雪と光のプロムナード
とあるところに、幼い双子の兄弟がいた。彼らは、明日という日を楽しみにしているようだ。その理由は、天気にあった。
「なぁなぁ、明日雪が降るって本当かな!?」
「本当だったら、初めて雪だるまとか、雪合戦できるかもな! めちゃくちゃ楽しみ!」
そう、兄弟たちが住む地域では、雪が降るのは珍しいことだった。まだ雪というものを見たことがない兄弟たちは、初めての雪に期待していたのだ。
兄弟たちは、暗くなった窓の外を何度も見ている。いつ雪が降るのか、楽しみで仕方ないのだ。そんな兄弟たちを、母親は優しく声をかける。
「ほら、あなたたち。もうこんな時間よ。もうそろそろ寝ないと」
「えー! でもまだ雪降ってないよ!」
兄が母親にそう言う。弟も賛同して、うんうんと首を縦に振っている。そんな兄弟たちをなだめようと、母親は再度言葉をかけた。
「大丈夫よ。朝起きたら、きっと雪が降っているわ。朝起きたら、外が真っ白なんてこともあるのよ。起きて一番に、その景色を見たいと思わない?」
母親の言葉に、兄弟たちは顔を見合わせる。彼らは、雪が積もった外の景色をまだ知らない。ゆえに、その言葉には未知なる魅力が詰まっていた。
「本当!? 朝起きたら、外が真っ白になってるの! じゃあ早く寝る!」
「兄ちゃんだけずるいぞ! ボクも寝る! 母ちゃん、おやすみ!」
朝の銀世界を夢見て、双子の兄弟たちは早く寝ることにしたようだ。母親は彼らが寝静まった後、止めていた編み物を再開するのだった。
朝。先に目が覚めたのは弟の方だった。弟は眠そうに目をこすりながらも、ベッドから起き上がって窓の外を見た。すると、窓の外に広がっていたのは、広い銀世界だった。雪がしんしんと降っていて、太陽の光に照らされてきらきらと輝いているようにも見える。
「兄ちゃん、兄ちゃん! 見て! 外がすごいことになってるよ!」
弟はまだ寝ている兄を起こした。ほどなくして、兄も目が覚めた。外の世界を見るなり、目を丸くする。見たこともない景色。それは兄弟たちを楽しませるには十分だった。
「おい、外に出るぞ! ずっとやりたかったやつ、やるんだろ!」
「そうだ! 雪だるまも作りたいし、雪合戦もやりたい!」
兄弟たちはすぐに外に出ようとした。そこへ、母親がやってきて兄弟たちを制止する。
「お待ちなさい。その格好では寒いでしょ?」
母親は、手にしていたものを兄弟たちに渡す。それは。手編みのマフラーだった。雪で遊ぶ兄弟たちのことを考えた母親が、深夜まで編んでいたものだ。兄弟たちは、母親お手製のマフラーをつけて、外に出た。外は、雪が降っている影響でかなり冷え込んでいる。しかし、そんなこともお構いなしに兄弟たちは雪で遊び始めた。
最初に手をつけたのは、雪だるま作りだった。兄が体、弟が頭のパーツを作ることになった。しかし、兄が張り切りすぎて大きすぎる体を作ってしまった。ゆえに、弟の作った頭パーツを乗せた結果、アンバランスな雪だるまになってしまった。それでも、兄弟たちは楽しくて仕方ない。次に、雪合戦を始めた。障害物を盾にしながら、兄弟たちはどちらか勝つか勝負した。勝負は昼近くまで及び、結果引き分けに終わった。
「あなたたち、お昼ごはんよー!」
兄弟たちは、家にいる母親からそう声をかけられるまで、雪遊びに夢中になっていた。気が付くと、もう昼すぎの時間だ。
「兄ちゃん、雪遊びって時間あっという間に過ぎちゃうんだね。ボクもっと遊びたいよ」
「じゃあ、昼飯食ったらまた遊ぼうぜ! こんなんじゃ物足りないしさ!」
「そうだね! そうしよう!」
兄弟たちはそう約束して、一度家に帰ることにした。雪はまだちらちらと降っていて、きらきらとまるで光のように舞っていた。




