二カ月目の報告
この異世界にきてから2カ月が経っていた。
一か月前と比べて体の動きは良くなり、槍や弓に関してもそれなりに技術は上がっているように感じる。
ただ、それは自分自身を比べての話であり、周りを見れば俺はかなり下のように感じる。
槍や弓の技術もこの左目を使った先読みも、圧倒的な力の前では無力という他ない。
具体的にいうと身体能力をあげる様な能力を持つクラスメイト達にはボロ雑巾のように倒されてしまう。
飛ぶ能力を考えれば逃げる事は出来るだろうが、永遠に飛び続けることは無理なので、過信は禁物だろう。
さて次に、魔法に関してだが、やはり攻撃系の魔法は苦手なままで、あまり伸びている実感はない。ただ、それ以外の魔法に関しては今も伸びていてかなり優秀な方だと思う。
少し話は脱線するが、あと一月ほどで俺はこの城から出る予定である。その為少しずつ準備を始めているのだが、ある事に気付いたのだ。旅で水や火の魔法が使えれば便利なのではと。
ただ、初めに適性が無いと言われていたので、諦めて代わりになるものを探していたのだが、ある時メイドが俺が頼んだ物とは違う本を持ってきたのだ。その本は火と水の基礎魔法というものだった。
適性は無いとはいえ、試しにその本を読み魔法を使ってみると、なんと少しだけとはいえ使えたのだ!
火は指先から3cm程出せて、水はコップの一割程度溜まる程出せた。
そう、適性が無いと言われていたのに魔法が使えたのだ。
ただ、この二つの魔法を使用しただけで、俺の魔力を半分も使い果たしてしまった事からかなり燃費が悪く、加えて力も出せないのだと分かった。
適性が無いとは、上手く使えない事かと納得したが、練習すればもう少しできる筈だとお思い練習を始めている。
さて、最後になるが、図書室で借りている本についてだ。
3日で一冊程しか読む時間はないが、本を読んでいると、たくさんの知識を得ることができた。
まず一つ目、魔王は本当にいるらしい。
これはいくつかの歴史書に書かれており、少しずつ内容が異なっていたりしているが、間違いはなさそうだ。
二つ目、俺たちが勇者なのかは怪しい。
これも同じ様に歴史書に書かれていたのだが、普通呼ばれる勇者は一人であり、多くても8人だそうだ。
それなのに呼ばれたのは30人およそ4倍近く多いのだ。
それなのに彼等は何も不審がらずに俺達を受け入れた。
怪しすぎる。もっと詳しく調べれば何かわかるのかもしれないが、あまり首を突っ込みすぎてはこちらに危険が迫るかもしれない。
この件は少し時間を置くとしよう。
3つ目周辺の国々についてだ。
この国の周りにはいくつもの国があり、その中でこの国から西の方にこの国の仮想敵国があるそうだ。
ただ、今のご時世は国同士が牽制を行い迂闊に行動できない様になっているそうだ。
その為、仮想敵国とはいえ戦争が起こるとは考えにくく、俺としてはこの国に行って腰を据えるのが良いのではと考えている。
今はこんな感じかな。残り一か月である事を踏まえて残りの時間を有効的に使うとしよう。