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復讐の果ての終焉と始動  作者: 葉都菜・創作クラブ
第1-2章 交差する絆 ――コスーム大陸――
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第13話 シリオード帝族の姉弟

 【封鎖区域テトラル 西部】


 私は瓦礫の山に乗り上げた飛空艇から飛び降りる。ここが封鎖区域テトラル――。


「危うく死ぬかと思ったな……」


 EF2010年1月5日(もう6日?)深夜。私は封鎖ラインを越え、封鎖区域テトラルに侵入した。意外と簡単だった。

 ただ、問題は突発する時に封鎖ラインに設置されていた砲台から放たれた砲弾。それが飛空艇の後部に直撃した事だった。

 砲撃された飛空艇は火を噴きながら、封鎖ラインを越えた。そして、一気に高度を失いながらこの瓦礫の山に“着陸”した。


「ホント、危なかった。シールド張っていなかったら絶対死んでたよね」


 瓦礫の山に不時着した飛空艇を見る。後部から炎が上がっていた。あの炎はいずれ飛空艇全体を覆うだろう。……やばい、帰れないな。なんとかこの封鎖区域テトラルで使えそうな飛空艇を探さないと……。

 私は魔法発生装置とサブマシンガンを持って歩きはじめる。持ってきた物はこの2つとハンドガン、アサルトソードだけだった。食料と水はない。別に戦闘するワケじゃないから武器はいらなかったな。


「ケケッ! ケケケケッ!!」


 奇声を発しながら、遠くの瓦礫の山から人型のシルエットが飛ぶ。両腕が鳥類の翼になってる。頭部には長いくちばし。……武器持って来てよかった。アレは魔物だ。間違いなく。

 まさかここにも魔物がいるなんて思ってなかった。さっき見たのが鳥人。人の形をした魔物。用心して進まないと……。


 私はサブマシンガンを持ち、瓦礫の山の間を進んでいく。一口に瓦礫と言っても色々ある。ほとんどがテトラルの街の残骸だけど、中には壊れた軍用兵器まである。……たぶん、これって後から捨てられたヤツだと思う。まだ新しい感じがする。

 国際政府が使用している軍用兵器から使用してない軍用兵器まで色々ある。使える飛空艇があるといいけどな。


「グォォォ……ッ」

「…………?」


 なんか今、遠くで雄叫びが上がったような……。まぁ、私には関係ない――こともないか。たぶん、魔物だよね? もっとも魔物以外生きてる生物はいない。


「ケケッ、ケケケェッ!」


 突然、上から魔物が降ってきた! さっきのヤツと同じタイプの魔物だ! 私はサブマシンガンの銃口を魔物に向ける。

 両腕にあるのは黒い羽をした翼。先端が下向きになった灰色をした長く鋭いくちばし。顔を覆う黄色いウロコの肌。脚は鳥の様な脚。ピンクのウロコで覆われていた。コイツは鳥人モンスターのガルーダだ!


 私はサブマシンガンの引き金を引き、ガルーダに向けて発砲する。銃弾数発がガルーダの体を撃ち抜き、緑色をした体液を足下の瓦礫にまき散らす。

 銃弾を受け、一瞬だけ怯むと、ガルーダは私に向かって鳥の様な細長い脚で素早く迫ってくる。そして、左右に長く黒いカラスのような翼ではたく。私はその衝撃でその場に倒される。ガルーダは素早く元の位置に戻る。


「クッ……」


 私は顔に付いた土を払うと、次はスタンロッド型の魔法発生装置を取り出し、それをガルーダに向けて振る。赤い炎の弾が飛ぶ。火炎弾は直撃すると、赤い炎の柱が立ち上る。ガルーダはそれを受けると、赤い火花を散らしながら倒れた。


「ふぅ……。まぁ、楽だな。……ザコモンスターだ」


 少しフィルドさんの口調をマネてみた。フィルドさんきっとならこう言うよね。



◆◇◆



 【グリードシティ 軍事総本部】


 サレファトに逃げられた日の翌日。私は情報室でサレファトとその姉について調べた。それによると2人は“シリオード帝国の帝族”であることが分かった。

 シリオード帝国は今、私のいるコスーム大陸の北にある大陸、“シリオード大陸”にて今も現存する帝国だ。その国の帝族がなぜ……?


 サレファト=シリオード。13歳男性。電気のパーフェクター。その姉サルリファス=シリオード。16歳女性。空間と時間のパーフェクター。財閥連合暗躍部隊長官。

 姉弟でパーフェクターとは凄いな。……でも聞いた事がある。シリオード帝族にはパーフェクターが多い。原因は不明だが、近親相姦・一族内の混血を繰り返した結果、濃すぎる血がそれを生んでいる、と。


 私は印刷した資料を持って情報室を出る。

 2人が売られたのは去年(=EF2009年)12月上旬頃だ。どのような経緯で売られたのかは書かれていなかった。最初から載っていなかっただけだろうか? それとも誰かが消したのだろうか……?


 グリード・ネットワークにはテトラルの情報も、シリオードの情報も、連合軍も、財閥連合も何も載ってない。あってもウソばっか。7年前、テトラルシティを占領した財閥連合の事実も消されている。

 所詮、情報は時の権力者によって変えられていくんだろうな。情報は操作され、書き換えられる。そして、無知な人間はそれを信じ込む。いつものこと。


「でも、私の頭にある情報までは書き換えられない。私は“お前たち”の悪事を暴き、晒してやる」


 私は呟くように言った。財閥連合・連合軍・国際政府。お前たちの悪事の隠したテトラルの真実。そして、私を実験体にした事。今も行われる生物兵器・軍用兵器開発。それら全てを明るみに引きずり出してやる。長年の思い。胸に刻まれた誓い。私は財閥連合・連合軍を滅ぼす——!

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