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第二の質問


「では次の質問です。先程も言いましたが、この質問は私個人の質問ですので、お答えしたくなければ結構です。」



「答えるも何もどんな質問か知らないと判断できませんよ。」



「それもそうですね。それではお聞きします。何故貴方はアイリス様を見た後に気絶なさったのですか?」



その質問のせいで部屋の温度が下がったように感じた。


あまり聞いて欲しくない。というか聞かないで欲しい質問をこのメイドは俺にぶつけて来た。


答えるだけなら簡単だ。答えははっきりしている。


『王女様が化け物だから気絶した。』


たった一文で済む答えである。だが、そんなのを正直に言うほど馬鹿ではない。


というか目の前のメイドはあの王女のメイド。

どう考えたっても正直に答えるのは得策ではない。



では、この質問を拒否するのか?

このメイドは別に答えなくてもいいと言っているのだから答える必要はない……………いや、だめだ。拒否できない。

拒否するという事は気絶した理由を俺自身は気付いていると、そしてそれは俺にとって不都合な事が含まれていると言っている様なものだ。


もっと怪しまれてしまう。もし拒否するタイミングがあったとするなら質問を聞く前に断るべきだった。


なら気絶した理由は分からないと言うならどうだ?

普通自分で気絶した理由なんて分かるものではない。だが、それで彼女は納得するのか?

俺に対して質問するくらいのやつが?それも目曰く俺に対して不信感を抱いているような奴が?


あり得ない。何かあると勘繰ってくる可能性がある以上余り勧められたものでない。



ではもう一度嘘をつくか?それしか道はなさそうだが、下手な嘘は全て裏目に出そうだ。



不信感のある彼女に対して真実味のある嘘をつく。



う〜む不可能な気がして来た。先ほどの質問は真実7割嘘3割でも彼女は納得してくれたが、今回は彼女個人の質問だ。何言ってもダメな気がする。…………………でもここで失敗するわけにはいかない。一か八かの勝負だ‼︎



「それは、ですね……………様々な理由がるんです。」



「様々な理由?理由が複数あるのですか?」


まずは先ほどと同じ様に本当を混ぜる。



「ええ、俺がこっちの世界に来たのはついさっきの事でしたよね。いきなり能力を与えられて、いきなり異世界に連れられて頭が混乱していました。


そんな状態でいきなり人に囲まれて、挙げ句の果てには魔王を倒して何て言われたらパニックになるのは必然だと思います。」



「……………それが理由ですか?」



さて真実はここらにして、さぁ嘘をつこうか。


「いえ、まだあります。そんなパニック状態な時にアイリス王女様をみたんです。あんな今までに見た事のない美少女をそんな状態で見れば気絶してしまうのは当然でしょう。」



このメイドのご主人様を褒めたんだ。化け物としてみたのではなく、美少女として見た。ここだけしか嘘に変えていないんだ。これを否定するのは難しいんじゃないか?


「しかし、皆様も同じ様に王女様見ておりました。なのに貴方だけ気絶するの変ではないですか?」


「確かに、皆王女様を見ました。ですが、俺は周りとは違いこの目があるのです。」



「目?…………あぁ確か能力は《よく見える目》でしたっけ?」



「ええ、この目には彼女の姿は他の誰よりもしっかりと見えました。だから、一番ショックが大きかったのだと思います。」



「成る程、確かにそうですね。貴方の目がどれほどのものかは分からないですが、それだけの理由があるのら気絶するのかもしれません。お答えしただき誠にありがとうございます。それでは、失礼します。」



彼女はそう言うと、礼をするとそのまま部屋から出て言った。



彼女が出て行った扉に目を向けながら俺は背後からベットに倒れ込んだ。



起きた瞬間からこんな質問をされてどっと疲れた。


ただ、彼女のおかげではっきり分かった。俺以外の奴は誰もあの王女について知らないのだと。


この世界に来る前に、二つの能力を持つ俺はとても大きいアドバンテージん持っている何て言っていたが、まさか直ぐにそのお陰で、周りより優位に立つとは思わなかった。


窓から見える月を眺めながら、これからの事を考えた。そして、



「まずは、強くなってこの城から逃げよう」


そう自分に言い聞かせた。

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