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泥沼

作者: 色即是空

 悲しいことに、私も女になってしまいました。

というのもセックスをしたという意味ではありません。初めて恋愛という泥沼に足を踏み入れてしまったのです。最初こそは向こうからのアピールでした。つき合う前にキスもされました。そういうことに疎かった私は、最近はそういう感じなのかと勝手に納得していました。しばらくしてから付き合い始めましたが、それまで好きだ好きだと言ってきたが、徐々になくなりました。この人は、落とすことが好きなのだろうか、と考えました。恐らく、そうなのでしょう。私は落とされたのですね。


彼は地方出身です。そこから東京に出てきたのです。一人暮らしは相当に寂しいらしく、私は多分、その穴埋めに選ばれたのでしょう。いわゆる「誰でもよかった」という感覚だと思います。悲しいことですね。それをつき合った少しあとに見抜いてしまった私もまた、悲しいものでした。そしてその人は女の子と随分仲良くする人なのだと理解しました。他の女の子との約束のために、私との約束を前日にドタキャンするくらいには。これに確証はありませんが、なんとなくそういう予感がしただけです。勘はだいたい外れますが、今回は当たりそうなので怖いですね。こういう時にばかり当たるのですから。


付き合い始めて一週間くらいで彼の家におじゃましました。思えばこれは軽卒でしたね。無知だったなんて理由になりません。キスをしました。セックスしそうになりました。私は拒みました。それだけです。そのあとの前日にドタキャンです。あぁ、なんていうことなのでしょう。それは気にもなります。


彼は寂しい人なのでしょう。誰かがそばにいないと生きていけない。それは友達ではなく心と身体の隙間を埋めてくれる女の子でなくてはなりません。彼は寂しい人です、そして残酷な人です。恐らく、別れ話は自分からしない人でしょう。女の子に振られて「振られちゃったよー」と言う人なのでしょう。いつか私も振る日がくるのでしょうか。それは案外、近い将来なのかもしれません。


けれど疑問がひとつ残ります。私は彼の事が好きなのでしょうか?

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