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最強の悪女の仕立て方。~不幸な結婚をしたくないので、悪役令嬢を目指しているのに、なぜかイケメン皇子その他大勢に愛され、困惑しつつも学園生活を満喫していますわ!  作者: いか墨ドルチェ
第三章 学園の華は、何といっても悪女と学園祭ですわ

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第95話 腹黒皇子の策略をつぶしてやりましたわ!

 体中がガタピシいっていた。でも、それはいい。それよりも問題なのは頭の中だ。


「君は俺にキスすること、いいね」


 腹黒皇子の言葉が頭の中でリフレインしている。どうしてあの男の言葉はすぐにジュスティーヌの脳を支配するのだろうか。きっと大魔王だからに違いないと納得する。


「いつ、どこで、どうやって! うわーん、無理ー!」


 いつもの心の声が発声を伴ってしまっているジュスティーヌ。


「姫様相当テンパってるな」

「でも、こればっかりは代われないからなー」


 放課後、クラスメイトたちは広場でコスプレカフェの準備を進めていた。カフェテリア前の広場では、各クラスがペンキを塗ったり、何やら組み立てたりと皆忙しそうにしている。いつもはこの時間になると、レッツゴーエンジョイ隊がソフィーの名を連呼しながら通り過ぎて非常に騒々しいのだが、今日は活動していないらしい。おそらく、みんな死んだんだと思う。


 しばらくすると、広場の空気が凍りつくのを感じた。アルフォンスが笑顔でこっちに近づいてきていた。


 ジュスティーヌは慌てて席を立った。


「そうでしたわ。今日は図書館に本を返しに行く予定があったのですわ! お先に失礼しますわ!」


 逃げるように走り去ろうとすると途中で足が文字通り空回りして体が前に進まない。後ろからアルフォンスにお腹を抱きかかえられて、足が宙ぶらりん状態であることに気が付く。


「慌ててどこに行くの、ジュティ?」

「えっと、今日は歯医者の予約があって……」

「どこの歯医者かな? そこまで一緒に行こう」

「えっと、やっぱり歯医者ではなくて、下着屋さんでしたわ」


 ジュスティーヌは言い換えた後で激しく後悔した。このエロ皇子は、お目当ての女性が下着屋に行くと知って恥ずかしがるような純情ボーイではない、むしろ大喜びでついてくるようなエッチな男だろうが! と。


「俺との夜に備えてそんな準備をしようとしてくれていたんだ?」

「えー!? そそそそそんなわけないでしょー!」

「嬉しいよ。君がそんなに俺のことを意識してくれているなんて」

「違うから、全然、違うからぁ!」

「とりあえず、ジュティ、俺はここで待っているから、君もサボらずにクラスの仕事をしないと」


 ジュスティーヌはもともと座っていた椅子に強制送還された。


「あのー、あなたがそこにいると全然集中できないんですけど?」

「そんなに俺のことが気になるの?」

「……いえ、逆ね。全然気にならないわ! そう、まるで空気のようね!」

「俺が隣にいるのが君にとって当たり前のことだと思ってくれているんだね」


 ジュスティーヌはあきれ顔でアルフォンスを見た。アルフォンスは相変わらず上機嫌で微笑んでいた。


 この人、メンタルも完全オリハルコンじゃないの! もはや、並の人類では到底太刀打ちできないわ、この男には……。


 結局、本日の作業が終わるまで、アルフォンスはジュスティーヌの心を乱し続けるのだった。


「ジュティ、じゃあ、タルトを食べに行こうか」

「し、仕方がないわね。タルトが待っているならばいかないわけには……」


 どうしてこうも簡単にタルトにつられるのか。明らかに罠とわかっていてもタルトの三文字には弱いジュスティーヌだった。


「タルト屋で殿下にキスするのかな、姫様」

「ここでしてくれてもよかったのになぁ」

「それな」


 クラスメイト達にとって、二人がイチャつく光景はすでに日常の風景であった。


「ジュティ、少し緊張しすぎじゃない?」

「へっ?」

「さっきからずっと上の空だ」

「ええー、そ、そんなことないけどなぁ。あっ、そうだ、そろそろ帰らないと! うん、帰ろう!」


 タルトを食べ終わったジュスティーヌはスッと席を立った。すると、アルフォンスに後ろから腕をつかまれる。ジュスティーヌは、ビクンッと露骨に跳ね上がる。


「ジュティ、何か忘れていない?」

「えっと、忘れ物なんてあったかなぁ。あっ、そうだ、お土産を買わないと」

「俺にキスする約束だったでしょ?」


 くーっ、キスするまで帰らせないつもりか、この男は! キスを回避するための言い訳を考えるのよ!


「あっ! それは、もう少しロマンチックなところでしたほうがいいんじゃないかしら? なんせわたしからあなたにするファーストキスなのだから」


 どうだ! 腹黒皇子め! あなたのこだわり”ロマンチック”を逆に利用させてもらったわ!


「それは、もっともだ。じゃあ、楽しみにしているよ、君に、ロマンチックなところでキスされるのを」


 あら? 案外、簡単に引き下がったわね? よっし! これでどこに行ってもここはロマンチックじゃないと言い張ればOKね! わたしの勝ち~!


 ジュスティーヌは両手を広げて空に掲げ、勝利のポーズを取るとクルクル踊りながら寮へと戻っていった。


 翌朝になっても昨日の後遺症か、いまだに体が重い。戦闘技術科所属の多くの生徒は、げっそりとした表情で登校した。ジュスティーヌも例外ではない。むしろ、キスから逃れるためにほかの生徒よりもずっと頑張った分、ダメージも大きい。


「ジュティ、身体は大丈夫?」

「あなたが、あんなことをいっぱいするから……」

「ごめん、俺が無理させてしまったね」


 なんかすごく誤解を招く会話をするジュスティーヌとアルフォンス。


「どどどど、どんなことをいっぱいしやがったんだ! 俺の華麗なる天使に!!」


 通りすがりのヒーローは完全に誤解していた。


「兄上たちは大丈夫だったんですか?」


 カイトは、圧倒的な力の差を見せつけられて、身体も心もボロボロだった。


 レナードも見るからに傷だらけなのに、元気だけはいつもと変わらない。このあたりは兄を羨ましく感じる。


 魔法の特別講師は、本当の本当にどっかの大魔王のようでないことを切に祈る学園生たちだった。

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