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君と僕の心世界  作者: エンゼルケーキ
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始まりの日

好きだから書いてしまう、そんな作品の1つになれたら素敵だと想う。

 この世界は2人の天使が創造つくり住まう為に心の力によって生み出されたと伝えられている。

 次に天使達は自分達の仲間を作ろうとしたが失敗した、それが人間の誕生だった。


 何度も仲間を作る事に失敗していると、人間は見る見る増えていきました。そうして天使達はどうしても自分達の仲間が作れないと諦める事にしました。

 ある日、増えていった人間達を観ていると2人の天使は興味を持った、そして惹かれ始めた。

 次第に2人の天使は自分達も人間の仲間となって生きてみたいと想い、強く願った。

 そして人間になる事を選び共に道を同じにする事を選んだ天使達は、世界を放って自分達も人間になりました。

 

 こうして人間達は世界を与えられ、自由に生きる事を始まりとした。


「わかりましたか? 一日の始まりは天使様への祈りと感謝を忘れない様にするのです。 それと天使様にいつ見られても人間として恥ずかしくない行いを心掛けなさい。」

 

 

 世界の始まりの詩を聞かされ、天使様への祈りと感謝をすることで僕の一日は始まる。

 ここは大陸の中心から北側にある森の中の建つ教会だ。僕は孤児として、この教会の前に捨てられていたのを拾われ育てられた。

 ここで育てられた僕は迎えられた日を誕生日として、その時の誕生日ケーキの名前を付けられた。

 

 だから僕の名前はシフォン・ケーキなのだ。

 

 ここの人達にはとても良くして貰っている。

 ここの教会の代表者であり僕の親代わりであるマザー、それとマザーの補佐をしているシスター。

 僕はこの教会で本当の自分の子供のように大切に育てられてきた、だけど明日からはこの生まれ育った教会を出て行かなくてはならない。

 何故なら――――


「聞いているのですか、シフォン! 貴方は明日から中央の街の学園へと行き、世界の明日を担う若人になるのですよ。」


 そう、明日からは大陸の中心にある街の学園の寮へと行く事になっている。

 ある一定の年齢期になると人は大陸の中心にある学園へと一度集められ、受け入れられる事になっている。

 そうした世界の規則があるのだ。

  

「任せてください、マザー。期待に応えられるように頑張ってきます!」


 僕は笑顔を浮かべながら返事をするも、軽く適当な返答だと気づかれた。

 マザーは無言で部屋を出て、しばらくすると桶のような物を持ってきた。


「シフォン。北の井戸まで水を汲みに行ってくださいね、頼みましたよ。」


 マザーの笑顔、そして渡された桶を見て、苦笑いする僕だった。

 

 ここの教会から北に歩いて数十分ほどの場所に井戸はある、僕は自分の部屋で準備をして外へ向った。

 教会の扉を出て入り口の外の庭で洗濯をしているシスターが声を掛けてきた。


「マザーは心配なんですよ、貴方がここへ来て初めて別の新しい地へ行く事が。」

 

 先程の会話を知ってか知らないか、シスターは僕を見て面白そうに笑いながら話し掛けてきた。

 マザーはもちろん、シスターにもとても良くして貰っていた手前、僕は少し照れくさかった。


「大丈夫ですよ! どうせ帰ってくる所なんてここしかないですから、ゆっくりと自分の信じる道を探して来ます。」


 シスターはそうですかと言わんばかりの笑顔を僕に返してくれた。

 そして僕は教会を出てからしばらくの所、森を抜けた先に、井戸へと着き水を汲んだ。


「そういえば、久しぶりに見てみるか……」


 僕は見に行くことにした、世界の果てを。

 井戸に汲み水の桶を置いて、この北の井戸からさらに北へ数十分の所まで歩いた。

 そこには崖がある。


「天使が作った世界か……」


 崖の下を覗くと空が見える、上を見上げても青空と雲が見える。

 この世界は空に浮いてる小さくも大きい大陸になっているのだ。

 各地方には村や街が点々とあり、大陸の中心にだけ大きな街があるだけ浮遊大陸。

 

