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復讐の果ての終焉と始動  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3-2章 とある時代の終わり ――財閥連合・オーロラ支部――
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第42話 政府代表マグフェルト

 ――EF2011.01.29 【グリードシティ 軍事総本部】


 フィルドさんは消えてしまった。あのオーロラ支部の戦い。国際政府と財閥連合の戦い。勝ったのに、フィルドさんは消えてしまった。

 あの施設の地下でパトフォーという男に私たちは圧倒され、負けてしまった。


「パトラー、本当に……いいのか?」


 顔に包帯を巻いたピューリタンが私に声をかけてくる。彼女は生きてた。重症を負ったけど生きてた。彼女のお陰でパトフォーという人物の存在が政府に知れ渡り、大規模な捜査が行われた。

 でも、フィルドさんは見つからなかった。本当にこの世界から消えてしまった。


「…………」


 私は無言で頷く。EF2011年1月中旬。軍による捜査は打ち切られた。政府代表と元老院の判断だった。私は反対したが、聞いてもらえなかった。そりゃそうだ……。私なんて所詮、任務に失敗した准将。聞いてなんか貰えるハズがない。だから、私は決めた。


「そうか。残念だ……」

「ごめん……」


 私は今日で軍を抜ける。私1人でもフィルドさんを探す。政府が捜査を辞めるなら私1人でフィルドさんを探す。そして、“これ”を返さないとな。

 私はデュランダルを鞘に収める。またバッグに魔法発生装置や着替え、サブマシンガン、電磁ソードなどを入れる。これで準備は完了だ。


 外に出た私は家に鍵を締める。いつかここに帰ってくる。フィルドさんと私の家。またいつか2人で……。


「じゃぁ、宜しくっ……」


 私はピューリタンに鍵を渡す。私たちがいない間、この家の管理は彼女が行う。彼女はフィルドさんと一緒にハンター=ガンマと戦い、人工知能オーロラを破壊した人。また、私以外で唯一パトフォーと戦った人。この人なら信頼出来る。

 私は彼女に見送られながら、家を後にした。またいつの日か、2人でここに帰ってくる事を心の中で願いながら――……。


























◆◇◆


























 ――EF2011.02.05 【グリードシティ セントラルタワー 政府代表オフィス】


 俺は窓から美しいグリードシティの夜景を見つめる。素晴らしい世界だ。素晴らしい世界に相応しい美しい都だ。それを見下していると錯覚を起こしそうだ。自分は神になったのではないのか、と……。

 もし、この都を眼下に世界に自由に命令を下せれたらどんなに快感だろうか? 自分の命令で世界は右にも左にも動く。……素晴らしいものだ。是非現実にしたい。


「平和なものだな、世界は」

「ええ、閣下」


 俺は近くにいた部下に話しかける。信頼している“道具”だ。自由に使える都合のいい道具よ。


「今、まさに世界は壊れようとしているのにな……。架空の楽園の終焉よ」


 俺は椅子から立ち上がる。そして、都合のいいもう1人の道具の側に寄る。彼女はブーメランを主要武器とする風のパーフェクターだ。


「……世界を滅ぼす気ですか?」

「まさか。俺の力を強める為に動いてもらうのよ。世界には、な」


 政府代表マグフェルトとして長年代表の椅子に座ってきたが、さすがに限界だ。だから、“何か”を起こさねばならない。そして、その“何か”は俺の権力を高めるだろう……。


「……“パトフォー閣下”、ティワードより「ラグナロク大戦の準備が出来た」との報告がありました」


 全身を装甲で覆った道具、メタルメカが話しかけてくる。そうか、準備完了か。いよいよ、架空の楽園は終わりだな。平和な時代は終わり、世界は激動の“戦争時代”となる。


「表では政府代表マグフェルト。裏ではパトフォー。フィルドもパトラーも、サルリファスもサレファトも哀れな哀れな俺の道具でしかないのだよ……」


 財閥連合も、連合軍も、国際政府も、世界もまた、俺の道具なのだ……。

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