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勝利とその代償

港街 酒場 那珂沢羽黒


囚われていた30人以上を救助した私たちはこの街ではちょっとした英雄だ。だけど損害も大きい。MH-60を一機とその搭乗員全員。自衛官の殉職。私は震災で救助などにも出向いて酷い光景はなんども見たが仲間が死ぬのはまた違う辛さがある。

「羽黒ちゃん・・・アイツは水葬にしてやるべきかそれともハワイで埋めてやるか最終判断を頼む・・・」

艦長が私にそう言ってくる。

「そういえば・・・」

「ん?」

「あの人・・・大和が好きだって言ってました・・・だから大和の艦上で葬儀をしてやって水葬してあげるのはどうでしょう」

「ああ・・・それがいいかもな。よし、ちょっくら大和引っ張ってこいって言ってくるわ。」

艦長はそう言って離れていく。さて、私も少しお酒でも飲もうかな・・・少し酔えば気持ちが楽になるかも。

「ワインでも飲もうかな~。陽菜のヤツはお酒飲めないからオレンジジュースで頼んでや・・・え!?」

私は目を見開いた。目の前で陽菜がワイン瓶片手に酔っている。どうしてこうなった。

「ちょっ!陽菜!あんたなにしてんの!?」

「んあ~?あ~お姉ちゃん~、うぇひひ~」

「え!?ちょっ!?」

陽菜がワイン瓶を振りかざして近寄ってくる。どういうこと。

「ふぇいっ!」

ぶん投げてきた。ワイン瓶を。

「あぶなっ!ちょ、あんたどんだけ酒乱なの!?そしてなぜ姉を攻撃する!!」

「あ・・・ひえいの副長さん・・・」

「砲雷長さん?どうしましt―――ぐっふえ!」

陽菜のパンチが脇腹に・・・ぐふっ・・・

「ええ・・・と副長が悪乗りで艦長に酒飲ましたらああなりまして・・・」

「で、副長さんは?」

陽菜の応戦しつつ副長はどこか聞く。くっ・・・姉に手ェ出すとは姉妹の仲も今日でおしまいじゃあああああ!!!

「あそこで伸びてます。」

「あそk―――げふっ!」

「あははは~お姉ちゃんって弱い~」

その副長とやらは頭から赤い液体(たぶん赤ワイン)をながして死亡。自業自得ですねー(棒

「このぉ・・・姉の本気を見るのだ!」

思いっきり瓶を投げる。

「あははは~、当たらないよ~♪」

「こんのぉ!!」

5本くらい喰らえ!!と瓶を投げる

「あははは~遅いおそーい♪」

奥からグハッ!ギャアアアア!!!ぐっふぇ!グアアアア!!!と悲鳴が聞こえたが気にしない。私の瓶を避けれないなんてあなた達遅いのね!