「痛い……」


 空ばかり見ていた僕は転んだ。だけど、そのまま起き上がらずにしばらく空を眺めていた。

 気が抜けている所は自分の事ながら情けなく思う。


「さてと、そろそろ帰りますか。あんまり遅いとマザーに怒られちゃうな。」

 

 独り言を言いながらも、僕は急いで井戸へと戻り教会へと帰ることにした。

 帰り際に大陸の中心の空に浮かぶ小さい浮いている島が見えた。

 あれは言い伝えでは、この世界を創造つくった2人の天使が住んでいたとされてる島らしい。

 ちょうど、あの真下にこの世界で一番大きい街と明日から通う学園があるのを思うと少し怖い気もした。


「ただいま、シスター。マザーは今何処にいますかー?」


 教会に着いた僕は、汲んで来た水桶を入り口の傍に置いて近くにいたシスターにマザーの居場所を聞いた。

 遅くなったから怒ってないか不安だ……。


「あら、水汲みご苦労様です。マザーでしたら院長室にいらっしゃると思いますよ。」

「わかりました、ありがとうございます。」


 少し気が重い、何故なら院長室はいつも小言や叱られるときに呼び出される場所だから。

 覚悟を決めて扉をノックして入ることにした。


「マザー、失礼します。水汲み終わらせて、今帰ってきました。」


 話しながら入った部屋の先には、仁王立ちしているマザーの姿があった。


「シフォン! 貴方、また空を見に行ったのですね。危ないからあれほど毎回注意をしていると言うのに!」

 

 マザーが言っている空と言うのは、北の井戸の先にある世界の果ての崖の事である。

 僕はたまにあそこに空を見に行くのが好きなのだ、だけど危ないとマザーにはいつも窘められてる。


「いやー、ごめんなさい。明日にはもう中央の街に行くので最後と思って。」


 少し卑怯かな、ちょっとだけ良心が痛む言い訳をしてしまった。

 マザーはため息をしつつも僕が無事だった事もあわせて怒らないでいてくれたようだった。


「わかりました、ご苦労様です――あら? シフォン、あなた手を怪我したの?」

「えっ?」


 自分の手を見ると確かに擦り傷のようなものがある、恐らく転んだときに怪我したのだろう。

 マザーはシフォンに近寄り自分の手を、傷がある手に当てて目を閉じた。

 彼女の身体がやんわりとした光を纏ったように見えると、するとシフォンの擦り傷があった手が綺麗に治った。


「はい、これでおしまい。全く貴方はもっと注意しなさいと何度--」

 

 治療は終えたマザーはまたシフォンに向けて小言を言い始めたようだ。

 

 彼女が僕の手を治してくれた力は、心の力(ハーティスト)と言う物だ。2人の天使が仲間を作る時に失敗してできた天使の力の副産物だと言われてる。

 心の力(ハーティスト)は単純に人の心に色合いによって大まかな特徴が決まっている、例えばマザーは心優しさからか他を癒す心の力を持っている。

 それとシスターは穏やかな水の様に澄み切った心、水を放出したり水辺での水流を自由に操る事ができたりする心の力を持っている。

 

 それに比べて僕の心は不完全のように思えた。


「シフォン! また聞いていなかったですね、本当に貴方のこれからが心配です。中央の街の学園は何を目的としているのかわかっているのですか? あの場所では善き心を学び、そして世界の願いを叶える為の聖戦が行われる場です。その様に腑抜けていては大怪我だってするかもしれない!」


 明日から通う学園とは心の力(ハーティスト)を学び心を育み、世界に願いを創造かなえる者達が戦う聖域せんじょうなのだ。

 世界には一定に達した年齢期の人達が中央の街の学園に集め受け入れられるという規則がある。

 何故なら心が成熟して、そして機敏な時期だからである。

 

