空を飛ぶには
あれから能力と魔術の組み合わせを試しているが、全く上手くいっていないのだ。
能力と魔術は同じに見えても全く別の力で作用している為か、二つの連携が取れないのだ。
このままでは一向に前に進まないと思い、今魔術を教えてくれているフスベル・アルノー先生に能力の事は伏せて空を飛ぶにはどうすれば良いか?と尋ねてみた。
「空を飛ぶには?ですか……それはとても難しい質問ですね。少し時間が掛かりますがよろしいですか?……………では、お話しします。
まず、空を飛ぶにはいくつかの段階を超えて行かなければなりません。
一段階目として、一定時間宙に浮き続けることから始まります。 およそ10cmほど浮けば良いでしょう。
この浮くだけなら簡単だと思う方は大勢いますが、全く違います。この一段階目でもとても難しいのです。
一つは浮き続ける為に風などの魔術を使い続けなければならない為に魔力量が一定以上なければなりません。その点に関しては貴方はクリアをしていますね。
二つ目は姿勢制御です。姿勢制御は魔術だけでは細かい調整は出来ませんので、自身の身体を動かし姿勢制御を行います。これはセンスが必要で、出来ない人は諦めるしかありません。
二段階目は宙を浮き続けながらその場から移動をします。
動き加える事により魔術の難易度が更に上がります。結果ここまで行くとかなりの人が諦めますね。
3段階目はは今までの10cmを超えて、更に高く場所で浮き続ける必要があります。
高くなればなるほど風などの影響が強くなり、姿勢制御が格段に難しくなります。加えてその場を維持する為にも魔力の消費が増えてしまいます。
そして最終段階は3段階目に加えて動く事が必要になります。ゆっくりとした動きなら何とかなるかも知れませんが、鳥の様にスピードを出して飛ぼうとすれば、魔術の難易度は更に上がります。
そう言うこともあり、現在空を飛ぶ魔術を使える者はほんの一握りしかいません。
だから、自信を持って貴方に出来るとは言えませんが、影ながら応援はしております。」
先生の話はとても長かったが、能力と魔術の併用に関してはヒントを得る事ができた。
話を聞いた後に早速部屋に戻り組み合わせを試してみた。
結果から言うと上手くいった。
俺は始まりは能力と魔術を重ねる様に使っていた。だから、調整が上手くいかなかった。
先生の話から、俺は能力と魔術の働きを別々に分ける事にした。
能力は姿勢制御と宙に浮く事。
魔術は加速減速などの動き。
とこの様に役割を二つに分ける事でかなり楽に飛べるようになった。
加えて当初の目標の能力の負担も減らす事に成功した。
ただ、まだ練習中という事もあり、たまに頭を地面にぶつけてしまう事が多々あるが、順調に行けば一ヶ月も掛からずに完全に習得できると思う。