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Let's God ~シキガミ・オンライン~  作者: 外海響絶(げかいきょうぜつ)
6/8

ベータテストの仲間とPKプレイヤー誕生

Let's God


 「レベル四十八って……何があったの?」

 ゲームの正式リリースの翌日、俺と雷鬼は朝食を食べるとすぐにゲームを始めていた。今は最初の村にある宿屋にいる。

 「……色々」

 リリース当日からクラスアップをしてしまったなんて口が裂けても言うわけにはいかない。もしも誰かにバレたらチートだとか言われて最悪の場合はアカウント停止もある。

 「色々って?」

 「レ、レアモンスターがいて、それを倒したんだよ……」

 俺が倒したのはゲーム最高クラスのレアモンスターだから嘘は言ってないはずだ。

 「レアモンスターねぇ。なんか怪しいんだよな」

 「あ、怪しくなんてねえよ」

 「まあ、いいや。俺とお前でレベルの差が大きくなったから今日は別行動にでもするか?」

 「丁度、ベータテストのときの知り合いに会いに行こうと思ってたから俺は別行動でもいいよ」

 「じゃあ今日は別行動ってことで」

 「了解」

 オニヤは話が終わるとすぐに宿屋から出ていた。向かった方向からして近くでレベル上げでもするつもりだろう。

 「――さてと、俺も行くかな」

 俺は次の村へと向かって歩き出した。


 ****


 「ここら辺のはずなんだけど」

 二つ目の村へと到着した俺は約束の相手を探していた。

 周りを通るプレイヤーは俺を不思議そうな目で見つめてくる。それもそのはずだ、リリースの翌日に二つ目の村に来るプレイヤーの多くはレベルではなく良い装備のおかげだ。

 だが一日でレベルを四十八まで上げた俺の装備はスサノオの専用装備を使うわけにもいかないので初期のままだ。 

 「随分と場違いな格好をしているね」

 突然後ろから声を掛けられて振り返る。

 「久しぶりだなテラ。相変わらず元気そうで」

 「君もね」

 そこにいたのは俺のベータテスト時代の知り合い、女性プレイヤーのテラだった。生産職をやっていたテラにはベータテストでよく世話になった。

 「久しぶりの再会に浸っていたい所だけど、早速本題に入っていいか?」

 「いいわよ、装備のことだったかしら?」

 「ここじゃ話しずらいから、とりあえず宿屋にでも」


 ****

 

 「それで女性プレイヤーをわざわざ宿屋に連れて来てまで話すことって何かしら」

 「そ、そういうつもりではないから!」

 「冗談よ冗談」

 テラはこうやってベータテストのときもよく俺をからかってきた。久しぶりにからかわれると少し悔しくなってくる。

 「それで本題って一体何なの?」

 「……」

 「ケンジ?」

 「俺クラスアップした」

 「へー、そうクラスアップ…………! って、クラスアップウウウゥゥゥ!」

 テラの声はあまりの驚きにヤマタノオロチの雄叫びの様になってしまっている。

 「ク、クラスアップがどれだけ大変かなんてケンジはよく分かるでしょ。それこそリリース翌日にそんなことが出来るわけがない」

 「本当なんだって!」

 「じゃあ証拠を見せてよ」

 このままだと信じてくれそうにないので俺はウィンドウを表示させて所持アイテム欄にある天叢雲剣を装備して見せた。

 「――嘘……でしょ」

 テラは口を魚の様にパクパクさせている。

 「これで信じてくれるか?」

 「信じるけど、一体どうやって手に入れたの?」

 俺は昨日起こったクラスアップ解放までの手順を全てテラに話した。


 「大体話の内容は分かったわ。でも私に何をしてほしいの?」

 「装備のフォルムチェンジだ。スサノオの専用装備をベータテストの時の俺が着てた奴みたいな見た目にしてほしい」

 「フォルムチェンジくらいなら出来るからいいわよ」

 「それとオーダーメイドで装備一式作ってくれ」

 「オーダーメイドって、素材は?」

 「ヤマタノオロチから大量に取ったのがあるから大丈夫だ」

 ヤマタノオロチの鱗などの素材が自動的にアイテムボックスに入っていることを俺は今日確認した。体長が二十メートル近かったこともあり素材は大量だ。

 「分かったわ、急げば今から作れるけど? これから私の工房に来る?」

 「そうするよ」

 俺とテラは宿屋からテラの工房へと向かった。


 ****


 「ケンジの奴どうやってあんなにレベルを上げたんだよ」

 一人でレベル上げをしていたオニヤだったがそのレベルはまだ十二だ。レベル十を超えるとレベルの上がる割合が一気に落ちる。

 レベル十くらいだと強いモンスターを狩ることは普通(ケンジは普通じゃない)では無理なのでレベルは中々上がらない。

 「もう少し奥まで行っても大丈夫かな?」

 神殿型のダンジョンに入り込んでしまったオニヤは少しずつ奥へと足を進めていく。出口がないのでここから出るにはHPがなくなるかクリアするしかないようだ。

 しばらくすると一つの大きな部屋に出た。

 「なんだここ?」

 中を見渡してみると部屋の奥に石造が建てられている。

 恐る恐る近づいてみるとそれはまるで死神のような姿をしている。クエストが発生しないことを祈りながら石像に触れるとウィンドウが表示された。


 『アイテムを入手しました

  

 【デスサイズ・レクイエム】

 

 【ファントムコート】


  【魂の鳥籠】       』


 何かよくわからないのでとりあえずアイテムの性能を確認してみる。


 【デスサイズ・レクイエム】

 攻撃力大幅上昇

 この鎌を使ってプレイヤーを倒すと魂の鳥籠のカウントが一増える。


 【ファントムコート】

 ステータス大幅アップ ウェポンスキルを獲得する

 《ウェポンスキル 幻影》

 このスキル使用中はあらゆる物理ダメージを無効化する。


 【魂の鳥籠】

 この鳥籠のカウントが最大まで貯まると……。



 嬉しい誤算だった。良いアイテムが欲しいとは思っていたがここまでの物が手に入るとは。魂の鳥籠が気になるが今は考えても仕方がない。

 でもデスサイズ・レクイエムのこれってPKプレイヤーのための武器なんじゃ……。

 自分が手に入れた武器の恐ろしさに一瞬背中に寒気がした。だがPKをするかしないか関係なしに俺はこの武器を使うしかなさそうだ。

 部屋を出ようとした瞬間に新しいウィンドウが表示された。

 『強制クエスト デスサイズ

  制限時間以内にプレイヤーを一人以上倒して、魂の鳥籠のカウントを増やせ。

 

  報酬なし 

  ペナルティ レベル一の状態へ戻る

  制限時間  一時間                           』


 


 この日からシキガミ・オンラインではフード付きのコートを着た、大鎌使いのPKが出ると噂されるようになった。





 

 


『フォルムチェンジ』

装備の見た目を自分好みに変化させること


感想・アドバイスよろしくお願いします

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