生贄の儀式を阻止せよ!後編
護衛艦「いそかぜ」 田中美香
「ええと・・・なんで私が実戦部隊なんですか・・・?」
「なんでって、お前よく考えたら射撃上手いだろ。」
「でも艦長のほうが・・・」
なんで私が実戦部隊に組み込まれてるんだろう・・・
「俺は船を見てなきゃいかんからな」
「だったら私が・・・」
「お前がいると指揮が上がるの。分かった?」
そういえば私がいるときは大体みんなテンション高い気がする・・・
「そ、そうですか・・・」
「そういうわけで頼むぞ。」
「は、はい・・・」
不本意すぎるが・・・まぁいいかな・・・
「はぁ・・・私が使う武器は何ですか?」
「ああ、なんか米軍がHK416貸してくれたからそれ使いな。サブウエポンにクリスベクターもな。」
なにその装備怖い。
「ええ!?それ最新式すぎますよ!!」
「何かお前が使える武器で軽そうなの探してたら米軍のヤツがものすごい笑顔でくれた。」
「ええ!?」
「米軍曰く、可愛いからもうおじさんどんなのでもあげる!ってよ。」
べ、米軍・・・どこの誘拐犯だ・・・
「そ、そうですか・・・」
「あ、ついでにみんなの装備もくれたしな。」
「ええ!?」
「M4とM9を。」
「お、大盤振る舞い・・・」
「余ってたからいいよだって。」
「べ、米帝おそるべし・・・」
もう米軍怖い。
「はぁ・・・それじゃ行ってきます・・・」
「あ、そうそう。着る装備も海兵がくれたから。この日章旗と名札つけてってね。」
艦長が私に日章旗と名札を渡す。
「お前の装備は酒場にいるベネット大尉が持ってるから。」
「了解です。」
さてと・・・行ってくるかな~。化物相手なんて怖いけど・・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
港街の北の森 田中美香
うぅ・・・なにこの暗さ・・・何か出てきそうだよぉ・・・
「ア、アリスちゃん・・・ここ怖くない・・・?」
「怖いです・・・」
なんとも頼りにならない画なハズなのにみんな異様に指揮が高い。指揮官がビビリなのになんで・・・?
「副長、前方に熱源・・・」
「え!?も、もう化物が・・・!?」
「い、いや化物とはわかりませんけど・・・」
<<おう嬢ちゃん、何か見つけたか?>>
無線を介してブラッド少尉の声が聞こえる。
「えと・・・奥に多数の熱源・・・」
<<ああ・・・いるな・・・>>
「動物ですかね・・・?」
<<いや・・・>>
「な、なんですか・・・?」
<<ゴブリンぽいなありゃ。>>
ゴ、ゴブリン!?い、いや怖い!!
<<ちょっくら離れてな。>>
ブラッドレーから離れる。
<<前方に25mmを叩き込め。ハンヴィーはキャリバーだ、いいか?>>
<<イエッサー!>>
<<撃て!!>>
ドドドドド!!!!ともの凄い音がする。
「ひっ!?なに!?」
アリスはびっくりして尻餅をついてた。
<<よし、熱源反応消失。>>
「な、なんだったんですか・・・?」
「ああ・・・まぁうちらの攻撃だから・・・」
「魔法ですか!?」
アリスは目をキラキラさせながら聞いてくる。こんな物騒な魔法あってたまるか。
「ん~・・・まぁ船の大砲を小さくしていっぱい撃てるようにした感じかな?」
「すごいですっ!」
目をキラキラさせながらアリスはハンヴィーに乗せられたM2重機関銃を見ていた。
約5時間後
「ここかな?」
私たちは大きな洞窟の入口に到着した。儀式の予定の時間からすれば約1日早いが気にしない。
「ん~と・・・アンヴィル隊は入口で待機しててください。ゴブリンの襲撃があった場合の発砲は各自自由です。」
<<了解。よし、警戒を怠るな!>>
