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還暦の勇者様  作者: える
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「フンっそんな事も知らんのか!

魔王様は世界最強を証明する為全てを滅ぼそうとされているのだ…何も無くなった大地に降り立って眺めてこそ世界最強を証明出来ると。」



あまりの訳の解らなさに頭を抱えたくなった。



「大体…それならお前達部下も殺されるんじゃないのか?」



眉間を押さえながら訊ねるとリーバは今気が付いたとばかりにハッとした表情を浮かべた。

頭が痛い。



「魔王は何処に居るんだ?」



私が訊ねてもリーバは返事をしない。

まるで芋虫のように器用に体を動かして逃げて行く。



「ちょっと!」



追いかけようとする佐藤を制止した。

一応は『腹心』を名乗る位なのだからそれなりのプライドもあるんだろう。

まぁ…何より魔王は意味が解らない奴だと言う事がよく解った。


「北野様ココから一番近い村が在りますとりあえずソコを目指しては如何でしょう」



佐藤の言葉に黙って頷く。

どうせ行く所も決まっていない。



「それにしてもどうしてこんなに私の顔が知られてるんだ?」



歩きながら佐藤に訊ねてみる。

すると佐藤はあっけらかんと言い放った。



「全国中継でお告げを放送してましたからねぇ…その時に顔も名前もバッチリ放送されましたよ」



は?

全国中継…だと?



「そのお告げが元で私は北野様を迎えに行ったんですから!」



エッヘンと腰に手を当てて威張る佐藤にまた頭が痛くなる。

普通そういう儀式っていうのはこっそりするもんじゃないのか?



「それに予言はやっぱり当たってましたよ、北野様一瞬で魔王の手先を葬り去ったんですから!」



目を輝かせる佐藤。

正直に言えば2人ともただ勝手に自滅して行っただけだと思うが…



「私北野様のお供が出来て幸せです!!」



佐藤はゲームの人物だ。

騒ぎ立てるのも大人気ない。

わたしはそうかと短く返した。



「クールな所も素敵ですよぉ!」



興奮して私の肩をバシバシ叩く佐藤に私は眉を寄せる。

佐藤の力はかなり強い。

本人に自覚はあるかどうか知らないが大体30キロもある1円玉の袋を軽々持ち歩いていた位だ。

そんな漫才のようなやり取りをしているとまたもや声をかけられた。



「貴様が北野か!」



いい加減この流れにもなれて来た。

声の方へ視線を向ければ細身の男が体に似合わないような大きな棍棒を持ってこちらを睨んでいる。



「我は魔王様の懐刀スルア!」



棍棒をまるでバットのようにこちらに向って構える。

ホームラン宣言と言ったところか。


…今度は懐刀と来た。


魔王は本気で私を殺そうとしているのかもしれない。

こんなじじい相手にムキになる事もないだろうに。


とにかく私も木刀を抜いて構える。

スルアは勢いよく殴りかかって来たが私もすんでの所で木刀で受け止めた。

ポフっとした感覚が竹刀越しに伝わってくる。



決してゴスッでは無い。



まるで発泡スチロールを叩いたような…

戸惑っているとスルアはすぐさま棍棒を持ち上げ今度は横に振るって来た。



咄嗟の事で私は反応出来ずそのまま殴られてしまう。



…が痛くない。



いや、痛いは痛いが3歳児に叩かれたような本当に軽い痛みだ。

その棍棒は発泡スチロールで出来ているのではないかと疑ってしまう程に。



「ふっふっふ!驚いたか!ワレが持った物は全て重さが13分の1になるのだ!」



自慢げに語るスルアだが私は開いた口が塞がらない。

それは単純に威力も13分の1じゃないのか?

口にすると彼は動揺しだした。


本当は魔王は私をからかっているのか?



「今日の所はココまでにしといてやる!」



勝手に捨て台詞を吐くとソイツは颯爽と町の方へ走り去って行った。



…さっきから勝手に自滅していく敵ばかり出てくるのは気のせいだろうか。

私はまともに戦った覚えが無い。



「やっぱり北野様は勇者さまでした!マルガリータ感激しましたぁ!」



目を輝かす佐藤に私はもう呆れて言葉も出ない。

いや、敵が能力を生かしきれて居ないだけだとも言えるか…

さっきの奴も棍棒なんかじゃなく刃物でくれば私の命は無かった。

最初に襲ってきた相手も後ろからいきなり血をかけられたら一溜まりも無かっただろう。

手と足を入れ替える能力の使い道は思いつかないが。



「そうだ、村まで魔法でワープしませんか?」



突然の佐藤の申し出に私は思わずツッコミを入れてしまった。

それが出来るならさっさと言え!



「ではワープラバネと叫んでください」


佐藤の誘導通り叫ぶと喉かな村の真ん中に立っていた。

さっきとは違い更に田舎っぽい。

いや、田舎っぽいなんてそんな甘い物ではないな。


時代が違うとしか思えない落差がある。

並ぶ家は全て竪穴式住居なのだ。

いわゆる藁葺きの家で…ここは何処かの部族か何かが住んでいる場所なのだろうか?



「佐藤…ここはあの場所からかなり距離があるのか?」



一気に飛んで来た為地理が全く解らない。

地図が必要だな。



「ええっと…歩いて30分くらいだと思いますけど」



あの町から30分でここに着くのか。

そんなに近いなら歩いて来れば良かった。

普通に歩いている時速が6キロだと計算して3キロか。


むしろあの場所から見えて居たんじゃないのか?

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