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最強の悪女の仕立て方。~不幸な結婚をしたくないので、悪役令嬢を目指しているのに、なぜかイケメン皇子その他大勢に愛され、困惑しつつも学園生活を満喫していますわ!  作者: いか墨ドルチェ
第二章 悪女は日々、戦いにその身をおくのですわ――初めての決闘とできる冒険者への道

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第79話 侵掠すること、火の如く――決戦の時ですわ!

「これより武術鍛錬クラブ部長エドマンド・ジョイフィールド立会いの元、チーム『通りすがりの不屈の超絶スーパーヒーローと愛しのラブリーエンジェルな妻との永遠の煌めく愛の絆は偉大なり、とその他二名』と『皇子の剣同盟』との決闘を行う。両チーム前へ」


 そ、その他二名ってひどくないっすか、レナード殿下。俺はともかく、自分の弟もその他扱いですか!?


 チーム名を付けるのは基本的にはリーダーの役目だ。つまり、このチーム名を考えたのはレナードである。


 武術鍛錬クラブ部長であるエドマンドは自分を褒めたかった。


 未だかつて、武術鍛錬クラブの部長として、このような試練にその身をさらさなければならないことがあっただろうか。あの恥ずかしすぎる、そして長すぎるチーム名を、一度も噛むことなく、途中で噴き出すこともなく、無事に言い切ることができた。この台詞を滞りなく口にすることによって、すでに彼は今日の仕事の約97%は終えたと言っても過言ではない。


「あの、審判長」


 すでに大半の仕事を終えたと思っていたエドマンドは、いきなりジュスティーヌに声をかけられて仰天した。


「な、なんだろうか?」

「着替えをしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「!?」


 会場中が騒然となる。あの美人すぎるお姫様が生着替えだと!? もももも、もしかして、お色気で皇子の剣の男たちを戦う前に骨抜きにするつもりだろうか……!


 公正を期すためにはここでの着替えは許可するべきではないのかもしれない。だが、だが、見たいではないか! 見たいよな、会場の男子生徒諸君!


 エドマンドの耳には、「見たいです、審判長! ここは許可しましょう!」という彼の背中を後押しする熱いエールが怒涛のように響き渡った。


「い、いいでしょう」

「ありがとうございます」


 ジュスティーヌは黒い布を取り出すと、それを頭からかぶった。


「なっ!」


 姫様、まじですか、まじでそれを着ちゃいますか……!? しかも、なんかちょっとかわいくなってないですか、その海坊主!


 黒い筒だけだった海坊主の衣装には、わかめっぽい髪の毛が付けられて、それがおさげ髪になっていた。


「あたし、海坊女(うみぼうにょ)! 海から来た女の子の妖怪だよ! よろぴくね、かっこいいお兄さんたち!」


 しかも、何なんですか、その演技は……。


 ふっ、セドリック、甘いわよ! これも戦いのうちよ。見なさい、皇子の剣のメンバーたちの顔を。


 皇子の剣たちは唖然とした顔で、登場した時とは比較にならないぐらい士気が下がり、力も抜けているように見えた。


 姫様、あんたって人は、まじで真の悪女だぜ。と、セドリックが感嘆してくれているような気がした。


 お決まりのバフの確認と宣誓を済ませる。その間にジュスティーヌは衣装をめくっては、腰のベルトを付け替え、武器の装着をするなどで慌ただしく、その様子をみると決闘開始前の緊迫感はどこにもなかった。


「Go Fight!」


 掛け声とともに、皇子の剣は予想通りのフォーメーション――最前列に盾を構えたゲイジ、その後ろ側にデュークとオニキス、最後列にルカ――をとる。


 一方のチーム通りすがり……以下略はレナード、カイト、セドリック、海坊女の縦一列になる。


 見たこともないフォーメーションに、会場からはどよめきが起こる。


 ジュスティーヌは真っ先にサイレントの呪文を唱え、ルカの魔法を封じた。その間、カイトとセドリックはジュスティーヌ考案の泥んこ魔法を作っては投げ、作っては投げつけた。


 そして、相手の虚を突き、レナードがデュークに殴りかかる。


 初手は完全にこちらの優勢だ。


 オニキスとルカが攻撃をしようとするが、泥んこ魔法が飛んできては当たりに飛び散るため、それどころではない。


 ジュスティーヌは隙をみてはカイトとセドリックに詠唱と行動時間短縮、魔法攻撃力アップのバフをかけていく。レナードは強いから、この際放置だ。


 相手も少し作戦を切り替えて、オニキスは魔法の詠唱を始める。すると、口の中に泥が飛び込んでくる。これでは、まともに呪文を唱えることもできない。


 訓練場の中央で繰り広げられていたレナードとデュークの戦いだけは見ごたえがあった。会場内には、もうこの二人の戦いだけでよくないかという空気さえながれていた。


 そして、人々の注目がすべて二人の戦いに集まっている間、ジュスティーヌは泥んこ魔法チームの後ろで密かに特大魔法の詠唱を開始した。


「炎の精霊イフリートよ。大いなる炎の支配者にして、すべてを灰に帰す猛き王よ。我が呼びかけに応え、その力の一端を今ここに顕現させたまえ。その裁きの業火で悪しき生命を焼き尽くし、この世の理へと還せ! サンクチュアリフレイムバースト!!」


 超巨大な炎の竜巻がいくつもデュークたちの足元に巻き起こる。一瞬にしてオニキスとルカの決闘メダルは砕け散った。


 デュークはなんとか炎の竜巻の直撃は回避したものの、レナードの蹴りが飛んできて場外に吹き飛ばされる。


 最前線で大盾を持って身を張っていたゲイジはついに片膝をついた。


「これで終わりだ! ロマンチックラブリーパーンチッッ!!」


 ゲイジも大盾ごと場外に吹き飛ばされた。


「そ、そこまで! 勝利チーム『通りすがりの不屈の超絶スーパーヒーローと愛しのラブリーエンジェルな妻との永遠の煌めく愛の絆は偉大なり、とその他二名』!!」


 立会人のエドマンドは、当初の想定とは異なるまさかの結果に、すでに終わっていたと思われた大仕事を再び果たすはめになった。

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