金の亡者とお金持ち。やっと、家族になる
初々しい1年は過ぎ、3回ほど桜が散るのを見送った。桜が散るのと同じくらい大学生活は過ぎ去った。私は会社を立ち上げた。軌道に乗るまで10年もかかってしまったが、年商8億稼ぐ会社にまで成長した。彼は、大学卒業後そのまま院に行き、心理学者になった。それから、施設の園長先生にもなった。
「今日はお足元がお悪い中、お越しくださって誠に、ありがとうございます」
誠だけに。と心の中で呟いてみる。
「では、新郎新婦に出てきていただきましょう!」
「ほんとは前から結婚はしてたんだけどね」
こっそり、笑う。
「学生だったからな。結婚式は卒業してからだって決めてたし」
たくさんの拍手に出迎えられる。
ななみん、夏希ちゃん、誠の両親、先生、今まで出会ってきた大切な人たちに祝福される。
「皆さま、雨の中お集りいたただきありがとうございます。私は早くに両親を亡くし自暴自棄になっていたところを恩師の佐伯和美さん救ってもらい、育てていただきました。この場をお借りして、感謝申し上げたいと思います。先生、ありがとうございました!それから、私の中には新しい命が宿りました。誠さんと一緒に温かい家庭を築きたいと思います。最後に、私は日本一、幸せなお金持ちですっ!!!」
「ぷっ、そこは花嫁だろ」
金の亡者とお金持ち。そして、交わる運命 完