「じゃぁ、アリスちゃん、絶対に私たちから離れないで。それと私たちの前にも出ないで。後ろか横に居ること。いい?」
コクコクとアリスは頷く。しかし顔はやはり恐怖に染まっている。
「じゃぁ、行きましょう。ハンヴィー隊は速度に注意してください。」
<<了解。よし、機銃手と運転手以外は降りろ!いくぞ!>>
海兵たちが降りてくる。やっぱり実戦だと海兵たちのほうが頼もしい・・・
「アリスちゃん・・・くっつきすぎだよ・・・」
私は苦笑しながら涙目のアリスに言った。
洞窟内部
どれくらい歩いただろうか・・・たぶん30分くらいだと思う
「ふぅ・・・ちょっと休憩・・・」
私は道端に座って休む。アリスも疲れた表情をしている。
「アリスちゃん?大丈夫?」
「は、はい・・・」
ん~・・・さすがに歩きっぱなしだからな・・・
「アリスちゃん、ちょっとこっちに来て」
「?」
私はハンヴィーのドアを開ける。
「この中に乗ってればいいから、ね?」
「はい・・・」
すこしこわばりながらハンヴィーにアリスは乗り込んだ。
「さて、行きますか。」
少し歩き出したとき奥から異臭が漂ってきた。
「うっ・・・なにこの臭い・・・」
「腐乱臭に似ていますね・・・」
てことはやっぱり遺体があるのかな・・・
「とりあえず行きましょう・・・」
歩き出して10分、私は早速地獄を見た。
「ひっ!?」
そこには蛆の湧いた女性の死体があった。頭だけだが。
「近くにいるな・・・」
佐竹2尉はM4を構え直す。
「足音がするな・・・」
「み、耳がいいですね・・・」
「聴力だけには自信ありますから」
佐竹2尉は笑顔で言い返してくる。
「・・・近い・・・」
HK416のチャージングレバーを引いて初弾を送り込む。
「・・・足音・・・?」
はっきりとドスドスという音が聞こえる。
「・・・!伏せろ!!」
そのとき空気を切る音と共に大きな石斧が飛んできた。
「くそ!」
佐竹2尉はライトをつけた。そこには頭が牛、体が人間の大男がたっていた。ミノタウロスじゃん!
「ン・・・?餌ガ多イナ・・・フフフフフ・・・」
不気味な声を上げながら棍棒を振り回してくる。体長は3mを越していた。
「あぶなっ!」
ギリギリでよける。てか、こんなの食らったら一撃じゃん!!
「こ、攻撃開始!!」
小銃が火を吹く。
「グッ・・・・ヤルナ・・・」
だが、少し出血しただけだ。全く効いていない。
「クソッ!!50口径を叩き込め!!」
佐竹2尉が叫ぶ。その瞬間轟音と共にM2が火を吹く。
「グアアアアア!!!」
効いてる・・・?でも少し肉がえぐれただけ・・・どんな硬さなのよ!!
「くっ・・・!一時退却!」
「逃ガスカ!!」
ハンヴィーからアリスをおろして私たちは走る。ハンヴィーはまだ50口径を撃ち続けていた。
「いやああああ・・・死にたくない!死にたくないよぉぉぉ!!」
アリスはパニック状態だった。
「撃ち続けて!!」
一時止まってミノタウロスに射撃する。もうミタウロスっていうのめんどくさい。ミノ太でいいや。
「そうだ・・・頭!ミノ太の頭を狙ってください!」
「ミノ太!?つ、ツッコミは置いといて・・・」
私たちは頭を集中的に狙う。だがありえない。カァン!といい音を出して跳ね返された。
「硬っ!」
ハンヴィーが射撃をしながら後退してくる。
「アリスちゃん!まだ走れる!?」
すこし落ち着いてきたアリスに言う。
「な、なんとか・・・でも死にたくないです・・・!!」
「大丈夫!絶対に生きて帰ろう!!」
私はアリスを励ました。だがその奥で信じられない光景をみた。ハンヴィーが破壊されたのだ。
「副長!ハンヴィーが!!」
「!」
「生存者なし!!」
くそ!!また戦死者が!!
