第一章 旅の始まり
本作品は、私が大学生であった1982年に同人誌に掲載するために書いたものです。
表現などは当時のままにしてあるものがありますが、ご了承ください。
卒業まじかに飛行機事故に巻き込まれたミユキは、そこである男と出会います。
ミユキの運命を変える男とはだれなのか?
1982年の春、ミユキは大学も無事卒業が決まり、ある大手商社に就職も決まったため高校時代からの友人三人で、最後の学生生活をエンジョイするためにヨーロッパへ行くことにした。
ところが、ミユキは出発前に急用ができたために、二人とは一日遅れて南回りのローマ便に乗ったのだった。この事が、後のミユキの人生を大きく変えることになるとは、ミユキはもちろんのこと、二人の友人たちもまったく思わなかったであろう。
飛行はすごく快適だった。西に向かうため、いつもより長く太陽は顔を出していた。ミユキは窓の外を眺めているうちに、いつしかうとうと眠り始めていた。
ガクンという大きな衝撃でミユキは目を覚ました。窓の外も見るとさっきまでの晴天はなく、濃い霧が立ち込めて真っ白になっていた。しばらくの間大小の揺れが続いた後、左後方の乗客から大声が上がった。まわりの人につられて腰を浮かし、窓の外を覗いた時息を呑んだ。エンジンが黒煙とともに炎を吹いていた。間髪を入れずにブザーがけたたましく鳴り響き、室内灯が消えた。スチュワーデスが何か悲鳴のように叫びまわっているのを聞いているうちに、頭がフッと、まるでエレベーターが落ちたような気がして意識が遠くなった。
それからどれくらいの時がたったのか、もちろんミユキにはわからなかった。ミユキは少し体に寒さを感じて眼を開けた。
最初に目には行ったのは、ベージュ色のテントの天井だった。周りを見渡すと、ミユキはベージュとブルーの布でできたテントの中に寝ていた。周りは、何の音も無く静まり返っていた。なぜここにいるのかわからなかった。ただ、あの悪夢のような出来事が本当に夢の中のことであったかのように思われた。
耳を澄ますと外の方でパチパチと焚火の様な音がかすかに聞こえてきた。半身を出していた寝袋から出てミユキは始めて気が付いた。記憶の中の自分と着ている服が違っていることを。
テントから出るとそこは石ころばかりがゴロゴロした岩場で、30メートル程向うに5,6メートルの高さの岩壁があり、その先は澄んだ青空しか見えなかった。ミユキが今出てきたテントの隣には、もう一つ同じ形のテントが並んでいた。この光景を見てもミユキにはまだ何が起こったのかわからなかった。「いったいここは何処なの?」
「何が起こったの?」
「みんなはどうしたの?何処へ行ったの?」
ミユキはそうつぶやいたが、誰も答えてくれる者はいなかった。
その時、急に後ろから声がした。
「やあ、気が付いたかい?」
初回はいかがでしたでしょうか?
引き続き次章もよろしくお願いいたします。




