制服デート
「爽果ちゃーん、誠くーん!早く会いたくて迎えに来ちゃったっ!」
メイドのコスプレをして駆け寄ってくる夏希ちゃん。
今は、夏希ちゃんの学校の文化祭に来ている。
「久しぶり!メイドさんとは王道ですなー」
ひしっと抱き合う。
「胸、また大きくなった?ゲヘへへ」
「なってないよっ!もう」
あはははと笑いあう。これが私たちの恒例会話。
「エロオヤジかよ……」
今日はツッコミ役が健在なので暴走はしない。
「誠君もハグする?」
「遠慮しとく」
即答する彼。
「そっか、それは残念」
おどけて見せたが一瞬の切なそうな顔を私は見逃さなかった。
「ここが私のクラスでーす。ここはお客様がコスプレする、ちょっと変わったお店なのです。ということで、2名様ご来店!衣装1でおねがいしまーす」
「誠先輩っ!久しぶりっすね。部で出し物してるんであとで寄ってください。ささっ、こっちです」
いかにも体育会系な男子が誠に話しかける。
「どこへ連れていく気だ!?」
引きずられていく彼を見送っていると「爽果ちゃんはあっちね」と私も連行される。連行先はダンボールで作った試着室だった。
「中に衣装があるから着替えてね。爽果ちゃん達付き合い始めたでしょ?もう、制服でデートなんてできないと思ったから、制服用意しといたの。特別に一日中貸し出すから、制服デートしなよ。私からのお祝い!」
にっこりと笑顔を向けられる。なんで笑えるんだろう?
「ありがとう。私は夏希ちゃんも大好きだから、離れていかないでね?」
「離れていくわけないよ、私も二人の事が大好き。だから、二人がくっついてくれてうれしいよ。今はまだ、ちょっと胸が痛むけど」
夏希ちゃんに抱き着く。
「夏希ちゃんは強いね。大大大好き!精一杯楽しんでくる!」
「うん」
試着室を出ると学ラン姿の彼がすでにいた。
「似合うじゃん」
「そう?」
私は?と言わんばかりに彼の目の前で一回転する。
「後輩のとこ、行ってもいい?」
特に反応せず、スタスタと歩いてしまう。
「ムッ、待ってよ!反応なしかい……」
急いで彼についていく。
「ねぇ、お化け屋敷入ろう?」
「君、怖がるような人じゃないでしょ」
「そうだけど……」
デートって言ったらお化け屋敷じゃないかな、と思うんだけど。
「それより、入るならこっちかな?」ボソッとつぶやいた彼。
「えっ?」
誰もいない空き教室に連れ込まれる。
「スカート、短すぎない?」
「ムラムラする」
「んなっ!何言ってんの!」
囁かれた耳を手でふさぐ。
そのあとはご想像にお任せします……
そんなこんなで、制服デートは終わりましたとさ。