第1話:日常
ここは、どこにでもあるようなごくごく普通の中学校。
唯一特徴があるとすれば、自然に囲まれている事。
都会の学校とは思えない、とても田舎っぽい風景の中学校であった。
そして、今現在夕方の4時30分頃――
ちょうど今日の中学の授業が全て終わり、生徒たちは終学活を始めている最中であった。
「はぁ……やっと帰れるよ……。」
一人の生徒がため息をつきながら小さな声でつぶやいた。
この少年の名は『蒼乃空』。
友人や親戚からは「ソラ」と呼ばれている。
髪の色は一般的な黒色。
髪形はショートカットより少し長め。
その表情からはどことなく優しげな雰囲気が漂っていた。
そして学習面においても運動面においても普通……。
とにかく普通の代名詞のような存在でもあった。
「ソラー……お前、最近勉強してる?」
ソラの一つ前の席にいる少年が、だるそうな声で問いかけた。
この少年は「久樹・優」。
髪型はソラよりも少し長め。
髪の色もソラと同じく一般的な黒色。
自称勉強嫌いだが、実際そんなに成績が悪いわけではない。
「うん、一応……というかさ、優、お前この時期勉強するの当たり前だよ?」
ソラがめんどくさそうに返事をする。
「へぇ……もう勉強始めてるんだ……。」
優は何故か不満そうな声でつぶやいた。
「もうって……後2ヵ月後には受験だぞ……。」
ソラが呆れたような口調で答えた。
「……そういえば……この学校に近々転校生が来るんだって?」
すると、優が急に話題を違う話にすり替えた。
「ん……あぁ……確か二人来るんだっけ?」
ソラは明らかにどうでもいいようだ。
「この時期に転校って……変な人じゃないといいけどね……。」
実際、転校生が来るという事は大して驚くような事ではないのだ。
「気の合う人だといいよな。」
そう言うと優も早々と帰りの仕度を再開した。
しかし、この転校生が来るという当たり前な出来事が――
ソラの平凡な日常を大きく揺るがす事になる――
未熟者の自分ですが、感想・コメントお待ちしています。