第5話:幼馴染
今は学校の帰り道――
ソラは制服のまま優の家で遊ぶ事になっていた。
「あ、でもギター取りに行かないと行かないんじゃ……。」
「いいよ、俺のギターかすから。」
優はソラの言葉を遮るように言った。
「うーん……まぁ、まだそんな上手いわけでもないし……それでいいか。」
「そんな事よりお前に少し頼みがあるんだ。」
優はそう言うと、何故かメモ帳を取り出す。
「ここにどういう曲にしてほしいか書いておいたから……。」
「作詞してくれって事?」
ソラは優の言葉を最後まで聞かないまま返答した。
「お願いっ!」
優が両手を合わせて深く一礼した。
「いやいやいやいや……別にそんな頭下げなくてもいいから。」
ソラは少し照れくさそうな顔をして言った。
「それはつまり……。」
「あぁ、僕でよければ全然いいよ。」
ソラがそう言うと、優が嬉しそうにメモ帳を渡す。
「ホント……いつもいつもありがとな。」
優の言うとおり、ソラはいつも優の曲作りのために詞を作っては渡していた。
「俺が作曲でお前が作詞……いや、ホントいいコンビだよな俺達。」
優はそう言うと、嬉しそうに鼻歌を歌い始めた。
そして――
「おじゃましまーす。」
ソラは大きな声で挨拶をすると、丁寧に靴を揃えてから部屋に入った。
「あれ?親どっか出かけてんの?」
ソラは挨拶をしても誰の返事も無かったので気になった様子で問いかけた。
「うん、今夕食の材料買いに行ってるみたい。」
「じゃあ今のうちにギター弾こっか。」
ソラはそう言うと、肩に背負っていた学生かばんをおろした。
「じゃあギター二つ持ってくるから、ちょっと待ってて。」
優はそう言うと、自分の部屋に入っていった。
「そういえば……ここも全然変わってないよなー……。」
ソラは一人、小さな声でつぶやいた。
ソラと優は幼稚園からの幼馴染であり、小さな頃から毎日のように遊んでいた。
ギターをやりだしたのも優の親がやっていたのがきっかけだった。
「よし、んじゃ始めよーぜ。」
優は部屋から出てくると、ソラに少し汚れている方のギターを渡した。
「それ最近全く使って無かったから結構汚れてるけど……そこら辺は堪忍してくれ。」
「よいしょっ……いや、弾ければ全然構わないよ。」
そう言うとソラは少し重たそうにギターを受け取った。
そして――
それから約2時間、ソラと優は時々会話をしながらほとんど休む事なくギターを弾いていた。
そしてその時、鳴り止まない騒音の中、ソラの携帯には一通のメールが届いていた。
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