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08‼

 どうにか二人のお菓子への追及をノラりクラりとかわしながら休憩しつつ、この先の行程は進むのか、ここで夜が明けるのを待つかの相談にする。


「それで、お二人はこの先をどうしたいですか?」


「それなのですが、本日はこのままここで夜を明かそうかと思っていますわ」


「私は構わないのですが、理由を伺っても?」


「はい、ここは森のモンスターと平原のモンスターの空白地帯になっているのです」


「空白?」


「ええ。モンスターたちは獲物がお互いの縄張り過ぎた場所、ここだと森からは平原に、平原からは森に入った獲物は諦めるらしいのです」


「なるほど。モンスターにとってはとても効率の悪い狩場なのか。つまりここにいれば…」


「はい、襲われることなく朝を迎えられるはずですわ」


「へぇ、だから空白地帯なのか」


 これは異世界の不思議常識なのかもな。たぶん他にもこういう知識が沢山あるんだろうなぁ。最低限だけでも、なるべく早く知ることができればいいんだけど……


「それだと休憩ではなく、食事にしておけば良かったですね。」


「え?食事といっても何もありませんが……」


「あぁ、実はこのバッグの中にいくらか食料が入ってるんです」


 とバッグに手を入れ、この場で食べられそうな物を探す。


 しかし食材はあっても火や調理器具もないというのは厳しいな。


 とりあえず、食パンサラダチキンをほぐしてスライスチーズと千切ったレタスを乗せて、味付けはマヨネーズでサンドするか。


 あとはインスタントのポタージュスープで。器は……ティーカップで我慢してもらえるかな……。


「サラさん、すみません。手と野菜を洗いたいのですが少しの間、水を出してもらってもいいですか?」


「あ、はい、分かりました」


 おぉ、凄いな。手からサラサラ水が出てくるのはインパクトがある。


「あの……」


「あ、すみません。すぐに終わらせます」


 慌てて手、野菜を洗い終え、バッグに出し入れしつつサラさんの手を借りながらサラチキサンド作っていると、なにやら二人が訝しげな表情をし始めた。


 なんだろうと、声をかけようとすると


「ム~?ム」


「え?スライムさんも食べたいの?」


「ム!」


「ん~。まぁ、チキンは2個使えばいいか」


 しかし、エラい勢いで食材を使ってるけど大丈夫だろうか。『むこう』だと簡単に手に入るものも『こっち』だち存在しないとか定番だし……


 とりあえず、今回は緊急事態ということで目をつぶろう。カピバラさんとの追いかけっこで、いい加減腹も減ってるしな。


「あの……、スープもあるんですが器がありません。なので、お二人はティーカップで飲むというのに抵抗がありますか?」


「いえ、問題ありません」


「ええ、わたくしも問題ありませんわ」


「え?大丈夫なんですか?その……」


「あぁ、フフ。我が公爵家は、その地位に驕らず女でも武にも通じるように教育されるのです。ですので、訓練での遠征などもあり、こういうことには慣れておりますの」


「な、なるほど。ちょっと意外でした」


「「フフフ」」


 その後、無事にサンドイッチとス-プが完成。まずは、


「え~と。スライムさん、ティーソーサーにサンドイッチ置いておくから自分のペースで食べてね。あ、お皿は食べちゃダメだよ?」


「ム!」


「では、あらためて食べましょうか」


「「はい!」」


 そして二人は祈りを捧げ、俺は「いただきます」と手を合わせ食べ始める。


 そして、予想通りマヨネーズとポタージュスープに驚き、チョコウェハースに続けて激しい追及を受けるのだった。………二人と一匹に。

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