07‼
どうにか無事に森を出れた。追っ手やら魔獣?やらで、まだまだ油断は出来ないが、休憩も無しに飲まず食わずで進むのは現実的じゃないしね。
とりあえず腹に何か入れておきたい。
「ルルティアさん、サラさん、あとスライムさん、ここらで一度休憩を取りましょう」
「はい」
「かしこまりました」
「ムームム、ムー!!」
「あー、あのお菓子はもう全部食べちゃったんだよなぁ」
「ム…ム~…」
「あ~、ちょっと待ってて。何かあるか探してみるから」
「…ム」
ん~、お菓子って他になんか買ったかな…スライムさんは一番の功労者だから報いてあげたいんだけど…とショルダーバッグに手を入れて探していると、
「あれ?まだある?」
何でだ?さっき一袋食べちゃったからもう無いはずなんだけど。うっかり二袋買っちゃったのか?……まぁ、スライムさんが喜ぶしいっか。
「スライムさん、もう一袋残ってたから食べよう」
「ム~~~!!」
テンション爆上がりのスライムさんと仲良く分けて食べようとすると、隣から視線を感じる。
ふと見てみると気まずそうな感じの二人が。
「あの…、食べます?」
「まぁっ、よろしいのですかっ?」
「はい。あ、ただ半分はスライムさんのなのであまり多くはないんですけど…」
「このような場所でお菓子が頂けるだけで十分です!!サラ、お茶の準備を!」
「はいっ!!」
すると、サラさんは馬車に行き何やらゴソゴソするとティーセット一式を取り出す。こちらでは広げられないので馬車の中でポットにお湯を入れ始めた。
そう、広げた手から出たお湯で。
あれって魔法か?お湯を出し放題なら便利そうだけど、リクエストでいけるかな?と考えているとスライムさんから「ム~!!」とクレームが。
「あ、ごめんごめん、今あげるから」
と、袋を開けて一つずつあげはじめる。
ここまで意思の疎通が出来れば問題ないだろうと、取り出したチョコウエハースをピトッとスライムさんにくっつけると、それを嬉しそうに取り込んでポヨンポヨン。
何個あげていると、
「美味しそうですわね~」
「あ、すみません。ルルティアさんもどうぞ。特にスライム用というわけでもない、というか人が食べるものなので。置く場所がないので、ティーソーサーでも大丈夫ですか?」
「あら、催促したようで申し訳ありませんわ。ええ、問題ありません。それでは、早速おひとつ…」
と、チョコウエハースの中身を出し、ティーソーサーに並べて渡すと、ためらいもなく食べてしまう。
貴族さんてもう少し慎重なんだと思ったが、割とアバウトなんだな…
「っ!!美味しい!!こ、これは何所のお店のお菓子なんですの!?」
「えっ!?え~と…………、秘密です?」
考えたよ?考えたけど何にも出てこなかったんだよ……
ヤバいな、権力を使われたら抵抗できそうにないし、何か考えておかないといけないかも……
「お嬢様、大きな声を出していかがなさいました?」
そこへタイミングよくサラさんが戻ってきたので全力で話をそらそう。
「サラさん!美味しそうなお茶ですね!早速みんなで頂きましょう!」
その後、二人がお菓子を食べ、再び激しい追求を受けるのだった…