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最強の悪女の仕立て方。~不幸な結婚をしたくないので、悪役令嬢を目指しているのに、なぜかイケメン皇子その他大勢に愛され、困惑しつつも学園生活を満喫していますわ!  作者: いか墨ドルチェ
第二章 悪女は日々、戦いにその身をおくのですわ――初めての決闘とできる冒険者への道

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第84話 えっ、皇子様、今、なんて言いましたの?

「それにしても、眼福ですよねー、あのお二人。はあ、もっと近くで見たかった!」


 遠目に見ても、ただただイチャイチャしているようにしか見えない二人を見て、ビビアンがつぶやく。


「だねー、牢獄じゃなくて自分の腕に閉じ込めておくところが素敵すぎ!」

「姫様にとって、あの腕の中は牢獄を超えた牢獄なのか、それとも世界一安心できる場所なのか……」

「アカネっち、あなたの考察、なかなか深いじゃない」

「お褒めにあずかり光栄です。オリビア先輩」


 普通に考えれば、囚われの姫はカギのかかった部屋なのか牢獄なのかに入れておくもの。だが、ジュスティーヌを牢獄に閉じ込めてみたところで、絶対に脱出する。だったら、自分の腕の中に閉じ込めておこうということなのだろう。アルフォンスの腕の中は、今のジュスティーヌにとって、物理的にも、心理的にも一番逃げがたい場所だ。


 女子たちがそんな会話をしていたら、鬼ごっこ第二ラウンドが始まった。ここは、城の宝物庫を模したエリアで、子どもたちは色鬼を楽しんだ。


 第三のエリアは、城の裏庭にある墓地が舞台だ。ゾンビ役の生徒たちに触られた子どもはゾンビになってしまう。捕まるのではなく、鬼になるのが意外に楽しかったのか、わざと捕まる子どもたちもいるぐらいで、ゾンビ鬼は非常に子ども受けがよかった。


 が、このままではゾンビだらけになってしまい、子どもたちが敗北してしまうではないか。


 その様子を見ていたアルフォンスは「子どもたちは、怪盗プリンスの味方なのかな? どうやら君を俺に献上したいみたいだ」と笑顔を浮かべながら嬉しそうに言う。


「ここはひとつ、子どもたちに本気になってもらおうか?」

「何をする気?」

「子どもたちをちょっとたきつけようかと」

「どうやって?」

「さっきジュティにエッチっていわれたからな……」

「それが何? 自分だって認めたじゃないの! 一体、何を企んでいるの?」


 ジュスティーヌは、いぶかしげな顔つきでアルフォンスを見る。アルフォンスは明らかに何か企んでそうな顔つきなのだが、ジュスティーヌはただの悪女であって悪魔の手先ではないので、人の心が読めない。


 と、アルフォンスは、ジュスティーヌを抱きかかえたまま立ち上がると、今ゾンビ鬼をしているエリアのほうに数歩進み、信じられない言葉を吐いた。


「子どもたちよ! あんまりのんびりしていると、私が魔女姫のスカートをめくってしまうぞ!」


 えっ、今、なんて、言った? えっ、今、この人、なんて言ったの?


 アルフォンスのしびれるような甘い皇子様ボイスで、彼が絶対に言いそうにない言葉が会場に響き渡った。


 子どもたちは騒然となった。これくらいの少年にとって”スカートめくり”ほど心を揺さぶる言葉はない。そして、同世代の女子にとっても、”スカートめくり”ほど脅威を感じさせるものはない。これはふざけている場合ではない、マジョリーヌのためにがんばらねばと奮起する。


 何も事情をしらない学園生も我が耳を疑った。スカートめくりだと! あの絵に描いたような理想の皇子様アルフォンスが、スカートめくりだと!? そう思いつつも、トムたち、平民の生徒は内心安堵していた。彼のような超紳士であっても、スカートめくりをするのだと。自分たちと同じ男であり、人間なのだと。


 一方で、カイトたち、前回の鬼ごっこ参加者は、別の意味で驚いていた。さすがにスカートめくりはアルフォンスのオリジナルの発想ではないだろう。おそらく、前回、子どもがふざけて言っていた言葉を利用したのだろうが、彼は一体どこでそれを耳にしたのだろうか。おそるべき地獄耳なのか、はたまたあらゆる場所に情報網を張り巡らせているのかと。


「ジュティのその表情を見られただけでも、この台詞を言った甲斐があったよ」


 周りの反応はさておき、当の本人は完全にただただ楽しそうだった。


 するとその時、地平の彼方から、土煙が舞い上がり、誰かがこちらに向かって猛烈な勢いで走ってくる姿が見えた。


「まーーーーてーーーー!」


 そう、通りすがりのスーパーヒーロー煌めく我らが星、スターレナードだ! またしても、愛する妻のピンチを察知して、彼女を救うべく全速力でやってきたのだ。レナードは会場に到着すると、ジュスティーヌたちがいた高台の上に飛び乗った。


「貴様! 何度俺のエンジェルスターラブリーワイフを攫えば気が済むんだ! しかも、スカートめくりだとおお! 断じて許さんッ!」


 肩で息をしながらも、レナードが叫ぶ。というか、聞こえていたのか、あの台詞が!?


「ようやく来たとは、随分と遅かったじゃないか。だが、君に私が止められるかな?」

「ほざけーーッッ!!」


 レナードはいきなり殴りかかってきた。アルフォンスはジュスティーヌを抱えたままそれを軽快にかわす。


「いいだろう。たまには本気で相手をしてやろう」


 そういうとアルフォンスはジュスティーヌを玉座に座らせて、前に進み出て両手を構えた。「本気」といったのに、剣士のアルフォンスが剣を持つことなく、まさか、体術だけであのレナードと戦うというのか。


 思いがけない展開に、鬼ごっこチームもその足をとめて、これから始まるであろう壇上の二人の戦いを見守る。


 先に仕掛けてきたのはレナードだ。二度、三度とストレートを打ち込むがすんでのところでアルフォンスにかわされる。アルフォンスも右ストレートを打ち込んだが、レナードはそれをかわした。


 一旦、二人は間合いを取る。次に仕掛けたのもレナードで、今度は蹴りも交えた攻撃を繰り出す。アルフォンスはそれを自らの脚でブロックする。


 これだけ見ていると、レナードが優位のようだ。だが、近くでみていたジュスティーヌは、直感で、このままではレナードが負けてしまうと感じていた。



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