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復讐の果ての終焉と始動  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 創り出される人 ――クロント支部――
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第17話 とある女の子の戦い

 ――これより、FT-260101の実践テストを行う。




















◆◇◆




















 …………? ここはどこだ? ドーム状の広い空間。まるで闘技場のような所だ。ただ、薄暗くてよく見えない。ひんやりとした床は何か硬いもので出来ている。天井はガラスか?

 私はゆっくりと起き上がる。頭が痛い。ズキズキと痛む。少し眩暈もする……。


[FT-260101。これよりミッションを下す]

「…………? ミッション?」

[魔物を討伐せよ]


 落ち着いた女性の声だが、これは機械の声だ。魔物を討伐しろ……? 何の話だ? ここには他には誰もいないのか?

 私は鞘から剣をゆっくりと抜き取り、構える。何が出てきてもいいように。


[魔物を感知しました]


 その声と共に四方の壁が赤く発光する。そのおかげで一気に視界がよくなった。私の視線の先に中心が黒く周りが青と紫の穴が開き、何かが出てくる。

 出て来たのは黒のブーツに灰色の服を着た5人の人間だった。背中から紫色の翼を生やした人間。アイツら、魔物だな。確かサキュバスとかいう魔物だ!


「喰らいなさい!」

「私たちに勝てるかなっ?」


 5人は出て来るなり、私に魔法を飛ばしてくる。右から順にサンダー、ファイア弾、アイス弾、ウォーター弾、衝撃弾。私にそんな攻撃が効くか!

 私は自身に魔法シールドを張りながら剣を片手に彼女らに接近していく。サンダーが私の胸を貫く。少し怯まらされる。怯んだ隙にファイア弾が私に直撃して炎上する。続いてアイス弾、ウォーター弾。それが私を襲う。私は剣を使い、それらを防ぐ。それでもダメージはあった。


「クッ……!」


 攻撃が収まる。剣を降ろした時、最後の攻撃が飛んできた。白い魔法弾――衝撃弾か! それは私の顔に当たると爆発する。激しい衝撃が体に大きなダメージを与える。私は少し後ろに飛ばされ、倒れる。

 フラフラになりながら、立ち上ろうとした時だった。空中から3体のサキュバスが飛んでくる。その手には剣が握られていた!


「やばいッ!」


 私は素早くサンダーを飛ばす。それは1体のサキュバスの体を貫く。彼女は死んだのか、翼の動きを止め、墜落した。残り2体!


「よくも仲間を!」

「黙れっ!」


 再びサンダーを放ち、更に自身の剣を投げる。サンダーはさっきと同じようにサキュバスの1体を貫く。最後の一体はすぐそこまで迫っていたが、投げた剣によって胸を貫かれた。

 地上からもサキュバスが迫っていた。2体のサキュバスだ。彼女たちは至近距離で魔法を放つ。妨害魔法と攻撃魔法の両方だ!


「魔法シールドを消す気かッ……!」


 私の周囲に黄色の電気玉のような物が発生し、それは私を囲むように動いて直撃する。その瞬間、魔法シールドは消え、私を電撃弾が襲う。魔法シールドのない私を襲う激しい電撃ッ……!

 意識が一瞬飛びかけ、倒れそうになった。が、何とか踏みとどまり、2体のサキュバスを睨みながら強力な魔法を飛ばした。大型の衝撃弾だ!


「ウソっ……!?」

「…………!」


 白色の魔法弾が白い尾をつけながら飛ぶ。それは彼女たちに当たると大きな破裂音と共に爆発した。辺りが揺れ、ビリビリとした衝撃が私にも伝わってくる。

 2人のサキュバスは吹き飛ばれ、背中を壁に叩きつける。それもかなり強く。そして、そのまま床に倒れ込んだ。たぶん死んだだろう。


 2人が倒れ込んだ瞬間、部屋は再び暗くなる。また視界が悪くなる。どうなっているんだ……? いや、それよりも回復しないと、な。

 私は自分に回復弾を当て、受けたダメージを癒していく。更に物理シールドと魔法シールドの両方をかけ、次の戦闘に備える。

 回復と強化をし終えた時だった。激しい眩暈が私を襲う。そして、危うくそのまま倒れそうになった。まさか、魔力を使い過ぎたのか……?


[ミッション1クリア。ミッション2スタート]

「な、なんだ、と……?」

[魔物を感知しました]


 また明るくなる。壁が赤く光る。さっきと同じように黒い穴が開き、中から何かが出てくる。次出てきたのは犬型の魔物、バイオバウだ。濃い緑色の体毛を持ち、鋭い2本の牙。目はオレンジ色に光っていた。


「チッ!」


 私はフラフラしながらもサキュバスに刺さった剣を抜き取る。真っ赤な血が剣から滴り落ち、床に赤い水玉模様を描く。

 バイオバウが濃い緑色の毛をなびかせ、走って来る。鋭い歯の生えた牙を見せる。噛み付く気か? いや違う! バイオバウは私の目の前で突然動きを止めると、濃い緑色の煙、毒ガスを吐き出す。


「…………!」


 私はそれをモロに浴びてしまった。だが、浴びるだけじゃなかった。片手に剣にしっかりと握り、素早くバイオバウに近づくと、それで脳天を貫いた!

 バイオバウの叫び声が辺りに響く。それを断末魔にバイオバウは倒れ込んだ。その瞳に光はなかった。

 また薄暗くなる。私はその間に毒状態となっていた体に回復魔法をかける。それと共に眩暈が激しくなる。やはり魔力の使い過ぎだっ……!

 私は耐えきれずにその場に座り込む。それと同時にまたあの声が聞こえてきた。


[ミッション2クリア。ミッション3スタート]

「ちょ、ちょっと、待て! 少しだけ休ませろッ!」


 だが、無情にも再び明るくなる。また空中に黒い穴が開き、魔物が転送されてくる。次に現れたのは機械だった。黒色した軍用兵器。4本足を持つその機械の両手はマシンガンになっていた。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 両手のマシンガンから大量の銃弾が飛ぶ。私は頭を抑えながら走る。この部屋には対照になるように2つの出入り口があった。私は出入り口の片方を目指して走る。

 どうせコイツを倒してもまた次が現れるんだ! だったら扉を壊してでも逃げ出してやる! こんな理不尽な戦いやっていられるか!!


[破壊セヨ!]

「グッ……!」


 背中に銃弾が当たる。凄く痛いッ……! まさか物理シールドが切れかけているのか!? 私は最後の力を振り絞って物理シールドを張った。その瞬間、眩暈が更に酷くなる。


「ク、クゥッ……!」


 もはや歩けない。激しい頭痛と眩暈。出入り口に辿り着く前にフラフラと倒れ込んでしまった。激しく歪む視界。光景は色を失い、黒や灰色に近い色ばかりになる。もはや色の識別までッ……!

 体が、冷えていく。冷たくなっていく。震えが止まらない。力も抜けて、いく。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 また背中や脚が、痛くなってきた。ついさっき……シールドを張ったばかりなのに、もう効果が切れ始めている、んだな……。死にたくない……が、どうにも……もう、…に……、…たす……!



















◆◇◆





















 FT-260101死亡。廃棄処分とせよ。

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