06‼
その後、速度は多少落としたが順調に走っていた。
幸い気温はやや暑いくらいだったので、外にいても寒くはない。むしろ、ライトとはいえ暑すぎたのでダウンジャケットをショルダーバッグに入れる。
ただ、順調ではあるが周りが暗く、操作らしいこともスライムさんがしてくれるので眠くて仕方ない。
疲れと、それに空腹もあるのだろうが、これは一度止まって休憩を取⁉
「GYA⁉」
「っ⁉っどわああぁぁぁ~~~‼」
「「っきゃ~~~~~~‼」」
「ムッ⁉ムムッ~~⁉」
「止まって‼スライムさん止まって‼」
「ムッ!」
あ、あっぶねぇぇ~~~~‼馭者席から放り出されるところだったぞ⁉何だ?何が起きたんだ⁇
止まった馬車から急いで降りてスライムさんに確認に向かう。
「スライムさん!どうした?なにがあった⁇」
「ム!ムム、ム~ム!」
「え?スライムさんも分かんないの?でも何か踏んだっぽい?」
「ムッ!」
踏む?石にでも乗り上げたのか⁇とりあえず来た道を確認するか。
「ルルティアさん、サラさん。馬車が何かを踏んだというので少し確認してみます。2人は念のためここに残っていてください」
「わ、わかりました。よろしくお願いいたしますわ」
「…………」
サラさんは驚きすぎて声も出ないようだな…
一応、先に馬車の車輪を確認したが、折れたり欠けたりということはなかった。そして歩いて来た道を戻ると、なにやら大きな物体がある。馬車からの薄明りの中で近づいてみると、
「えっ⁉これ、ゴブリン……か?」
そこには小さな人型の、でも服も着ず、緑色の肌で、テレビなどで見たゴブリンがいた。ただ生で見るゴブリンは醜悪で骨張っていて、動物好きの俺でも嫌悪感が出てしまう存在だった。
そして即死だったのか、どこも動く気配がない。
とりあえず検証を終えたので歩いて戻ろうとすると、
「ん?なんか体が……」
急に自分の体が軽くなったような気がする。もしかして、これが経験値あるいはレベルアップか?
ただ確認しようにもステータスにはレベルとかないんだよな……。
とりあえず戻ってみんなに問題ないことだけ伝えておくか。
「という感じだったので、引き続き問題なく進めそうです」
「そうでしたか、何もお手伝いできず申し訳ありませんわ……」
「わたしもお手伝いしなければいけなかったのに……」
「いえ、ただ見て来ただけなので何も問題ありませんよ。では、もう少し進んでみて森から出れないようであれば、そこで休憩しましょう」
「「はい、よろしくお願いいたします(わ)。」」
「ようし、スライムさん。もう少し行っとくか~」
「ム~」
その後、大した時間もかからず、無事に森の中から脱出できたのだった。