とまぁ、賑やかな宴会が夜遅くまで続いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

港町 港 那珂沢羽黒


「やっと起きたかバカタレ」

「ん・・・ふぁあ・・・あ、艦長~」

目の前に艦長の顔があった。

「あ、艦長~。じゃねぇよ。ほれ、とっとと港に行くぞ。大和はもうすぐ来る。海兵の連中も大和の艦上で弔ってくれとのお達しだ」

「そうですか・・・ちょっと着替えて来ますね~・・・」

「おう、そうしろ。さて・・・カメラカメラ・・・」

「艦長(ニコッ」

「ひゃい!?」

男にあるまじき声をあげる。

「覗くようなら・・・サメの餌にしますよ?」

「あハイ・・・すんません・・・」

「じゃぁ着替えてきますので」

あの艦長のセクハラには慣れてしまった気がする・・・


10分後


「ただいま戻りました~」

「おう、おかえり。あとちょっとで到着らしいぞ」

「そうですか。そういえば町の人は?」

「ああ、英雄を弔いたいと言うことでみんな船に乗ってる。」

まさかこの時代でイージス艦なんかに乗ることになるなんて思いもしないだろうね。

「じゃぁ船に行きましょうか」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

護衛艦「はるな」


うぅ・・・頭痛い・・・そういえば副長、頭に大怪我してたけど大丈夫かな~・・・

「艦長、出航準備完了です。」

「了解しました。本機起動、両舷巡航速度を維持してください。」

エンジンの甲高い音が聞こえてくる。乗ってる町の人とか大丈夫かな~・・・

「本機起動異常なし」

「両舷巡航前進」

はるながゆっくりと加速する。うっ・・・なぜだろう・・・気持ち悪い・・・

「艦長?大丈夫ですか?」

「あぅ・・・だ、大丈夫れす・・・」

「呂律回ってませんよ・・・」

あ・・・思い出した・・・副長にお酒飲まされて酔ったんだった・・・

「うぇ・・・ちょっとお手洗いいってきます・・・」

「了解です」

気持ちわる・・・おrrrrrrrrrrr・・・

「ぎゃあああああああ!!!艦長おおおおお!!!!メディイイイイイック!!!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

護衛艦「ひえい」


「合流海域へはあとどれくらいですかね?」

「んとね・・・30分かな。」

「もうちょっとですね~」

甲板で走り回る町の子供達を眺めながら艦長と話す。

「にしても子供は無邪気でいいよな~・・・」

「ですね~・・・」

「・・・年寄りくさいですよ二人共・・・」

「し、失礼な!!私はまだ22ですよ!!」

「お、俺だってまだ32だ!!」

「いや・・・あの・・・会話内容に対してなんですが・・・」

私たちは航海長に向けて怒鳴る。まったく女性を年寄りあつかいなんて失礼な・・・

そんなこといているうちに大和の艦影を目視できるまで近づいた。

「おお・・・やっぱ大和はカッケェな・・・」

「ですね・・・あれもう美術品ですよ・・・」

「んだな~・・・羽黒ちゃんとはいい酒が飲めそうだ。」

「艦長とは飲みたくありません。」

「・・・ひどいこと言うね君」

この艦長のことだから酔わして変なことするに決まってる。

「よーし、接舷用意。俺は艦に残るから羽黒ちゃん大和に行ってね。」

「了解です」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

戦艦「大和」


おお・・・やっぱり大きい・・・さすが世界最大最強の艦・・・

「こんな物が生きているウチに見れるなんて・・・」

「ママー!船のお化けだよ!!」

などと町の人々の歓声が聞こえる。そりゃまぁこんなもの初めてみたらそうなりますわな。

「あ、お姉ちゃん!」

「げっ・・・陽菜・・・」

「なんで私のこと嫌がるの・・・?」

陽菜は涙目になりながら俯く。可愛い。可愛いけど昨日のこと覚えてないのかコイツはッ!!!

「ごめんごめん。違うよ」

「じゃぁ・・・なんで・・・?」

上目使いに見てくる。やめろッ!何か新しい扉を開きそうだからッ!!

「ま、まぁとにかく・・・あの人たちを弔ってあげないと・・・」

私は用意された棺桶を見ながら言う。

「そうだね・・・多くの人を助けたのに死んじゃったら意味ないのに・・・」

「仕方ないよ・・・戦場で死なんていつ来るか分からないから・・・」

「そうだけど・・・」

「ほら、いつまでも悲しんでないで挨拶に行くよ」

「挨拶?誰に?」

「JPJのジャック艦長に」

陽菜が突然震えだす。なんで?

「い、いや・・・JPJの艦長さんだけはいやああああああああ!!!!!」

「ちょ、ちょっと陽菜!!挨拶するだけだから!!」

「いやああああああ!!怖いのいやああああああ!!!」

「ええ・・・」

陽菜を引きずりながらJPJの艦長さんに近づいていく

「お、君たちが「はるな」と「ひえい」の艦長か?ジャックだ。よろしくな」

「よ、よろしくです。」

一言で言おう。怖い。

「なんで泣いてんだ・・・・?」

「ひっ!?」

ジャック艦長が陽菜の方を見た瞬間陽菜は私の後ろに隠れてしまった。

「ああ・・・お前あん時のか・・・大丈夫だ、もうキレてねぇよ」

「いやあああああ・・・怖いぃぃぃ・・・・」

「俺の心のライフが削られてる件について」

「あ、あははは・・・とりあえず・・・葬儀の準備に・・・」

「ん?そうだな、また後でな。」

「はい」

陽菜は終始怯えていた。たしかに顔は怖いけど・・・

「あの人には会いたくないよ・・・・」

怯える陽菜可愛い・・・うへへh・・・はっ!?ヤバイ・・・新しい何かを開きかけてる気がする・・・!



