図書室攻略
あれから練習を続け魔法と能力による飛行は完璧ではないが順調に精度が上がっている。
こうしてまた一つ難関をクリアし、そろそろアレについて考えなくてはならないと思う。
そう、図書室に関してだ。
先へ先へと解決を後回しにして、等々二ヶ月が経とうとしている。
このままでは本を読む事もなくこの城から逃げる事になってしまう。
本を読まずに逃げると言うことは情報不足のまま見知らぬ土地で生活をするという事。
想像するだけで、嫌な予想が溢れてくる。
まだ、此処が日本の何処かならそれでも良いが、残念な事に此処は異世界で、安全とは言い難い。
回りくどくなってしまったが、要するにあの図書館を陣取っている狂信者達を擦り抜け本を読む事を目指すという事だ。
まずは観察だ。
休日以外は訓練があり、終わる頃には図書室も閉まっている。
その為必然的に休日に図書室に行く事になるのだが、朝から閉まるまであの狂信者どもが見張っている。
狂信者組曰く、王女様を守る為に見張っているそうだ。
多分あの王女は絶対お前らの守りは必要ないと思うぞ、とは口が裂けても言えないが。
さて朝からずっと観察を続けているが、いやはや全く隙がない。
食事やトイレ休憩でも必ず一人以上は図書室の前に立ち居なくなるという事はない。
どうしようないなと半ば諦めかけた時、1人のメイドが図書室に入って行くのが見えた。
最初は気にしなかったが、彼女が出てきた時に、本を抱えているのが見えた時に気付いた。
「そうだ、俺が図書室に入れないのなら、誰かに代わりに行ってもらえばいい。」
余りにも単純な答えだった。
何故思い付かなかったのか考えてしまう程、単純な答えだった。
思っている以上に異世界来た事は自分に負担が掛かっていたようだ。
その後、メイドに図書室から本を借りて欲しいと頼むと快く承諾してくれた。
これでやっと本が読める。
あと一ヶ月と少しの間で、どれほど本を読めるか分からないが、できるだけの努力をしようと思う。