気にせず狩りを楽しもう
Let's God
「どうしてこれが……」
思わず声が漏れた。それもそのはずだ、今俺のアイテムボックスにはあってはならないはずの物があるのだから。
恐る恐るアイテム欄の天叢雲剣をタッチすると新しいウィンドウが表示された。
『解放条件を満たしていないのでクラスアップはできません。それでも使用しますか』
二つ表示されているYESとNOのうち、YESを押すと手元に天叢雲剣が現れる。
「本当に出てきちゃったよ……」
自分でYESを押して出したとは言え、本当に天叢雲剣が出てくると少し怖くなってくる。
自分は何か裏技でも使ってしまったのだろうかと考え、何か情報はないかとマニュアルからお知らせまで全て確認した。
それでも何も情報は出ておらずどうしようか考えた末に俺は気にしないことを選んだ。
「別にいいか」
俺は眠くなっていたことも忘れてまた狩りを再開し出した。
さっきまでは奥に来たせいでレベルが初期状態の俺では一体倒すだけでも時間がかかっていたのに今は明らかに早くなっている。
ステータスを確認するとクラスアップまでとはいかないが全ての能力値が倍以上に跳ね上がっていた。
装備アイテムの補正効果を見てみると天叢雲剣の欄に驚くべきことが表示されている。
『シキガミクラスのプレイヤーが装備するとステータスが大幅に上昇する、またソード系のスキル使用に対するMP消費が大幅に低下する』
ステータスの大幅上昇だけでもチートなのにソード系スキルのMP消費削減まで付いているなんて、天叢雲剣最高過ぎる。
時間のことを忘れてそのままプレイし続けていると俺はいつの間にか見たこともない洞窟の中にいた。
どうやらステータス上昇で調子に乗ってレベル上げをしていた俺はいつの間にか奥に進みすぎていたらしい。
「そろそろ帰ろうかな」
ここら辺の相手はいくら何でもまだ倒せないだろうと思い、帰ろうとしたその時、また新しいウィンドウが俺の目の前に現れた。
『強制イベント開始・クエスト名 ヤマタノオロチ』
俺はこの表示に見覚えがあった。ベータテストの時に俺が天叢雲剣を手に入れたクエストも同じ名前だった。だけどベータテストの時は強制ではなかったしこんな序盤で受けられるクエストでもなかったはずだ。
どれだけ考えたところでクエストを止めることは出来ない。俺は天叢雲剣を構えると周囲に意識を集中させた。
ドシン！ ドシン！ と足音が響き渡る。音の大きさからして最低でも十メートルはあるだろう。
やがてモンスターの姿が見えると俺は思わず腰を抜かしてしまった。
そこに現れたのは全長二十メートルほどの八つの首を持つ龍だった。
天叢雲剣
ステータスの大幅上昇
ソード系スキルのMP消費削減
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