30分後



「捧げ筒!」

弔砲の音が響く。町の人たちの中には泣いている人も大勢いた。

「水葬用意」

遺体が台に乗せられる。そして花束とドックタグを持った町の人と兵士が遺体に近寄る。そして遺体が海に落とされる。

「敬礼!」

全員が敬礼をする。町の人たちは思い思いの祈りを捧げていた。

「今日はありがとうございます。町長殿」

「いいんじゃよ。町を守ってくれた英雄のためじゃ。」

大和の艦長がお礼を告げていた。私たちは船に帰り始める。

「陽菜?あんた大丈夫?」

陽菜は涙目で震えていた。たぶん葬儀で泣いたのとJPJの艦長のトラウマだと思う。

「だ、大丈夫・・・」

フラフラと「はるな」に戻っていく後ろ姿を私は眺めていた。ついでになぜか愛おしくてたまらない視線を送っていた。たぶんもう扉開いたわこれ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

護衛艦「はるな」


後甲板ではちょっとした食事会のようなものが開かれていた。メニューはカレーだがみんな美味しそうに食べていた。

「おう、羽黒ちゃん。おつかれ」

「あ、艦長。おつかれさまです」

艦長も後甲板に降りてくる。

和気あいあいと進む食事会を見て平和だな~・・・と思う私だった。

「ん・・・・?艦長・・・あそこ何かみえません・・・?」

「ん?どこ?」

「あそこ・・・ほら・・・何か水面に黒いものが・・・」

「ああ~・・・大体距離4000くらい・・・?しかしよく見えたな~・・・」

艦長は双眼鏡をのぞきながら言う。

「まぁ、鳥を眺めてたら見つけたんですよね」

「へ~・・・ん?あれ潜望鏡っぽくね?」

「え?どれどれ・・・ん~・・・分からないですね・・・・」

たしかに潜望鏡に見えなくもないがどちらかというと目のような気がする。・・・ってえ?目?なんで?って思っていたときアナウンスが流れる。

<<魚雷音聴知!方位240度、距離3700!>>

「ぎょ・・・らい・・・!?」

「なんで魚雷が・・・!?」

「考えるのはあとだ!本機起動!全力即時退避!訓練どういかわして見せろ!」

艦長が叫ぶ。そうだ、避難誘導しないと・・・!

「みんな!格納庫に入って!!」

「どうしたの?」

中年の女性が聞いてくる。

「詳しい話はあとです!はやく!」

後甲板の人たちを格納庫に押し込む。ふぅ・・・これで全員?

「みんな手近なものに捕まって!いい!?」

「え?わ、わかった」

素直に聞いてくれて良かった・・・。

「小さい子供はお母さんが抱えててください!」

私は叫ぶ。その時無線から艦長の声が聞こえてきた。

<<いいか?すぐに急加速でよける。捕まってろよ!>>

「わかってます!」

<<よし、いい子だ!>>

<<本機起動、異常なし。>>

<<よし!軸ブレーキ脱!最大戦速!!>>

<<最大戦速!!>>

「おっと・・・」

急加速で危うくこけそうになる。ああ、もう髪切れば良かった・・・腰まであると風で邪魔・・・。とりあえず私は後甲板にでて双眼鏡で魚雷を探した。

<<本艦との距離・・・1000ヤード!>>

アナウンスが流れる。

避けて・・・!お願い・・・!


ちょっくらスタイル変えましたw一人称視点のほうが書きやすいかも・・・

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