最初の死線
キャラの口調がおかしいんじゃ〜!
「……………」
目の前が森だ
…もう驚かねぇよ
ここが幻想郷って所か?
取り敢えず人里を探そう
「あやや、初めて見る顔ですね〜」
「―ッ!?」
後ろから声をかけられて慌てて振り返る
そこには白い服に天狗の格好をした少女が浮いていた
………ん?
浮いてる…?
「ぬぉおおおッ!浮いとる!?」
「あや?驚きますか?」
と天狗の格好の少女が聞いてくる
ん…?よく見たら背中に黒い翼がはえてないか?
わからんが、油断しちゃいかん気がする
「…貴様誰だ?何故浮いてる?その翼は何だ?」
眉を潜め、威圧を少し(・・)放つ
「…へぇ、妖力が使えるとは…妖怪ですか?」
威圧の濃度が高く
それが只の威圧と射命丸は気づけなかった
「妖怪…?フン!
これはビックリ
この世界には人外がいるのか、貴様のような、…な?」
「へぇ…人間、それも外の世界のですか
この山には人を喰らう怖い妖怪が沢山いますよ?
…そう、例えば私みたいな…ね?」
「面白ぇな、やってみろカラス」
プツン
挑発を挑発で返された射命丸はこの時重大なミスを犯す
それはキレてしまうと言うこと
並みの者ならキレれば最後
怒りに身を任せ上手くペースを持っていけなくなる
射命丸はこの時
自分と比べ物にならない下等生物と一緒にされてキレてしまった
「ちょっと痛い目見せてあげますよッ!」
射命丸は幻想郷最速を誇る自慢の速度で真っ正面から突っ込む
これも射命丸の犯したミスだった
左右や後ろからなら勝てたものを
対面死合いにめっぽう強い一と真っ正面から戦った
その結果
ヒュッ!
ザシュッ!
斎藤一の愛刀
池田鬼神丸国重が射命丸の脇腹を切り裂いた
「っ!?」
まさか人間に自分の攻撃を見切られるとは思わなかった射命丸は脇腹に十センチ程の深さの傷を負ってしまう
しかし射命丸は幻想郷最速のそのスピードで緊急回避したお陰でこの程度ですんだのだ
普通の哨戒天狗なら今頃上半身と下半身がさよならしている
(強い…ッ!)
ただの人間が自分より強いなど射命丸は認めたくはなかった
しかし結果が結果である
最初の一手を見切られ
深傷を負った以上
なるべく早くこの場から逃げ出したかった
しかし目の前にいる男がそれを許してくれないだろう
最初は冗談だったとしても
妖怪として男をからかい、からかい返されてキレて攻撃をしたのだ
射命丸は自分の愚かさを呪いながらどう逃げ出すか考えた
その時
「…逃げる気か?」
「っ!?」
射命丸はなぜバレたか驚愕した
「フン…追わねぇよ」
そう言って背中を後ろに向けて親指で合図した
射命丸はただただ困惑した
(これは罠か…
この男に取って自分は殺す価値すらないと言うことなのだろうか?)
同時に嘗められたものだな、と怒りが湧いて
後ろを向いてる今なら殺れるのでは?
とも思ったが
それだと次は無いので逃げることにする
(とにかく、今は引くけど決して逃げる訳ではない
準備を…鬼の方々に助けを求めよう)
射命丸はそう考えながら山頂へ飛んでいった
服の袖を切り裂き
止血の応急処置をしながら
射命丸が飛んでいってすぐ
一は振り返る
「…帰ったか」
やれやれ、挑発されたら乗ってしまう性格も考えものだな
次から気をつけよ…
……あ!さっきの奴に人里の場所聞けば良かったんだ!
あ〜らら、やっちゃった――
「誰だ!」
「むっ!?」
また後ろから大声で呼び掛けられる
振り向くと今度は白い天狗が
(また天狗かよ…)
さっきの一件があったので
内心悪態をつきながら目線を合わせる
「貴様ここで何をしている」
「いや道に迷っただけだ、山の出口教えて?」
◇
◆
◇
「じゃあな、道案内すまなかったな!」
「あぁ、今度は迷わないように注意しろよ?」
と人里の入り口で一と駄弁ってるのは
哨戒係の白狼天狗の男性である
この白狼天狗は妖怪の山にいる天狗にしては珍しく
人間の話をちゃんと聞く男だった
そんな白狼天狗の男に事情を説明すると
親切にも人里の入り口まで連れてってくれたのだ
天狗にもいいやつやなやつがいるんだな
と考えながら
一は人里へ入っていった
◇
◆
◇
「ふぅ…」
と妖怪の山哨戒係の白狼天狗
ユウがため息を吐いた
この妖怪の山は
度々外来人や人里の人間が迷いこんでくる
その大抵は自分の同級やそこらの妖怪に殺されてしまう
周りの妖怪の中でもトップクラスの優しさ・お節介さを持ち合わせるユウは
迷いこんでくる人間をどうしても殺すことが出来ず
いつも人里まで道案内している
「自分のこの性格も中々考えようだよな…」
そう言いながら頂上に戻る
すると
「……騒がしいな?」
頂上近くで同級や鬼達が騒いでいた
「やな予感がする」
本能的にそう感じたが
そのまま向かう
すると
「ユウ!ちょっと来てください!!」
此方に気づいて誘導する
哨戒天狗の纏め役
犬走もみじだ
「どうしたんです?もみじさん」
「文様が人間にやられて重傷を負いました」
「っ!?」
「幸いにも永遠亭の永琳さんから薬を貰い
命に別状などありませんでしたが…」
(人間…?いや、まさかな)
「文様を倒した人間は
茶色の着物に黒の袴
腰に二本の刀を差していたそうです」
「ッ!?」
(ハジメじゃねぇか!)
「今は鬼の方々が山を捜索中ですが…
何か知ってることはありますか?」
「い…いえ、な…何も」
汗をだらだら流しながらそう答えるユウ
これは怪しいと思ったもみじが踏み込んで聞く
「何か隠してますよね?正直に話して下さい」
「いえ、本当に何もしr「嘘ですよね?」…はい」
逃げられないと踏んだユウは
仕方なく一のことを話す
「…人里ですか」
もみじはそう言って人里方面を睨み付けていた
いくら鬼や天狗が人間より強くても
無闇に人里で暴れたりしない
それは人里にいる博麗の巫女が
妖怪が問題を起こした時の異変解決に“妖怪退治”としてやって来るからだ
よって、よっぽどの理由がない限り異変は起こらない
「…いちよう、鬼の方々には話しておきましょう」
そう言ってもみじは鬼の住み処まで飛んで行く
(やってしまった…)
ユウは深く後悔した
言わなきゃ良かったと
天狗の中で二番目に強い射命丸と言えど鬼の四天王には勝てない
だがそれとは関係無しに刺激に飢えた鬼は射命丸を倒せるほど力のある一に食いつくだろう
マズイ事になった
もみじ!
お前何で漢字変換に出てきて来んねぇんだ!?
泣くぞコノヤロゥ!
あ…野郎じゃなかった