか」
空を飛行し街へと戻る途中、初心者がレベルを上げるのに持って来いな場所で妙な悲鳴が聞こえた。何事かと思って地上に降りると黒いローブを装備しているプレイヤーがPKをしているではないか。
天叢雲剣を装備するとPKプレイヤーを急いで止めに入る。
「お前が最近噂のPKプレイヤーか」
プレイヤー名は???と表示されていて確認することができない。今までそんな現象は見たことがないから装備品のせいなのか、アイテムなのか、はたまたチートなのかは分からない。
「キヒヒヒヒヒ、お前クラスアッププレイヤーだな」
PKプレイヤーは手に持った大鎌を俺へと向けてくる。
「それがどうした」
「殺す!!」
勢い良くぶつかった大鎌の刃と天叢雲剣の刃が暗くなった夜空に火花を散らした。
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