「!!危ない!!」
アリスを抱えて横に飛び退く。すぐ横をハンヴィーが転がってきた。ミノ太が投げたようだ。
「あの怪力野郎・・・!」
「早く!走って!!佐竹2尉!アリスちゃんを背負えますか?」
「大丈夫です!」
「アリスちゃん!この人に捕まって!!」
よこでは海兵たちが必死に食い止めていた。しかしほとんど効いていない。
「洞窟の入口まではあとちょっと!」
洞窟の入口まであと200mまで迫っていた。
「さっきチラッっと見えたんだが、この洞窟は化物の巣窟みたいだな!」
「どういうこと!?」
「話はあとだ!!」
海兵が見たのはなんだったんだろうか・・・
「・・・?地響き・・・?」
ゴゴゴゴと地面が揺れている。地震!?
だが地震ではなかった。
<<こちらアンヴィル2-1、大丈夫か?>>
ブラッド少尉の率いるアンヴィル隊だった。
ハンヴィーも後ろにいる。
「ハンヴィーに乗り込みましょう!急いで!!」
私たちはハンヴィーに駆け寄る。
<<撃て!>>
ドガアアン!!とものすごい音がする。ミノ太の手が消し飛んでいた。
「アアアアアアアア!!!!!!!!」
だが、手など気にしないかの勢いで突っ込んでくる。
<<くそ!後退後退!!>>
ミノ太がエイブライムスの上に乗っかる。
<<クソ!50口径で撃て!>>
だが、M2がもぎ取られてしまう。
<<くそ!>>
苦し紛れの一発を放つが当たるわけがない。主砲をおられてしまった。
<<ちくしょう!!全速後退!同軸機銃で撃て!>>
車載の7.62mm機銃をうつが豆鉄砲だ。
私たちはハンヴィーに乗り込んで脱出準備が整っていた。
「ブラッド少尉!準備完了です!脱出しましょう!」
<<・・・無理だな・・・>>
「なんでですか!?」
<<俺はコイツと決着をつけて帰る。>>
「でも!」
<<いいから行け!!>>
「・・・了解しました。」
ハンヴィーが全速に逃げる中ほぼ攻撃不能なM1戦車を援護する形でブラッドレー装甲戦闘車が向かって行った。
<<こちら「いそかぜ」美香、大丈夫か?>>
「私たちは無事ですがアリスちゃんが脱出時に頭を打って気絶!それと中で戦車が戦闘中です!」
<<さっさと撤退させろ!洞窟にトマホークを叩き込む!>>
「と、トマホーク!?」
<<いいからさっさとしろ!>>
「了解!!ブラッド少尉!応答してください!!」
<<こちらブラッド!どうした!>>
「直ちに退避してください!「いそかぜ」からトマホークを洞窟に撃ち込みます!」
<<マジかよ!こっちは破壊されたエイブライムスの乗員を救助した!脱出ならできる!>>
「ミノ太は!?」
<<ミ、ミノ太!?ああ、アイツか・・・足を撃ち抜いてもう走れん。諦めて洞窟の中に入っていった。>>
「その割には砲撃音するんですけど・・・」
<<ああ・・・暇だからとりあえずぶっぱなしてる。どうせ期限切れ前だしな>>
「あ、あははは・・・」
米帝おそるべし・・・
ブラッドレーが洞窟から出てくる。
「艦長、ブラッド少尉の撤退確認。攻撃できます!」
<<よし!トマホーク攻撃始め!>>
大胆にもミサイルぶち込むなんて艦長もすごいな・・・
そして走り出して20分後アリスは目を覚ましてすぐに頭上を轟音を立てながらトマホークミサイルが通過していった。
こんかいうまくいったかな・・・?そういえば前回書いたJPJの戦闘忘れていたので次回の冒頭に書きます!




