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悪女姫の仁義なき恋愛バトル――嫌われたい悪役令嬢ですが、腹黒皇子に執着されています  作者: いか墨ドルチェ
第三章 学園の華は、何といっても悪女と学園祭ですわ

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第98話 ついに決まる? 学園No.1の美女ですわ。開票篇

 最後はいよいよ3年男子である。


 3年の男子は2強の戦いだ。前回は僅差でフレデリクが勝利していたが、ここのところエルドリックが活躍しているのに対して、フレデリクの方は正直冴えない。


 その上、兄が多くの生徒の恨みを買っているのだ。そのあおりも大きく、事前の情勢調査では、エルドリック勝利との見方が強かった。


 ジュスティーヌはそっちの戦いには大して興味がなかった。皇子の剣のメンバーや、スターレナードが何票獲得するかのほうが興味深い。


「宇宙一の美少女、俺のジュスティーヌ」


 ジュスティーヌも安定の1票獲得だ。無効票ではあるが……。


「ほらー、やっぱしジュリジュリ不正してるし!」


 いや、これ、わたしがした不正じゃないからさ。注意したのに、スターレナードがわたしの名前書いちゃっただけだからさー。それにそもそも無効票だし。自分で書かないでしょ、”俺の(・)ジュスティーヌ”とかってさー。


「ねえ、この『殿下♡』。これは誰だと思う?」

「殿下と言われても何人もいるから、無効票じゃない?」

「ハートがついているってことは、フレデリクのほーだと思う」

「ソフィー先輩って、エルドリック殿下よりもフレデリク殿下推しなんですか?」

「そーいう、ジュリジュリはこれは肉男だって主張するんでしょ! 不正だかんね!」

「しませんから……」


 なぜ、フレデリク殿下だと主張するのは許されるのに、スターレナードだとダメなのかしら……。単に好みの問題じゃ……。


「『俺』っていうのが1枚あるけど、無効票よね?」

「えー、それ、たぶんエルドリックだと思う」

「えっ、本当? 筆跡がエルドリック殿下のものってこと?」

「わかんないけどぉ、エルドリックは俺って書きそーだから」

「書きそうではあるけれども、ま、無効票ね」


 こうして無効票が少しずつ増えていく。


「今度は、『スター』なんだけど、これも無効票よね?」

「姫様がレナード殿下のこと、スターレナードと呼んでますけど、彼のことじゃない?」

「スターはフレデリクだと思う」

「なぜ?」

「だって、フレデリクは金髪だから、一番お星さまみたいだから☆」

「なるほど。でも、無効票よね」


 開票作業は意外と楽しかった。


 結局、3年男子の有効投票数は302票、うち、エルドリックが98票、フレデリクが71票、そして意外なことに、3位がレナードで62票だった。


 レナードは、決闘や魔物討伐で成果を上げていたし、なんといってもジュスティーヌと親しいことから、意外と1年やPJL42メンバーからの支持が集まったのだろう。


 この結果を受けて、なぜかソフィーが勝ち誇ったかのようにジュスティーヌに話しかけてきた。


「ジュリジュリ残念でしたー! 肉男、フレデリクにもエルドリックにも負けちゃったね。不正したのに、残念!」


 いや、だから不正していないってば!


 その隣では、女子の開票作業が進められていた。


 3年女子は、文化芸術科の侯爵令嬢が1位、2位がジュスティーヌも投票した平民のジルだった。


 ジルは一目見ただけで心を奪われるような派手さはないが、知的な美人であり、成績も優秀だった。ジュスティーヌは、彼女の方がソフィーよりもよほど聖女っぽいと思っていた。


 1年女子は当然のようにジュスティーヌの圧勝だった。有効投票数311票中の235票獲得だった。


 後からカイトに聞いた話だと、1年女子の開票作業中のフレデリクの態度が酷かったらしい。


 わざとのように、ジュスティーヌの名前が書かれた票を床に落として拾わずに集計しようとしたり、「ラブリー&プリティープリンセスジュスティーヌ」と書かれた票――それを書いたのは確実に兄レナードだ……を無効票扱いしようとしたとのこと。


「これは余計なことが書かれているから無効票だな」

「……別によくねえか? 誰だかはわかんだろ?」

「あ、あの……おそらくそれはうちの兄が書いたものでして……」


 フレデリクと異なり、エルドリックはジュスティーヌをそれほど嫌っていないようだ。


「ラブリーさんやプリティーさんという女性が1年女子にいるかもしれないだろ? そうしたら、複数人の名前が書かれていることになる」

「僕が記憶している限り、そういった名前の方はいないかと……」

「…………いたとしたら、普通にすげえな……俺の名前……そんなだったら不登校になるわ……」

「名簿、確認しますね(汗)」

「えっと、ラブリーさんもプリティーさんもいませんね」

「プリンセスさんは?」

「えっと……プリンセスさんという名前の方もいませんね」

「ならば有効票に数えても構わないだろう……」


 それにしても、どうしてわたし、そんなにフレデリクに嫌われているのかしら……。


 仮説その1 愛しのソフィーの天敵だと思われている?


 仮説その2 小さいころやっつけたのをいまだに恨んでいる?


 仮説その3 もしや、フレデリクは超ウルトラ・ブラコンで、アルフォンスに禁断すぎる恋をしていて、わたしを恋敵だと思っている……とか!?


 ソフィーを取り合う恋のライバルであるエルドリックとは思いのほか親しくしているところをみると、そこまでソフィーに夢中というわけでもないのかもしれない。となると、仮説1の線は薄い気がする。


 ということは、案外第3説の可能性もありか……!?


 そして、問題の2年女子だ。


 PJL42のメンバーは共同戦線を張ったようで、PJL42所属の2年女子の中で一番かわいくてお上品な伯爵令嬢のアリスに投票したようだ。


 PJL42はジュスティーヌLOVEでもあるが、反ソフィーの側面も強い。飛ばされ隊なども巻き込んで軽く選挙運動も行っていたようだ。その結果、なんとソフィーに勝利してしまったのだ。


 ということで、2年女子は、1位84票のヴィクトリア、2位が68票獲得のアリスで、3位がソフィーの61票となった。2位と3位が僅差だったこと、何気にあのレナードよりも獲得票数が少なかったことから、ソフィーは激怒した。


「ジューリージューリー!!」

「なんで、わたくしにお怒りなんですか……」

「あれだけ、不正はやめてっていったよね? はーもぉ、信じらんない!!」

「ソフィー、これが民意ってやつよ、諦めなさいな」

「オリオリはジュリジュリの味方でしょ? 一緒に不正したんでしょ! あたし、激おこプンプン丸なんだからね!」


 怒るのは勝手だが、不正はないし、民意――PJLと飛ばされ隊という二大支持団体による組織票――による結果は覆らない。


 だが、納得できずに無駄に怒り続けるソフィーであった。

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