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ミライは学校帰りで、辺りにはアパートやマンション、一軒家などが建ち並んでいた住宅街である事やその時に起きた出来事を話した。
「街中にいた時も猫に呼ばれてる気がしてついて行った。そしたらベールをした女性がいて周りが眩しくて目を瞑って、開けたら森の中ですか。」
ユウはミライに話の内容があっているか確認した。
「到底信じられないですけど、嘘をついてるようには見えないです。それに、この近くの町には、貸家や下宿とかはありますがアパートやマンションと呼ばれるものはないのでこの辺りの街から迷い込んだとは思えないです。もう外は暗くて危険なので、今日はこの家に一泊して貰うしかないですね。後は明日からどうするかですね。」
ユウは考え込んでしまい、ミライは、申し訳なさそうに縮こまりながら、冷め始めたお茶に口をつけた。一泊できるのは有難い。しかし、ユウは一泊させてくれると言っているが、まだ十代半ばでミライと同じ年頃に見える。保護者に許可を取らなくても大丈夫なのだろうか。そう思うとだんだんと勝手に話を進めていることが心配になってきた。
「あの、ユウさん、親とか大人の人は…」
「あ、僕はここに一人で住んでるので、そこは気にしないで下さい。」
「あ、そうですか。」
あっけらかんと答えたユウに、釣られて何気なく返事をした後、ミライはユウが答えた内容が頭に入ってきて、驚いた。
「あれ、君、少なくとも小学校高学年から中学生くらいじゃないの。見たところ私と年齢近いよね。」
ユウはきょとんとした顔をして答えた。
「えっと、小学校高学年とか中学生はわからないですが、多分ミライさんと歳は近いと思います。…えっと僕は十三歳です。」
ミライは、ユウが十三歳で自分の一つ下だと言うことに心で突っ込みをいれると同時に、どうして一人で住んでいるのか気になったが、初対面だし、これは踏み込んではいけないかもしれないと思い、とりあえず横に置いた。
「これからですが、明日からも暫くはこの家に滞在するほうが良いですね。森を調べるなら町からだとだいぶ時間がかかってしまうので。」
ユウは暫くは滞在するように言っている。拠点があるのは助かるが、後半の言葉に疑問を感じた。
「森から時間がかかるって、どれくらい?」
「半日はかかるかな。」
その返答に、ミライは往復で1日終わるじゃないかと本日二度目のツッコミを心の中でした。