はち
お久しぶりです。
お久しぶりの上に今回も短いです。
評価ありがとうございます。
二人は昼食を食べ終え、また手掛かりを探し始めた。
「猫に会えないかな?さっきも猫に付いて来たし…」
口を尖らせながらミライは呟いた。
「もしかしたら猫が手掛かりを持っているかもしれませんね。」
二人は、特に何も見つからなかったため、猫探しに切り替えたが、その日は猫が姿を見せることはなかった。
翌朝、
「今日は町の方へ行ってみましょうか」
起きるなりユウが提案してきた。
ミライは町に行くためにユウの姉の服を借りた。
「この服借りてもいいの?」
「はい。その服は姉さんが、自分が着るのは似合わないからと、袖を通さずに誰か急に止まったら貸すつもりで取って置いた服ですね。」
ユウはニコニコしながら答えた。桜色の膝丈スカートにブラウス、襟にはスカートと同じ色のリボンである。
「私の性格としては、ピンクって柄じゃないんだけどな…」
ミライは、自分の髪の色がピンク色なのを棚に上げた。服を着ながら、写真に写っていた少女を思い浮かべる。黒髪のロング、紫紺の瞳、きれいな顔立ちであった。ミライは似合いそうなのに、と思った。
バサッと音がした。ミライは音がした方へ眼をやる。徒歩で半日はかかる距離という町だ。ミライは徒歩で行くのだと思っていたら、ユウはどこからか乗り物と思わしき物を出して来た。
「流石に歩くと大変だし、買い出しは辛いですからね?」
「それは自動車?」
「これは、魔力で動く車ですよ。」
見た目は自動車にそっくりである。
「自動車に似ている物を見るとは思わなかった。なんか、もっとファンシーな世界観だと思ってたよ。」
ミライは、興味深そうに自動車を眺めた。
「まあ、車はあまり沢山出回ってはいないんですけど…村や町に住んでる人は、持ってないですね。」
必要ないからねと言いながらユウは、扉を開けて乗るように促して来た。
今度こそ何かしら元の世界に戻る手がかりが掴めるだろうか。