「大丈夫だよ、マザー。危ないことから逃げるのだけは得意だから僕は。それにあまり争い事は得意じゃないから人を護れる様にと、後は心学だけは頑張ってみるよ。」

 

 どうにか安心させたいと思った、だけど僕の心の力は逃げるのにも人を護るのにも使えない。そう思うと少し気分が沈んでいくように感じた。

 マザーはその気持ちを汲み取ってくれたのか優しい笑顔で返事を返してくれた。


「そう、わかりました――――ただ貴方は自分を理解していないですね、貴方の力は人を護ることだってできますよ。物事には使い方というのがあるのです、それを探し見つけてきなさい。そして自分が想う願いを探し創造かなえてくるのです。」


 僕はその言葉を聞いて、とても心が軽くなったように思えた。


「ありがとう。」


 ただの一言だけ、でもマザーはこの一言だけで僕の心境を理解してくれたのだろう。


「はい、それでは私の小言も聴き飽きましたでしょう。明日に備えて、自分の部屋で準備でもしなさい。もし辛くなったり逃げ出したかったら、いつでも戻ってくるのですよ――ここが貴方の家なのですから。」

「はい……」 


 心地の良さと気恥ずかしさのせいか、少しだけ急ぎめに院長室を退室した。

 そしてシフォンは明日の旅立つ準備をしに自室へ向かった。


「ふぅ、いよいよ明日か――――そうだ! 今のうちに制服を見てみよう。」


 思い立ったシフォンは自室のクローゼットから学園の制服を取り出して眺めてみた。

 黒色が基本的で青が織り交ぜてるシンプルなデザインになっている、まるで街の貴族が着ているような服だ。

 教会暮らしのシフォンにとって、その制服はとてもお洒落に見えて格好良く感じた。

 

「これを着て、明日から街へ繰り出すのか楽しみになってきたぞ――――ん?」

 

 シフォンは制服の右胸のところにある何かをはめ込む窪みがあるのを気がついた。


「この窪み――――えっと、何か付属品でもあったっけな?」


 制服をまとめてある場所には特にそれらしいものは見当たらなかった。


「まあ、学園で何か胸章みたいなのが配られるのかな。」


 少し気にはしたが程なくして考えなくなった。


 その後、夕食を終えたシフォンは明日の準備も程々に終わらせて、眠りに就くことにした。

  


 そして次の朝へ――――

 朝日も昇り窓からは陽が漏れだす時間だ、早く目が覚めたシフォンは起き上がるも目を閉じたまま呆けていた。 

 すると自室の扉の叩く音が聞こえた、シスターが起こしに来てくれたのだろう。


「シフォンさん、起きてください。そろそろ支度をして朝の準備を始めてくださいね。」

「はーい、シスター。すぐ準備します。」


 僕はすぐに制服へと着替え、朝の支度へと取り掛かった。

 

 準備を終えると姿見を見て少し格好を決めてみたが、良い感じに決まっていたので思わず自画自賛してみた。

 そして食卓に着き、ここでの最後の朝食を摂った。もちろんマザーのお祈りと世界の始まりの詩――――天使の詩付きだ。

 

「それでは、シフォン。わかってるとは思いますがここから南へ歩いて行き、馬車道へと出れば後は馬車を拾い乗って行けば中央の街まで着けます。」

「シフォンさん、お気をつけて。いつでも帰りをお待ちしますよ。」


 二人は激励の意を込めた言葉と共に僕を送り出してくれている。


「はい、それじゃ行ってきます。二人とも御身体とかに気をつけてくださいね!」


 感謝の意を含めできる限りの精一杯の気持ちを込めた。


 そして二人と別れた僕は南へと向かい歩き出した。

 この世界の願いとは何なのか興味を惹かれながら、自分の信じる道を探し自身の力と向き合う事を選び、そして新たな出会いがあることを期待して。

 



――僕はこれからの僕の物語に期待を膨らませた。――




始まりはこの作品で、これから書いていこう楽しみだ。

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