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復讐の果ての終焉と始動  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3-1章 哀しき裏切り ――政府首都グリードシティ――
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第28話 首都強襲

 ――EF2010.12.18 【政府首都グリードシティ】


 私は目の前に広がる巨大な壁を見ていた。この先にあるのは軍事総本部と政府中枢エリア。世界の中心。私の横には弟がいた。大切な弟。彼は震える手で私の手を握る。


「姉さん……」

「…………」


 グリードシティ。世界最大の首都。文化・経済・政治の拠点。政府全軍をまとめる軍事総本部を有する巨大都市。

 市内には縦にも横にも大きな建物が無数に立ち並び、その屋上に公園や公共施設などがあった。1800年間、世界首都であっただけにその街の規模は地方都市とは比べ物にならない。

 雨が降り注ぐ暗い夜空の下、色取り取りの街の光を視線の端に感じながら、私は大きく息を吸い込む。“これで最後”、だね――。

 私は震える弟を抱きしめる。そして、一瞬のうちにまぶしい光を放って消えていった。誰か、気づいたかな?



◆◇◆



 【グリードシティ 軍事総本部】


 僕は姉さんに抱きしめられ、ワープした。着いた所はグリードシティの軍事総本部。目の前に広がる光景はグリードシティの市内と変わりない。でもここにいる人間は政府関係者。軍人や役人たちだ。みんな、僕らの敵――


「姉さん、やっぱり……」

「これで、最後だから、ね?」


 少し微笑みながら姉さんは僕に言った。そう、これが“最後の任務”。これが終われば僕らは財閥連合の支配から解き放たれる。つまり、自由に……。

 でも、成功するだろうか? 下手したら殺される。今、僕らの目の前で歩いている人たちによって……。


「さ、行こう、サレファト!」

「う、うん……」


 僕と姉さんが軍事総本部を歩きだした時だった。突然、周りの蛍光灯が赤く光りだす。それと共に電光掲示板や建物の壁に設置されている画面も赤く光り出し、緊急事態を告げるマークが表示される。そして、市内全域に警報音が鳴り始めた。


[グリードシティ全域にコンディション:インテグラルを発令。総本部への侵入者を感知しました]


 僕は驚いてその場に足を止める。さっきまでのカラフルな光は消え、赤と黄色ばかりが目立つ街となる。そして、次々と軍人や役人が逃げ出す。


「な、なに? 以前来たときはこんな事なかったのに……!」

「もしかして、バレたんじゃ……」


 その場で立ち往生しながら、僕は辺りを見渡す。地面の一部にあるパネルが赤く光っている。そこが開いて下から何かが出てくる。アレは政府軍の軍用兵器……!

 そいつは灰色の体に先端が細くとがった脚を2本持ち、関節のない腕の指がカッターナイフのような鋭い刃になっていた。背中にはジェット機のようなものまである。


[敵生体を感知。排除します!]


 怪しく光る赤色の目は確かに僕らを捉えていた。なら狙いは……。

 その軍用兵器は背中のジェット機で一気に僕らに接近してくると、右手を振り上げ、僕を切り裂こうとした。カッターがギラリと赤い光を反射する。


「姉さんッ!」


 僕はとっさに腕を前にして、攻撃を防ごうとする。腕を前にすればその腕を斬りおとされる、なんて事は考えていなかった。目を閉じ、覚悟を決める。

 ……腕に痛みが走らない。僕は目をそっと開け、目の前を見る。あの軍用兵器は消えてなくなっていた。


「行くよ、サレファト!」


 姉さんが先行して進んでいく。僕は後ろからその後ろを追う。さっきの軍用兵器は姉さんの能力で“飛ばした”のだろう。どこか別の場所、でも、ここから近い場所に……。

 時間と空間のパーフェクターであるサルリファス姉さんだから可能な技だった。


「敵を確認! 抹殺せよ!!」

「…………!」


 僕らの前に次々と装甲服を着た兵士たちが集まってくる。国際政府特殊軍の兵士たちだ。たぶん、精鋭部隊の兵士たち……!

 数名の兵士たちの後ろにはさっき僕に襲い掛かってきた軍用兵器と同じタイプの軍用兵器がいた。右手には鋭利な5本のカッター。電気を帯びていた。


「姉さんっ……!」

「やるしかないよ!」


 姉さんは魔法発生装置を内蔵したハンドグローブから紫色をした半透明のボウガンとアローを作り出す。僕は電気を帯びた黄色の剣を作り出して手に握る。激しい雨が降る軍事総本部内。僕らの味方はいない。殺らなきゃ殺られるだけだ。


「子供2人だ!」

「一気に片付けろ!」


 精鋭兵たちがアサルトライフルの銃口をコッチに向ける。僕は素早く姉さんと自分に物理シールドを貼る。僕の物理シールドは普通の物理シールドじゃない。電気技なら完全に無効化し、それで更に強化する特殊シールドだ。


[敵生体を感知。排除します!]

「“小隊攻撃機フェンサー”……!」

「フェンサー? アイツの名前ですか?」


 そんなことを言っている隙にフェンサーは僕に一気に近づいてくると、電気を帯びたカッターで僕を斬りつける。普通なら腕が宙を舞っていそうだが、電気シールドを貼った僕には効かなかった。むしろ、電気シールドは強化される。


「“サンダー”! “エレキ弾”!」


 僕はフェンサーの頭上に雷を落とす。一本の光がフェンサーの頭を貫く。更に追撃とばかりに4発の電撃弾をも撃つ。それらは黄色い光を放ちながら胴体に直撃した。


「どうだッ!?」


 フェンサーは火花を散らしながら炎上し、しばらくフラフラと動いていたが、その場に倒れる。よし、まずは一体撃破だ!

 僕は残りの兵士も倒そうと壊れたフェンサーから兵士たちの方に目を向ける。そこには3人の兵士が倒れていた。残りの2人は姉さんに向かって射撃していた。


「クッ……!」


 姉さんは一応、物理シールドで守られているが、何も攻撃を無効化するワケじゃない。例えば銃弾が目に入れば失明するかも知れなかった。だから、目を腕で隠しながら矢を飛ばすしかない。


「姉さん、あとは僕に任せて!」


 僕は射撃する兵士に向かってサンダー・ランスを撃つ。黄色に光る電気の槍。それは一直線に飛び、2人を胸を貫く。


「ぐぇッ!」

「ぐぁッ!」


 2人は魔法シールドを張っているのかダメージは思ったより少ない。本当は気絶させたかったんだケド……。

 彼らが怯んだ隙に姉さんは矢を撃つ。それは喉を確実に貫いた。姉さんの矢は魔法・物理の双方を併せ持つものだ。物理シールドを張っていない彼らに防ぐ手段はなかった。

 2人はその場に倒れ込んだ。たぶん死んでしまった。いくら敵兵でも殺すのはちょっと……。


「姉さん……」

「……ここは戦場。敵に同情なんていらない」


 姉さんは強い口調で言う。確かにそうかも知れないけど、僕は人を殺したくはなかった。なんでか分からない。でも、とにかくイヤだった。

 でも、僕らの最後の任務内容は“ターゲットを殺せ”、だった――。

◆小隊攻撃機フェンサー

 ◇国際政府軍の軍用兵器。

 ◇一機で一個小隊(60名)を相手にできるとされる。

 ◇財閥連合のグループ会社である「ナノテクノミア」と「ビリオン」が開発・製造した。

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