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最強の悪女の仕立て方。~不幸な結婚をしたくないので、悪役令嬢を目指しているのに、なぜかイケメン皇子その他大勢に愛され、困惑しつつも学園生活を満喫していますわ!  作者: いか墨ドルチェ
第二章 悪女は日々、戦いにその身をおくのですわ――初めての決闘とできる冒険者への道

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第75話 キス魔皇子にパンチラキックをおみまいしちゃいますわっ!

「ピンクのフリフリパンツをはいたジュティは最強だ! メロメロパンチラキックで、キス魔の皇子をやっつけるんだ!」

「うん、わたしがんばる! レナレナ、見ていて! くらえ、ピンクのパンチラキックっっ!!」


 ジュスティーヌはレナレナに教えられた通りに、思いっきり脚を蹴り上げた。


「ジュティ、君は想像通りに寝相が悪いね。安心したよ」


 振り上げられたジュスティーヌの脚を片手で押さえつけながら、アルフォンスがにこやかに話しかけてくる。


 あれ? いつの間にこのキス魔皇子はここにいるの? あれ? レナレナはどこ?


 ジュスティーヌは夢を見ていたようだ。外はとっくに明るくなっていて、ベランダに止まっている鳥たちの鳴き声に混ざって、人々の生活音が遠巻きに聞こえてくる。


 夢の中で、レナレナに必殺技のピンクのパンチラキックを伝授されてその練習をしていたはずが、本当にパンチラキックを本人に浴びせてしまったようだ。


 しかも、かなり不完全だったパンチラキックはアルフォンスに簡単に受け止められてしまっていた。


「い、いつまで人の脚を触っているのっ!?」

「ごめん、ごめん」


 アルフォンスは笑いながら、ジュスティーヌの脚を丁寧にベッドに下ろし、めくれあがっていたネグリジェのすそを妙にゆっくりと直す。まるで誘惑するかのような目つきでこちらを見ながら、慇懃な手つきで。


 ドキドキ、ドキドキ。ああ、なにこの感じ。さすがはキス魔だわ。なんともいやらしい目つきと手つきだわ……。レナレナ、どうしよう。わたし、勝てる気がしない!!


 アルフォンスの目と手を交互にチラチラみていたジュスティーヌは、両手で顔を覆い、頭を振ったかと思うと、はっとした表情で顔を上げると、今度は急に強気になってアルフォンスに文句を言った。


「あと、勝手に乙女の寝室に入ってこないで!」

「俺と君との仲じゃないか。それに、眠っているお姫様を起こすのはいつだって王子様の仕事だろ?」

「何それ?」

「物語の中では、寝ている姫に口づけをして起こすじゃないか」


 アルフォンスはジュスティーヌの横に腰掛けると、髪を一束とって口づけをしながらそんな話をしてきた。


 まずいわ。このままだとまた、キ、キスされちゃうっ!


「ああ、残念だわ! 童話のお姫様たちと違って、わたしはもう目が覚めてしまっているわ!」


 ふっ、そう簡単にキスされてたまるもんですか! やったわ、わたし、キス魔の野望をつぶしたわ!


「そうか、じゃあ、おはようのキスをしよう」

「あ、朝からそんな恥ずかしいことをっ」


 思わず本音が漏れてしまう。


「そんなに恥ずかしい? 昨日、あんなにしたのに?」

「…………」


 なんだか、何も言い返せそうにもない。


「じゃあ、慣れるようにたくさんキスをしよう」

「もう、慣れたわ」

「そう、じゃあ、もう恥ずかしくはないね。では遠慮なく口づけができる」

「はぁー!? 結局、どっちもだめじゃない!」


 これだから腹黒キス魔皇子は……!


 キス魔+腹黒は、恋愛の素人では到底太刀打ちできない最強な組合せだと、心底絶望的な気分になる。


「おはよう、ジュスティーヌ。好きだよ」


 アルフォンスはそう言うとジュスティーヌの肩を抱き寄せて、遠慮なく口づけをした。


 これでは、完全にアルフォンスのペースである。なんとかしなければ。そう思っていたら、昨日のおばちゃんメイドの二人が着替えを持って入ってきた。


「先に食堂に行っているよ。一緒に朝食を食べて、その後でギルドに報告に行こう」


 アルフォンスは部屋を後にした。


「あらまあ、マジョリーヌちゃん、昨日はよく眠れたかしら? あはははっ」

「お姫様、おはようございます。今日もお綺麗ですね! あらもう! おばちゃんまで惚れちゃいそうだわ。あはははっ」


 このおばちゃんたちは朝からパワー全開だ。低血圧とか、低血糖とかそういう弱弱しい病弱幸薄系のキーワードとは全く無縁そうだ。


 おばちゃんたちは4着の服を持って登場した。1つ目は、パステルカラーでフリフリリボンがたくさんついたミニ丈チュチュスカートのワンピースだった。たぶん、ミランダの最押し服だろう。


 2つ目は、パフスリーブにひざ丈バルーンスカートで生地全面にレースがあしらわれている、上品なデザインのアイボリーのワンピースだった。こちらはクロエの見立てと思われる。


 そして、それとは方向性の異なる服が2着あった。1つ目は、真っ赤なベアトップのマーメイドドレスで、かなりきわどいラインまでスリットが入っていた。セクシー魔法教員カタリナが好んで着てそうな服だった。これは一体……?


 最後の1着は、その辺の町娘が着てそうなディアンドルで、パフ袖の白いブラウスにアジャスターのついた深緑のワンピースと白いエプロンだった。


 昨日はミランダの押し下着を着てしまったので、バランスをとるならば、クロエの押しのアイボリーワンピにすべきだろう。それに、ジュスティーヌも、その服は普通にかわいいなと思った。


 だが、今日行く場所は冒険者ギルドである。そうなると、この中では4着目のディアンドルが一番合っている気がする。


 ジュスティーヌがディアンドルを選ぶと、おばちゃんたちは感嘆の声をあげた。


「あらまあ、さすがだわ、メリーちゃん! あはははっ」

「あらもう、本当だわ! 姫様の好みをよくわかっているのね。あはははっ」


 どうやら、昨日、連絡を受けたメリーは公邸にやってきて、その後おばちゃん二人とアルフォンスの乳母のマチルドと4人で、街にジュスティーヌの着替えを買いに行ったらしい。サイズを熟知しているメリーがいたから、今ジュスティーヌが着ているピンクのフリフリ下着もピッタリだったのだ。


 それはそうと、となるとあの赤のセクシードレスはマチルド夫人のセレクト……? 人は見かけによらないってこのことを言うのかしらと思うジュスティーヌだった。

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