表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nothing.  作者: 松田 映美花
ウェストバリー魔法学校
4/14

3

「ところであなた達は?わたしはアイリス・ヘイルウッド」


 アイリスはパンを千切って一口運んだ後、思い出したかのように言った。


「僕はルーク・フォーブス」


「フィリップ・メイヤールだよ」


 慌てて自己紹介する二人に、アイリスは気の抜けた返事をした。

 そして食事の続きを摂り始める。


 特に何を話せばいいのか分からずに訪れた沈黙を破ったのはフィルだった。


「ねぇ、今日の属性試験って何をやるんだろう」


 その言葉ですっかり忘れていた試験のことを思い出し、ルークは一気に気が沈んだ。


「さあ?わたし、パパもママもヒトだから…聞いたことがないわ」


 アイリスの言葉にルークは驚いた。

 魔法使いというものは、昔から続く家系が多い。

 魔法使いではないヒトの子が魔法使いとなることは実に稀だと言われている。

 そして魔法使いとヒトの交流もないと言っても過言ではないくらいに少ない。

 ほとんどが代々続く魔法一族の子ばかりなのである。


「僕の父さんもヒトだよ」


 フィルがルークの隣で言った。

 ルークは驚きで手が止まる。

 片親がヒト、つまりハーフであるということは隠したがる魔法使いが多いのだ。

 彼らはヒト同士の子よりも少ないことから、時に風当たりが強いのだ。

 だからと言ってルークには今更フィルを避けようだなんていう気にはならなかったが。


「君は、それでそんなに本を読むの?」


 ルークはアイリスに尋ねた。

 両親の話を周りに聞かれるのは二人にとってあまり良くないかもしれないと思ったのだ。

 しかしアイリスは首を横に振る。


「これはわたしの趣味よ」


 ルークとフィルは顔を見合わせた。

 驚きの余りにフォークを落としてしまいそうになる。


「趣味が…それ?」


「ええ、そうよ」


 アイリスの嬉しそうな返事に、ルークは変わった子だと心の中で思った。

 もしかするとそれはフィルもかもしれないが。




「変人だ」


 大広間を出た三人が試験を受けるための教室へ移動しようとしていた時だった。

 濃紺色のローブを纏った同級生達がヒソヒソとこちらを見て言っているのが聞こえた。

 まただ、とルークは眉をひそめる。

 するとアイリスが二人に言った。


「気にしないで。わたしのことよ」


 アイリスは特に気にした様子でもない。

 ルークは首を傾げた。


「わたしはヒトの子だし、読書が好き。呪文を考えるのも薬を作るのも好き。だから変人なんですって」


 一瞬だけアイリスの顔色が曇ったようにも感じたが、相変わらずの笑顔でそう言ってのけた。


「確かにこの本はちょっとね…」


 ポツリとフィルが呟いたが、アイリスは飄々としている。

 ルークはそんな風に強い心を持てるアイリスが羨ましく感じた。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